【ザ・ファブル】タイトルの「ファブル」の意味を調査！英語で寓話？

『ザ・ファブル』は、南勝久が『週刊ヤングマガジン』（講談社）で2014年から2019年まで連載した漫画です。第2部『ザ・ファブル The second contact』が、2021年7月から連載中です。既刊は22巻で、累計発行部数が900万部を突破しました。2019年6月に主演・岡田准一で実写映画化され、第2作『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』も、コロナの影響で延期されつつ、2021年6月18日に公開されました。

現代日本で、主人公の殺し屋はその伝説的な強さから「ファブル」と呼ばれ、裏社会の人間に恐れられています。組織のボスは彼に、1年間誰も殺さず一般人として暮らすよう指示します。主人公は佐藤明という偽名で、仲間の洋子と兄妹と偽り、組織と所縁ある暴力団「真黒組」の庇護を受けつつ、大阪に住みます。無縁だった一般常識や平和な日々に戸惑い、馴染む努力の最中、主人公は清水岬に出会い彼女の危機を救います。

タイトル『ザ・ファブル』にもある「ファブル」は、「Fable」という英語です。寓話（ぐうわ）や伝説、作り話といった意味がある言葉です。寓話とは、動物などが登場して教訓を伝えるたとえ話で、『ウサギとカメ』、『アリとキリギリス』などの『イソップ寓話』が有名です。

『ザ・ファブル』の主人公が嘘のように強く、おとぎ話のように伝説的な殺し屋だ、というような意味で彼は「ファブル」と呼ばれました。彼が所属する組織も「ファブル」と呼ばれます。これは主人公たちが名乗ったのではない勝手な呼称で、組織のボスは「ファブル」という呼び名を嫌い、構成員たちも単に「組織」と呼びます。

寓話では、動物などの非人間が、人間のような思考や言動を見せ、読み手に教訓を示します。理性を持たないと見なされる存在が、人間らしい感情や関心を抱く様を見ることで、暗示された道徳を素直に受け入れやすくなるそうです。幼少時からの訓練でサバイバルに長けた主人公が、一般人としてはほぼ初心者のレベルから、「普通」の言動や感情を学んでいく様もまた、タイトルの「ファブル（寓話）」の意味に通ずる可能性があります。

『ザ・ファブル』の「ファブル」は、英語と目されます。『昆虫記』を書いた有名なファーブル氏がフランス人で、連想してフランス語と思った人もいましたが、彼の名は「Fabre」と「ｒ」を使うので、寓話を意味する「Fable」とは別の言葉です。

フランス語でも「Fable」は寓話を意味しますが、発音が「ファーブレ」「ファービェ」などと、「ファブル」からやや離れます。英語の「Fable」も「フェイブル」と、「ａ」の発音が「ファブル」と異なります。しかし、タイトルの定冠詞が「ザ」と英語の「The」であるため、「ファブル」は英語との見方が多いです。

幼い頃から殺し屋として鍛えられ、天才的な才能を開花させた主人公ファブル（偽名・佐藤明）は、岡田准一が演じました。『SP』や『図書館戦争』シリーズで本格的な戦闘シーンを披露した彼は、映画第1作『ザ・ファブル』のアクションの振り付けの1部を自分で考え、第2作ではファイトコレオグラファーとして作中の殺陣を考え、アクションチームを牽引しました。

岡田准一は自らを「格闘技オタク」と語り、フィリピン武術のカリ（エスクリマ）、ブルース・リーが開発したジークンドー（截拳道）、USA修斗（日本の総合格闘技団体）のインストラクター認定も受けた有資格者です。2015年の日本アカデミー賞では、『永遠の0』で最優秀主演男優賞を、『蜩（ひぐらし）ノ記』で最優秀助演男優賞をダブル受賞しました。

主人公（ファブル）と同じ組織に所属する相棒・佐藤洋子（偽名）役は、木村文乃（ふみの）です。洋子は天才的な瞬間記憶力を持ち、主人公のサポートや運転手を務めます。大酒飲みで、バーで男性たちを酔い潰します。後述する敵の若者・コードを、鮮やかな蹴り技で倒しました。

木村文乃は、大河ドラマ『麒麟（きりん）がくる』の明智光秀の正室・煕（ひろ）子など、穏和な淑女の役が多いですが、『ザ・ファブル』では陽気で気取らない洋子を演じました。趣味のスキューバダイビングで、水深30ｍまで潜れるアドバンスド・オープンウォーターダイバーの資格を有し、剣道は初段です。

主人公（ファブル）に助けられるヒロイン清水岬は、山本美月が演じました。岬は一般人を装いわざとチンピラに殴られた主人公を案じ、自分のアルバイト先を紹介し同僚になります。真黒組の小島に狙われた際、主人公に救われ、漫画では後に主人公の内縁の妻となりました。デザイン会社で働き、主人公が描き始めた絵を見守る岬との共通項か、山本美月は絵を描くことが趣味でSNSに公開しています。

山本美月は、高校3年生の時に東京スーパーモデルコンテストでグランプリを獲り、雑誌『CanCam』の専属モデルになりました。2011年から女優として活動し、『桐島、部活やめるってよ』などの話題作に出演、映画『貞子vs伽椰子』やドラマ『パーフェクトワールド』などでは主演を務めています。

本名不詳のフードを被った若い殺し屋を、福士蒼汰が演じました。真黒組の砂川に雇われ、同業者として意識していたファブルとの戦闘を楽しむ役です。福士は『図書館戦争』シリーズでは、岡田が演じる堂上の部下・手塚光を演じています。『仮面ライダーフォーゼ』に主演し、映画『無限の住人』や『BLEACH 死神代行篇』ではアクションも披露しました。

小島は殺人罪で服役していた真黒組の構成員で、幹部の砂川が管轄する風俗部門で台頭したく、目をつけた岬と共に砂川に誘拐され、命の危機を主人公に救われます。柳楽（やぎら）優弥が演じたことで、映画の小島は漫画よりも若く、奇抜な人物になりました。柳楽は14才で、カンヌ国際映画祭の男優賞を史上最年少かつ日本人で初めて受賞しました。ドラマ『アオイホノオ』では、山本美月演じるヒロインに恋する主人公役です。

砂川は真黒組の幹部で、次期若頭候補です。敵対した小島の暗殺を企み、主人公に阻止されます。向井理（おさむ）が演じたため、小島と同じく、映画の砂川は漫画よりも若いです。左目に傷のあるキャラクターで、向井は薄色のカラーコンタクトを付けて演じました。爽やかな好青年の役が多かった向井が、顔に傷のあるヤクザを演じたことが話題となりました。

フードの仲間のコード（本名不詳）は、寓話を意味する呼び名を持つファブルをレアキャラと呼んで、戦うようフードを焚きつけます。遭遇した洋子にアプローチしたり、逃げる岬を囃し立てたりと軽薄な言動を見せます。漫画ではモスキート音が聞こえる特殊能力者です。演者の木村了は、2002年にジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞を受け、『麒麟がくる』では織田信勝を演じました。特技の空手は黒帯2段です。

漫画『ザ・ファブル』の中でも、主人公の強さは「寓話」にたとえられます。非現実的なほど凄腕の殺し屋だというような意味で「ファブル」と呼ばれ、伝説に近い存在として畏怖されます。「ファブル」もその意味の「寓話」も、日本ではあまり使われない言葉で、両者を結びつけてのタイトルの理解は、なかなか難しいようです。

英語「Fable」の言葉と意味を知っている人も、「féɪbl（フェイブル）」と発音記号通りに読んでいる場合、カタカナの「ファブル」と結びつけ難かったようです。また、『ザ・ファブル』の漫画を読んだり映画を視聴したりした後で、「Fable」という英語を知って、タイトルと言葉の意味に納得した人もいました。

また、英語の「Fable」の発音と、タイトルの「ファブル」のカタカナ表記との差異を疑問視し、フランス語ではと考えた人もいました。その際、英語の定冠詞「The（ザ）」ではなく、フランス語の「La」を付けるべき（「fable」が女性名詞のため）、との指摘もあります。

『ザ・ファブル』の「ファブル」は、寓話という意味の英語です。「ファブル」には伝説や作り話という意味もあり、主人公は殺し屋としての実績やうわさ話があまりにも超人的だと恐れられ、「ファブル」と呼ばれていました。『ザ・ファブル』の「ファブル」の意味と、映画の主なキャラクターと演者を紹介しました。