【竜とそばかすの姫】しのぶくんの役割を考察！すずとの関係と二人のその後は？

現実世界とファンダジーの融合を違和感なく成功させた「竜とそばかすの姫」は、第71回カンヌ映画祭でプレミア上映された細田守監督の前作「未来のミライ」に引き続き、2回目となる第74回カンヌ映画祭でワールドプレミア上映されスタンディングオベーションの嵐だったようです。

2021年7月に公開されたアニメ映画「竜とそばかすの姫」は、「時をかける少女」で注目された細田守監督の長編オリジナル作品の6作目にあたります。ヒロインの歌と映像の美しさが見所のひとつである「竜とそばかすの姫」は、リアルなサウンドと映像の美しさを最大限に引き出せるIMAX版も同時公開され話題となっているようです。

幼少期に母親を亡くしたすずは歌うことを止め、作曲することで壊れそうな自分を保っていたようです。17歳の女子高生となったすずは、人気沸騰中のネットの仮想空間〈U〉に登録します。〈U〉ですずは、アバター〈As〉「ベル」を通して歌い心が解放されていきます。世界の多種多様な人々が集う〈U〉で話題の人となった歌姫ベルの前に、「竜」と呼ばれる得体の知れない〈As〉が現れます。

すずからしのぶくんと呼ばれている久武忍は、すずと同級生の幼馴染でバスケ部に所属しているようです。しのぶはクールなイケメンでスポーツ万能であることから、校内女子のアイドル的存在であるものの浮ついたところはなく、幼い頃に母親を亡くし心を閉ざしてしまったすずの一番の理解者のようです。

中身と外見がイケメンのしのぶは、「竜とそばかすの姫」でヒロインを助ける定番のヒーローキャラとして大活躍すると思いきや意外と地味な活躍だったようです。しかし、母親を亡くし父親とコミュニケーションが上手く取れないすずに良い距離感で寄り添ってくれるしのぶは、幼馴染の枠を超え家族のような役割を担っていたと考察できるでしょう。

「竜とそばかすの姫」のクライマックスで、父親に虐待され続けていた恵と知の兄弟を救出しすずとしのぶたち一向は一安心します。そこでしのぶがすずに言った「ちゃんと付き合える」というセリフは、一見告白のように取れるかもしれません。

しかし、恋愛要素の薄い「竜とそばかすの姫」と照らし合わせると、母親の死の呪縛から抜け出したすずと一対一の人間として向き合うことができる意味合いがあると考察できるかもしれません。

すずと幼稚園から幼馴染のしのぶは、すずの母親が川の中州に取り残された自分たちと同じぐらいの少女を助けようして亡くなった時に同じ場所にいたようです。自分を置いて他の子を助けるために亡くなった母親にすずは、言いようのない激しい感情を抱え込んでしまいます。そんなすずに寄り添っていたしのぶは、小学校低学年まですずと一緒だったようですが、しのぶの転校により二人は離れ離れとなってしまったようです。

高校生になったずずは足の不自由な飼い犬の世話や親友のヒロがいることから、母親の死と向き合い成長した一面もあると考察できるかもしれません。しかし、内向的な性格は相変わらずであることから、親しい人以外の対人スキルが全くダメなようです。

数年の時を経て同じ高校に通うことになったしのぶとすずは、「タッチ」の達也・和也・南のようにずっと一緒ではなかったものの、しのぶは昔のようにすずに接しているようです。一方のすずは、しのぶが中身だけでなく外見もイケメンとなってしまったことで、内向的な自分とあまりにも違うとギャップを感じているようです。二人の間には、かなりの温度差があると考察できるかもしれません。

母親を亡くし悲しむすずは、「俺が守る」と言ったしのぶに好意を抱いていたようです。その後、高校で再会したしのぶが見違えるようなイケメンになったことも加わり、すずの幼い時の淡い恋心が年相応の恋愛感情に発展したと考察できるでしょう。

とは言うものの、中身と外見のイケメンなしのぶは地味な自分より、裏表のない可愛いルカとお似合いだと納得しているようです。恋愛感情を封印してしまったすずは、昔しのぶから言われた「俺が守る」発言を自分を心配している意味だと知りながらも、親友のヒロにはしのぶからプロポーズされたとささやかな抵抗をしているようです。

すずに対してしのぶは、恋愛漫画のような言動はないものの常に気に掛けているようです。ベルがすずだと見破ったことから、しのぶにとってすずの存在は大きいと考察できるかもしれません。二人にとって幼馴染として過ごした時間は、唯一無二の時間だった言えるのではないでしょうか。

母親が亡くなったことですずの心がギリギリで壊れなかったのは、母が教えてくれた歌のおかげだといえるでしょう。そんなすずを誰よりも理解しているしのぶは、ベルの正体がすずだと見抜いていたようです。父親の虐待で心を閉ざしている恵を助けるため、ベルではなくすずが歌うことを勧めたようです。しのぶの提案にすずは、迷うことなく〈U〉で自身の姿を晒して歌います。

しのぶがベルの正体をすずだと見抜いのは〈U〉を使っていたからと考察できますが、「竜とそばかす姫」でしのぶくんの〈As〉は登場していないようです。仮にしのぶくんが〈U〉を使っていなかったとすると、SNS情報等でベルの正体を見抜いたと考察できるかもしれません。

仮想空間〈U〉でベルを通じて成長したすずは、竜の正体である恵と弟の知が父親に虐待されていることを知り助けようと奔走します。〈U〉で応援する仲間たちの後押しがあっても、制限だらけの現実世界で恵と知兄弟を捜すのは干し草の山から針を探すようなものです。「竜とそばかすの姫」でしのぶは〈As〉としてではなく、現実世界ですずの内に秘めた勇気を解放する役割だったのかもしれません。

「竜とそばかすの姫」でしのぶ役の声優として参加した成田凌さんは、美容専門学校進学し就活中だったようですが、ファッション雑誌「MEN'S NON-NO」のモデルオーディションに合格し、2013年〜2021年まで約8年間同誌の専属モデルを務めていたようです。2016年1月号「装苑」では、世界的に活躍する日本人デザイナーであるヨウジヤマモト氏の特集に登場したようです。

成田凌さんは2013年にモデルデビュー、2014年に俳優デビューし芸能界でのキャリアを着実に重ねていったようです。芸能界入りする前に美容師免許を取得していた成田凌さんは、美容師としての実務経験なかったものの、テレビドラマ「人は見た目が100パーセント」で美容師役を演じたようです。

「MEN'S NON-NO」のオーデションで俳優志望をアピールしていた成田凌さんは、NHK BSプレミアム「ふれなばおちん」で俳優として評価を高めていったようです。大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で主演ではないものの、ゲイとカミングアウトしたクールな青年を演じたことで全国的に知名度がアップし、フジテレビの月9ドラマ「コード・ブルー 3rd season」でメインキャストとして出演していたようです。

映画「スマホを落としただけなのに」「ビブリア古書堂の事件手帖」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したことで若手俳優から頭一つ抜きん出た成田凌さんは、声優として「竜とそばかすの姫」以外には、「ONE PIECE FILM GOLD」「君の名は。」「天気の子」などの話題アニメ映画にメインキャストとして出演していたようです。

＜U＞で話題沸騰中の歌姫ベル宛てに、クラフトボスからCM依頼が舞い込んできたようです。クラフトボスと「竜とそばかすの姫」コラボCMで、降って湧いたような話に慌てふためく現実世界のすずをしのぶがナイスフォローします。

〈U〉でベルと関わった竜こと恵はずずより年下ですが、そんなに年齢差がないことから、しのぶの恋のライバルとして「竜とそばかすの姫」その後の二人の前に登場するかもしれない考察がSNSに挙がるかもしれません。

俳優やタレントなど声優でない方々によるアニメや洋画の吹替えは、イメージにそぐわないことが多く非難の嵐となるようです。「竜とそばかすの姫」で成田凌さんは、何気にカッコイイしのぶを見事に表現していたことも相まって、「竜とそばかすの姫」のその後のしのぶとすずの恋愛の可能性にイマジネーションを与えてくれたようです。

「竜とそばかすの姫」はヒロイン・すずの成長を追いかけていることから、しのぶは恋愛ものにありがちな王子様やナイトのような役割ではなく、すずが自分の殻を破っていく起爆剤的な役割を担っていたと考察できるかもしれません。恋愛要素は「竜とそばかすの姫」において物語を成り立たせる一要因に過ぎないようですが、「竜とそばかすの姫」のその後の二人の関係性に希望が持てる余韻をラストで匂わせているようです。