2018年09月14日公開
2018年09月14日更新
氷菓の原作小説・古典部シリーズをネタバレ紹介!アニメの違いや作品の魅力は?
『氷菓』は古典部シリーズと呼ばれ、2012年4月から9月のアニメ放送で原作小説も人気作品となりました。日常のささやかな謎から、学校に隠された謎までを解き明かす青春ミステリー小説です。『氷菓』のネタバレや原作小説の魅力について語っていこうかと思います。アニメにはアニメの、小説には小説の魅力がありどちらも素敵な作品です!未視聴&未読の方はこの機会に手に取ってみてください!
目次
氷菓の原作小説である古典部シリーズをネタバレ紹介!アニメとの違いとは?
「わたし、気になります!」のフレーズで有名な『氷菓』ですが、原作小説があることはご存知でしょうか?今回は原作小説をネタバレしつつ、アニメとの違いを調査していきます!日常ミステリーでありながら、青春の苦い思い出ねどキャラクターの心情も良く描かれています。アニメは見たことあるけど、小説は手に取ったことがないという方はこれを機会に原作の魅力を知ってください。
氷菓の原作小説とは?原作者は誰?
氷菓の原作小説とは?
『氷菓』は米澤穂信さんのデビュー作品で、2001年10月から角川書店より刊行されている大人気シリーズです。神山高校の古典部を舞台にした青春日常ミステリーであり、短編で終わるものから長編のものまであります。2016年11月現在までに全部でシリーズは6巻出ており、主人公の折木奉太郎目線で物語が進行していきます。登場人物の心情も詳しく描かれており、感情移入しやすく作品に入りやすい世界観となっています。
『氷菓』の登場人物を簡単に紹介いたします。原作の設定はシャーロック・ホームズシリーズを参考にしており、物語の主人公でホームズ役の「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。」の省エネ主義をモットーにする折木奉太郎、ワトソン役「データベースは結論を出せない」の福部里志、レストレード役の伊原摩耶花、古典部ヒロインの千反田えるの4人を中心に物語が展開されます。
氷菓の原作者は?
原作者は米澤穂信さんで、2001年に『氷菓』で作家デビューします。大学卒業後に2年間だけという約束で、書店員をしながら執筆を続けていました。第5回角川学園小説大賞で奨励賞を受賞、2005年「さよなら妖精」は「このミステリーがすごい!」で20位に入り、作家として名が知られるようになりました。また『氷菓』はライトノベルのように読みやすく、ミステリー初心者にも入りやすい1冊となっています。
氷菓の原作小説である古典部シリーズのあらすじをネタバレ紹介!
原作小説古典部シリーズをネタバレ①「氷菓」
主人公の省エネ主義がモットーの折木奉太郎は、文化部が盛んな神山高校に入学しますが、特に所属する部もなく姉の手紙で自らも所属していた廃部寸前の「古典部」に入部することを勧められます。ゆっくり自分の時間を過ごせると思い、姉の意見に従い部室へと向かいます。職員室で借りた鍵で戸を開けると、1人の女子生徒の姿がありました。彼女の名前は千反田えるといい、一身上の都合で入部を決めたとのことでした。
姉の目的は古典部の存続であり、その役目が奉太郎自身になくなったことで戸締りを任せ部室を出ようとしますが、えるは「鍵を持っていない」と言います。しかし奉太郎が入ってきたときには鍵が掛かっており、えるにどうやって部室に入ったのか聞くと「開いていたから」という答えが返ってきます。部室は内側から施錠は出来ず、奉太郎が入ってくるまでえるは閉じ込められていたことになります。
なぜ自分が閉じ込められてしまったのか、気になり始めたえるは奉太郎を引き留め仕方なく解決に付き合うことになります。えるが部室に入る前に見たものや聞いたことを参考に推理が始まります。原因は各部屋の蛍光灯を取り換えていた用務員で、取り付けた後に1ヶ所ずつ施錠をしていきますが、施錠前に部室に入ってしまったえるの存在に気付かずにそのまま閉めてしまったためであると解き明かします。
えるとの一騒動があった後、古典部には親友の福部里志、漫画部にも所属し里志に恋心を抱く伊原摩耶花の2人も加わり部として活動が始まります。えるが部長となり10月に行われる「カンヤ祭」(文化祭)に向けて文集を作ることにしました。文集のバックナンバーを図書室に探しに行くものの、摩耶花から「神山高校五十年の歩み」という大判本に関する謎が持ち込まれることになります。
摩耶花の謎を解決後、とある休日にえるから古典部に入部した理由が語られます。失踪し7年が経った伯父の関谷純は以前に古典部に所属していました。当時のえるは古典部の話を聞き泣き出してしまいますが、「何故自分は泣いたのか?伯父は何を言ったのか?」の理由を求め入部したのでした。その理由を奉太郎に解いてほしいと願います。気が進まないものの、伯父の葬儀が近々行われると聞き頼みを引き受けました。
後日、姉から手紙が届きバックナンバーは自分が所属していた時の部室「生物講義室」の金庫に入っていることを知ります。奉太郎とえる、摩耶花は現在その教室を使用している壁新聞部を訪れますが、部長は部室を詮索されることを嫌がり、一度は撤退します。その後、部長の秘密を知った奉太郎はやんわりと脅迫し、文集のバックナンバーを手に入れることに成功します。
バックナンバーが手に入ったことで、関谷純に関することも徐々に浮き彫りになってきます。文集2号には45年前の事件で関谷純が中退したこと、文化祭が5日間盛大に行われることが書かれていました。事件の核心には触れられておらず、古典部のメンバーはそれを解明するために独自に仮説を立てていきます。夏休みに入り、えるの家で各々仮説を披露することになります。
える、摩耶花、里志の仮説は互いの資料で矛盾が生じ成り立ちませんでした。そこで奉太郎はみんなの情報から推理を始め、語り始めます。まず、関谷純の功績は5日間文化祭が行われたことではないかということです。学校史によれば学校方針が学力重視を提唱し文化祭の縮小を考えていましたが、学生がそれに猛反発し対決する形となったのではないかという考えです。
学生のリーダー各であったのが関谷純で、学校側は文化祭の縮小を断念し例年通り5日間行うことにしたが、そのためには彼が犠牲になる必要があり退学になったことを解き明かします。文集2号の作者が図書司書の糸魚川養子だと気付き、仮説と真実を照らし合わせることになりました。関谷純は単に貧乏くじを引かされただけであり、自ら退学という道を選んだわけではありませんでした。
暫く「カンヤ祭」は禁句になっていましたが、その理由が「関谷祭」を意味しているからなのでした。そして表題の古典部文集「氷菓」はアイスクリーム→「I scream(私は叫ぶ)」を意味し、関谷純の心情を現わしていたのです。その言葉からえるは伯父に言われた「弱かったら悲鳴をあげることができない」という言葉を思い出し、謎が解明されました。『氷菓』は省エネ主義の奉太郎も徐々に心境の変化が訪れる序章といえる作品です。
原作小説古典部シリーズをネタバレ②「愚者のエンドロール」
古典部シリーズ『愚者のエンドロール』のネタバレを紹介いたします。2002年8月に刊行されました。古典部メンバーはえるの知り合いである生徒会長の入須冬実に2年F組のミステリー映画の試写会に招待します。しかし、映画は脚本家の本郷真由が体調を崩してしまったため続きがなく結末を考えてほしいのだと言います。映画は6人の男女が廃墟に立ち寄り、探索して行く中で男子が1人右腕が切断され殺害されていたという内容です。
入須はこの企画に参加していませんでしたが、失敗させるわけにはいかないと「カンヤ祭」の謎を解いたという古典部に依頼をしたのでした。しかし、奉太郎はやる気はなく断りますが、えるは依頼を引き受けると言い出します。でき人が持てないと反論すると入須は2年F組の生徒から推理を聞いてその中から判断するのはどうだろうかと提案をします。F組の探偵役は3人おり、一人ずつ話を聞くことになります。
1人目は殺害後窓から犯人が逃げた説、2人目は2階からザイルを使用して殺害した説、3人目は7人目の登場人物がいて殺害した説を解きますがどの推理もピンと来ないまま帰宅します。帰り道に入須は奉太郎を茶屋に連れて行き、改めて映画の推理を依頼します。奉太郎は里志に依頼を受けたことを話し、後日1人で映画を見直し推理を入須に披露することになります。
登場人物は6人の男女ですが、実は7人目の人物がおりそれがカメラマンだと言うのです。カメラマンは6人から無視されていたことが動機で殺害を決行します。叙述トリックだと結論を出し、入須は納得し結末を採用します。映画は完成し、古典部メンバーにも見てもらいましたがみんなの反応は微妙なものでした。脚本家の本郷が勉強したり用意したものが全く出てこなかったことに違和感を抱いていました。
里志にも摩耶花にも奉太郎の推理には間違いがあったと指摘します。帰り道でえるからも指摘があるかと思いきや本郷についてのことでした。脚本が書けなくなったと言えども、結末は考えていたのではないかというのです。本郷は何かしらの理由でトリックを話さなかったのではないかという言葉を聞き、奉太郎は改めて自分の推理を考え直しました。翌日、奉太郎は入須を茶屋に呼び出し対峙します。
本郷の脚本では人は誰も死ななかったはずなのに、撮影が始まると悪ノリで殺害されたと勘違いしてしまうシーンが出来上がってしまいました。それにショックを受ける本郷を悪者にしないために入須は推理で脚本の選定を行っていました。その後、えるから本郷の考えたトリックはどのようなものだったのか尋ねられ「人の死なない」そして「ザイル」を使用したトリックを話し、えるも納得し本郷に共感を示すのでした。
原作小説古典部シリーズをネタバレ③「クドリャフカの順番」
『氷菓』シリーズの3作目『クドリャフカの順番』は2005年6月に刊行されました。ネタバレを簡単に紹介します。神山高校の文化祭「カンヤ祭」の話になります。アニメでも人気のエピソードになります。古典部の文集「氷菓」が無事に出来上がったものの、発注ミスにより200部も出来上がってしまい在庫を抱える羽目になってしまいます。どうにか在庫を無くそうと宣伝・売場拡張を試みますが思うような成果がでませんでした。
里志は総務委員会の仕事もあり、摩耶花は漫画研究会に忙しく、えるは宣伝活動もしつつしており、奉太郎はのんびりできる店番を買って出ます。えるは占い研究会の親友・十文字かほから運命の輪のタロットカードが盗まれたこと知ります。里志は囲碁部から囲碁が、文化祭の最中にそのような小さな事件が立て続けに発生していました。奉太郎の方でもアカペラ部で異変があったことに気付きます。
一方、摩耶花は漫画研究会で対立していました。派閥のリーダーの河内に様々なケチを付けられ、普遍的な名作は受け手の主観で決まるという考えを否定するために以前文化祭で発売された「夕べには骸に」を持ってくると宣言したものの、何故か摩耶花の手元にはなく罵倒されるかと思いきや、河内は非難せずポスターを描くように命じます。また、えるは「氷菓」を売るために入須から人への物の頼み方を教えてもらいます。
里志も古典部の名前を売るために料理バトルにえると摩耶花の3人で出場します。途中、えるが食材を使い切り、摩耶花の分がなくなりましたが奉太郎のファインプレーにより無事に難を乗り切ります。無事に終了したかと思われましたが、お料理研究会から「おたま」が盗まれたことを知り、「十文字」事件が徐々に構内に知れ渡っていきます。「氷菓」を売るために、古典部がターゲットにされていることにしPRできないか考えます。
「十文字」の犯行法則性を考え、今まで被害に遭っている部活動が「あ」から始まり、10文字目の「こ」で古典部がターゲットになるのではないかと推測します。この推理を手掛かりに壁新聞部にネタを売り込み、里志は自らの手で「十文字」を捕まえようとします。その頃、摩耶花は漫研の雰囲気に耐えられず抜け出した先で、部長の湯浅から「夕べには骸に」の作者・安城春菜は河内の友人だと教えられます。
文化祭最終日、壁新聞部に「十文字」ネタが取り上げられたことで更に注目を浴びることになります。彼らは「十文字」を捕まえようと早朝から張り込みますが、次のターゲットであった「く」を飛ばし、軽音部から弦を盗んでいました。里志は太刀打ちできないと知り、奉太郎に期待をします。店番をしていた奉太郎は姉から「夕べには骸に」を差し入れられて目を通すことになります。
「夕べには骸に」の作者は安心院鐸玻(あじむたくは)の名で作品に携わった人物のあとがきに次回作のタイトル「クドリャフカの順番」や記述してある内容に疑問を覚えます。えるは「夕べには骸に」の絵が見覚えがあると、摩耶花と共に心当たりのあるポスターを見に行きます。そこで初めて作画が生徒会長の陸山であることは判明します。奉太郎はこれらの情報を元に推理を開始します。
「十文字」事件は古典部の校了原稿を燃やしたことで終了したかに思われましたが、古典部のメンバーはそれぞれ心中を吐露します。里志ま摩耶花に奉太郎に期待したことは自分自身への諦めであること、えるは人に頼んで人を動かすことにはこりごりだと認めます。摩耶花は河内に「夕べには骸に」を読んでもらおうとしますが、河内は友人の才能を素直に喜べないことを知ります。
また摩耶花が想いを寄せたもう一冊の漫画「ボディートーク」の作者が河内だとその時に気付くのでした。「十文字」の正体を突き止めた奉太郎は駐輪場で犯人と対峙します。今回の犯行は「く」で始める人物に対して「く」で始まるものが失われたという暗号であり、「陸山」から「クドリャフカの順番」が失われたというメッセージが込められていました。この暗号は「クドリャフカの順番」を知る者の犯行であることが分かります。
出典: https://disp.cc
作者の安心院鐸玻はそれぞれの姓名の頭文字を組んでおり、安城春菜・陸山宗芳、そして残る一人は、総務委員会の委員長の田名辺治朗でした。陸山が才能がありながら「夕べには骸に」以降漫画を書こうとしないことが原因で今回の犯行に及びましたが、当の本人の陸山にはメッセージが伝わりませんでした。奉太郎は今回の件を秘密にする代わりに「氷菓」30部を総務委員で買い取るように提案します。
残り5部は古典部と奉太郎の姉の分を買い無事に完売します。「十文字」事件を語り合いながら打ち上げをしようとなり文化祭は終了します。ちなみに、原作小説では「氷菓」は5部であるのに対し、アニメは「氷菓」は4部の売れ残りを古典部メンバーで1部づつ購入しています。
原作小説古典部シリーズをネタバレ④「遠まわりする雛」
「遠まわりする雛」は2007年10月に刊行された短編小説です。軽くネタバレをしていきます。1つ目は「やるべきことなら手短に」は奉太郎が古典部に入部したばかりの頃の話です。放課後教室に残って宿題をする奉太郎の元に里志が訪れ、音楽室から聞こえるピアノソナタと乱れ髪の女子生徒を見たという噂を聞きます。その後、えるが合流しその話に持ち込まれる前に、神山高校七不思議の話を披露することになります。
学校非公認の秘密倶楽部「女郎蜘蛛の会」の勧誘メモがどこかに存在するというのです。3人は勧誘メモの在処を探しに出ますが奉太郎のモットーに反する行動を起こしてしまう原因がえるであるということに気付き始めます。2つ目は「大罪を犯す」です。数学教室の尾道はクラスで習っている範囲より先のことを進めており、指摘したことで怒鳴られてしまったのです。その間違いはどうして起きてしまったのか奉太郎に推理を求めます。
数学教師の尾道は授業を進める際、どのクラスがどこまで進んだのかメモを取っていました。えるのクラスはA組、メモには「a」と小文字で書かれており、「d」も小文字で書かれていたとなると読み間違いが起こったのではないかと推理します。3つ目は「正体見たり」です。『氷菓』の事件解決後であり、古典部メンバーで摩耶花の親戚が運営する民宿に泊まることになりました。
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その夜、怪談話を始めて民宿の娘の梨絵から本館7号室で首吊り自殺があり7号室は使われなくなったと聞かされます。夜中にえると摩耶花が窓から首吊りの影を見たと言い出します。その謎は民宿の姉妹に隠されていました。梨絵の浴衣を着たい嘉代は、自分の者にはしっかり名前を書いて管理しているため、貸してとは頼めませんでした。なのでこっそり借りて夏祭りに行ったものの雨が降り浴衣が濡れてしまいます。
乾かすために使われていない7号室にハンガーでつるしていましたが、それがたまたま首吊りの姿に似ていたのです。ラストシーンはアニメではハッピーエンドな描写になっています。4つ目は「心あたりある者は」は奉太郎とえるは1つの状況に推論をつけられるかを検証するゲームをします。ちょうどその時に「駅前の巧文堂で買い物をした者」の呼び出しが行われました。
2人で協力し結論を出します。Yにお金を借りたXはそれが偽札だと気付きつつ巧文堂で使用しましたが、罪の重さに耐えきれずに謝罪の手紙を送ります。これがきっかけとなり至急の呼び出しがあったのではないかと考えます。翌日の新聞で偽札を所持していた暴力団員が逮捕されたという記事を見つけた奉太郎なのでした。5つ目は「あきましておめでとう」で正月に奉太郎とえるは納屋に閉じ込められてしまいます。
神社を運営する十文字家に挨拶するため訪れますが、かほの手伝いをすることになります。酒粕を取りに行くものの、蔵と納屋を間違え閉じ込められる事態に陥ります。携帯で助けを呼ぼうとしますが2人とも持っておらず、えるの巾着と紐を使いSOSのメッセージを里志に送ります。それに気づいた里志は助けに来てくれたのでした。6つ目は「手作りチョコレート事件」です。
里志と摩耶花の物語です。摩耶花は1年前にカカオ豆から作らなければ手作りチョコとは言えないという理由で里志から受け取りを拒否されてしまいます。そしてリベンジするときが来ましたが、当日にチョコレートが盗まれてしまいます。4階にいた天文部、工作部に聞くものの有力な情報は得られませんでした。女子トイレを探していないと里志と2人きりになり奉太郎は怒りを露にします。チョコを盗んだのは里志だったのです。
最後はアニメでも最終回になった「遠まわりする雛」です。えるが生き雛祭に参加するので、傘持ちの代役を頼まれた奉太郎はしぶしぶ参加することになります。しかし例年通るルートが工事中のため通れないことで慌ただしい雰囲気に包まれていました。別の橋を渡ることに男性陣は躊躇していましたが、えるの一声でその橋を通ることになり、生き雛祭は無事に執り行われました。
桜咲く中でえるの十二単姿を目にした途端、奉太郎は自分の気持ちに気付いていきます。ですが本心を語ろうにも千反田家の娘としての立場、える自身も家のために理系に進む言わます。このときバレンタインチョコを盗んだ里志の気持ちを思い知るのでした。
原作小説古典部シリーズをネタバレ⑤「ふたりの距離の概算」
「ふたりの距離の概算」は2010年6月に刊行されました。簡単にネタバレしていきます。古典部に新入生が来ず、隣のテーブルにあった製菓研究会のカボチャについての謎を推測していきます。たまたまそれを聞いていた大日向がも謎解きに加わりこのことがきっかけで入部することになります。後日、姉から午後2時半まで留守番するように命じられ家にいると、大日向たち古典部メンバーが奉太郎の誕生日祝いに家を訪れました。
また別の日には大日向の従兄が開店させる喫茶店のモニターを引き受けることになります。工事の関係で看板が掛けられていなかった喫茶店の店名の謎解きを始めることになります。突然、大日向はえるに阿川を知っているかどうか尋ねます。するとえるは1年A組の阿川佐知だと答えますが、それを聞いて大日向は黙り込んでしまいます。奉太郎は神山高校のマラソン大会の最中に今までの出来事を考え辻褄を合わせていきます。
ある日、部室に向かった奉太郎は大日向が部室からいないことや、えるが不思議な行動をしていたことに気付きます。また摩耶花が漫研を辞めたことに関することを聞くことになります。マラソンをしながら里志、摩耶花、えるに事実確認をしながらある真実に辿り着きます。大日向は何か意見を言う時に「友達が言っていた」と付け加えて話していました。その友達は神山高校に進学していない、友人だったのではないかと推測します。
奉太郎の誕生会でえるの人脈の広さを知り、中学時代のクラスメイトまで知っている彼女が恐ろしく感じてしまいます。奉太郎が訪れる前の部室で摩耶花が人間関係のいざこざから漫研を辞めてよかったと話し、それに肯定する言葉の意味を大日向は「友達を見捨てた方がいい」と勘違いして捉えてしまっていました。大日向の羽振りの良さは彼女の友人によるものであり、その友人は大日向と遊ぶために祖父から大金をだまし取っていました。
大日向はその友人と別々になっても友人であることを約束しており、友人の罪や関係をえるに知られることを恐れていました。えるへの誤解は解けたものの、古典部に入部することはありませんでした。大日向が入部しなかった理由を里志にだけ告げ大日向の問題の解決することはできないと後ろに置いてきた大日向との距離を思いながらマラソンに戻っていきました。
原作小説古典部シリーズをネタバレ⑥「いまさら翼といわれても」
「いまさら翼といわれても」は2016年11月に刊行されました。5編を収録した短編集となっています。1つ目は「箱の中の欠落」で神山高校の生徒会長選で開票時に票が増えていることが発覚します。その犯人として選挙管理員の1年生が不当に疑われてしまいます。里志から開票の流れを聞き、推理していきます。クラス毎に管理していたわけではないのでどのクラスでもない箱が紛れ込んでいたとしても誰も気づくことはありません。
姉の時代は1学年9クラス、現在は8クラスなので箱は余っていたはずなのです。そのことを里志が総務委員長に報告すると1年生の疑い晴れ、再投票の結果、生徒会長の座には常光清一郎が就くことになりました。犯人は早朝に不要な1箱を回収しに来たところを取り押さえられましたが、この先は選挙管理委員会の仕事なので、犯人の動機も名前も知ることはありませんでした。
2つ目は「鏡には映らない」です。中学の頃、摩耶花と奉太郎たちは卒業制作として鏡のフレームを作ることになりました。各班がデザインに沿ってパーツを作り合わせるのに対し奉太郎だけはデザインを無視し作成しました。当時のことが気になり調べていくうちに鳥羽麻美という人物が関わっていることを知ります。彼女に聞くと逆立ちでもしないとという言葉をヒントにし上下逆さにして見てみることにしました。
ただ見ているだけではただのツルにしか見えませんでしたがそこには「WE HATE A AMI T」と読めるようになっており奉太郎がこのことに気付かなかったら「WE HATE ASAMI T」となり「私達は麻美が嫌い」となるはずでした。摩耶花は中学時代に奉太郎が手抜きしたと軽蔑していたのですが、真実を知り謝罪して物語は終わります。3つ目は「連峰は晴れているか」でアニメで先に放送されたエピソードです。
中学時代の教師がヘリを見て「ヘリが好きなんだ」と言っていたことを思い出しますが、この発言は一度きりであり、何故あの時そんなことを言ったのか気になり図書館で過去の記事を調べてみることにします。すると連峰で遭難していた2名を捜索するためヘリが出ていたのです。中学教師は神山山岳会会長であり、2名の安否を心配していたのです。記事には2名は遺体で発見された書かれていました。
4つ目は「わたしたちの伝説の1冊」です。摩耶花が文化祭で揉めた漫研は読みたい派と描きたい派に分かれていました。描きたい派の1人である浅沼は「漫研は描くところだ」と示すために同人誌の制作を摩耶花に依頼します。しかしこの計画が読みたい派の派閥見つかり、同人誌を完成させたら読みたい派は離れ、完成できなかったら描きたい派は出ていけという条件を突き付けられてしまいます。
そんな中、摩耶花のネームノートが盗まれてしまいます。里志に見張りを頼んでいましたが、摩耶花に頼まれたと読みたい派リーダーの真紀がノートを持ち出していました。その後、真紀から喫茶店へ呼び出しを受け到着するとそこには河内がいました。ノートを持ってくるように頼んだのは河内で、摩耶花に漫研は摩耶花のためにならない、上に行くなら漫研を辞めろと告げるのでした。
その後、摩耶花は河内と伝説の1冊を作るため漫研を退部しました。5つ目は「長い休日」です。奉太郎がある朝目覚めると体調がいいことに気付き外出することにします。偶然十文字にも出会い神社へ行くとえるも来ていました。えるは奉太郎に省エネ主義になったのはどうしてかと尋ねます。それは奉太郎が小学校6年生の時、男女ペアで花壇の水やり係になりました。
もう1人の女子は家の建て替えで遠い場所から通うようになり放課後は早く帰っていました。奉太郎仕方ないと1人で水やりをやり、また担任から何かと用事を任せられることが多くなりました。そんな時、女子生徒がランドセルを失くしましたが忘れ物だと思われ職員室に届いており中身を確認するように教師から言われます。そこにはキャラクターもののシャープペンを大事にする女子生徒の姿がありました。
奉太郎はこの時に、遠方に住んでいたのでバスのお金か定期等の心配をするのではないかと思っていたのです。実は建て替え工事は既に完了していて、サボって係を奉太郎1人に押し付けていたことに気付きます。担任もそのことを知っていたのに、奉太郎が文句を言わずに働く子だったから手を貸すことはしなかったのでした。その事件後、姉に長い休日に入り、誰かが休日を終わらせてくれると言っていたのを思い出します。
6つ目は「いまさら翼といわれても」です。2年の夏休み摩耶花からえるを知らないかと電話が入ります。市の合唱祭で歌うはずなのに来ないのだと言います。えるは家の跡を継がなくていい好きに生きろと言われ、合掌パートは自由への憧れを歌ったもので、その部分がどうしても歌うことができずに逃げ出してしまったのでした。その後、えるがソロパートに間に合ったのかどうかの描写なくモヤモヤを残したまま物語は終わります。
氷菓の原作小説である古典部シリーズが完結?最新刊を紹介!
古典部シリーズは完結?最新刊は?
『氷菓』の最新刊までネタバレ紹介してきましたが、現在までに古典部シリーズの最新刊は2016年に刊行された「いまさら翼といわれても」になります。シリーズ自体は奉太郎達が高校卒業まで書かれることが決まっていますが、新作や最新話の発表は決まっておりませんので続報が待たれます!
続編が待ち遠しい方はファンブックが必見!
2017年10月に刊行された氷菓のファンブック「米澤穂信と古典部」はかなり内容が濃い1冊となっています。短編が1つ書き下ろしされていたり、作者対談だったり、氷菓の小ネタの解説だったりファンにとってはうれしい1冊となっています。これを読めば、更に古典部シリーズが好きになること間違いなしです!ネタバレしきれないほどの情報量ですので気になる方はチェックしてみてください。
氷菓の原作小説とアニメとの違いは?原作の魅力も調査!
複雑な部分はアニメの方が分かりやすい
『氷菓』の原作自体がライトノベルのように読みやすいミステリー小説であり、原作でも頭に入りやすい内容になっています。しかし、えるの目を輝かせる部分や、クドリャフカの順番、愚者のエンドロールなど複雑なトリックになると視覚的に捉えた方が分かりやすく、情報として入って来やすいです。
キャラクターの心情は原作の方が分かる
キャラクターの心情に関しては、原作の方が文字になっているのでわかりやすいです。アニメでは表情や音楽、雰囲気で判断するしかありませんが文字ならばこの人物は「この時こんな感情を持っていた」ことが明確に記されていることが多いです。特に『氷菓』は1人称で物語が進んで行くので余計にそう感じるのかもしれません。
氷菓の原作小説である古典部シリーズを呼んだ人の感想を紹介!
米澤穂信「愚者のエンドロール」
— 雨乃陽香 (@AmenoHaruka) June 6, 2018
古典部シリーズ二作目。一作目の氷菓よりもミステリー要素が濃い気がする。折木奉太郎と入須冬実のやり取りがとても好き。ラストシーンとかも色々解釈できて読んだ後も楽しみが続く。あとタロットカードの浅薄な知識が初めて役立ちました、、、笑 pic.twitter.com/JNUGd6DMNt
アニメも良かったけれど、原作の方が好き!という方が多かったです。ただの青春ミステリー小説という甘酸っぱく爽やかな雰囲気だけではなく、人が死なないミステリーでも物語によっては後味が悪かったり、時にはじわっと心に突き刺さる描写があったりするようでそれが原作の醍醐味だという意見がありました。
氷菓の原作小説である古典部シリーズについてネタバレまとめ!
『氷菓』の原作小説シリーズについてネタバレと魅力を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。小説で複雑な部分はアニメの方が分かりやすく表現されており、映像の美しさからアニメの続編を望む声も出ています。『氷菓』の古典部シリーズも2016年に「いまさら翼といわれても」が出たばかりですが、新刊が待ち遠しいです。原作小説をまだ読んでない方はネタバレで満足せずに是非原作小説を手に取ってみてください!