2021年02月19日公開
2021年02月19日更新
【蒼天航路】漫画最終回はどうなった?関羽と曹操の最後をネタバレ
三国志系の漫画の中でも敵役になる事が多い魏の曹操を主人公にした事で注目を集めた漫画が蒼天航路です。その漫画版最終回は曹操を主人公にした事の意味やこだわりが強く感じられたとして名作にふさわしい最終回だったと言われています。今回は蒼天航路の漫画版最終回について、最終回のあらすじをネタバレありで紹介しつつ、最終回を読んでのファンの感想などもまとめて紹介していきます。
蒼天航路とは?
蒼天航路の漫画の概要
蒼天航路は1994年~2005年までの間、講談社のモーニングで原作李學仁先生、作画王欣太先生のコンビで連載していた三国志を題材にした漫画です。後漢末期~三国時代にかけての英雄曹操を主人公にした作品で、新しい解釈も交えた作品として高い人気を集めた作品です。1998年に原作の李學仁先生が亡くなってしまった後は王欣太先生が1人で執筆し最終回まで仕上げた作品でもあります。
蒼天航路は正史と三国志演義をベースにしながらも独自のアレンジなども加えた事で高いキャラクター人気なども獲得、それまで注目を集めなかったキャラクターへの評価を変えるきっかけになった作品となっています。2009年にはアニメ化も行われるなどした事、原作では字を用いていた所を敢えて姓名に置き換えるなどこちらもアレンジを加えながらも高い人気を獲得しています。
蒼天航路の漫画のあらすじ
後漢末期、権力者であった宦官の孫として生を受けた後に曹操と名乗る事になる少年、阿瞞が届け物に行った帰り道、従兄弟の夏侯惇とならず者の集団である爆裂団の1人を殺害する事になってしまう所から描かれる事になります。仲間を殺された爆裂団と抗争状態となった阿瞞ですが、爆裂団の首領である李列を弁舌で圧倒、武力で潰しにかかってきた李列を殺害すると爆裂団を自身の配下として加え覇業への一歩を歩んでいく事になります。
蒼天航路の最終回結末ネタバレ!関羽と曹操の最後は?
最終回結末ネタバレ①城を包囲された関羽
蒼天航路は主人公が曹操であるという事も相まって三国志の時代の最後まで描く事はなく、歴史的な名前で言う所の「樊城の戦い」が最後のエピソードとして描かれています。蜀の武将として襄陽という土地の守備を任されていた関羽。しかしちょっとした油断から魏と呉の両方を敵に回す事になってしまいます。それまでも怒涛の強さを見せていた関羽でしたが魏と呉に包囲されついぞ捕縛される事になってしまうのでした。
最終回結末ネタバレ②関羽の最期
呉の総大将として自ら攻め上がってきた孫権を前にしても関羽は降伏する事なく、頭を下げる事もありませんでした。結果手に主君である劉備の取り決めた同盟さえも裏切る事になってしまった関羽ですが、決して劉備への忠義を忘れたわけではありませんでした。そして関羽は孫権に首を切られるその瞬間まで関羽であり続けました。そしてその首は孫権から曹操の元に届けられる事になります。
最終回結末ネタバレ③曹操の遺書
関羽の首を受け取った曹操は既に歩くこともままならず戦場に出る事も出来ない自分と比較して戦場で戦いの果てに死んだ関羽に対し「うらやましいぞ、関羽」というセリフをぶつけています。そして関羽の首を丁重に祀る事になります。そして関羽の死に、自身の死期すらも察した曹操は遺書を書き記す事になります。余談ですが関羽の身体は孫権によってこちらも手厚く祀られています。
ネタバレするとその遺書には「古式の葬儀を行うな」「埋葬が終わり次第服喪をやめよ」「駐屯地にいる将兵はその幕営を離れてはならぬ」「墓に金銀財宝を入れるな」などというそれまでの儒教の教えに反するような曹操らしい遺言が残されていました。そして曹操の死後、最終回は主要なキャラクターのそれぞれの死を描きながら結末を迎える事になります。
余談ですが、ネタバレしたように蒼天航路では三国時代の戦いにおいて、「樊城の戦い」までしか描いておらず、関羽の死に対して劉備が孫権に行った「夷陵の戦い」以降の戦いについてはほぼ触れられていません。これがまた蒼天航路が曹操の物語であった事を示す形となっています。
蒼天航路の名言や名セリフ集
蒼天航路の名言①「天だ!」
天だ!
蒼天航路における曹操の当初のキャラクター性を強く示しているとされる名言がこの名言です。曹操は物語序盤時点で権力を掌握している張譲との諍いから無実の罪を着せられる事になります。現場が張譲宅だった事もあって目撃者の証言も全て張譲に都合の良いように改変されていました。目撃証言というこれ以上ない証拠を曹操は覆す事は出来ないと考えられていました。
唯一曹操にとって救いだったのがこの裁判を担当したのが公私混同を一切しない事で知られ「洛陽の鬼神」とも言われる橋玄だったという点にもあります。詰問の場にて曹操は橋玄に張譲側の主張を聞かされた上で「曹操を弁護している者は曹操しかいないが他にその事実を見ていた者はいるか?」と問われます。その問いに曹操は「いる」と答えた上でこの名言を答えたのでした。
言い換えるならこの名言はもし曹操が嘘を言っているのであれば天が許すはずはなく例えここで裁かなくとも天が裁く事になるだろうという思いを曹操はたった一言で言い表したのです。この曹操の答えに橋玄が曹操を不問として解放し、その行く末を見守るという形を取る事になりました。
蒼天航路の名言②「苛酷に生きることは…」
苛酷に生きることは苛酷に死ぬことよりも何倍も力が要るぞ
蒼天航路では順調に勢力を拡大させていく曹操に対し、他の三国志系漫画では主人公に置かれる事も多い劉備が「甘ったれ」な形で描かれています。このイメージを特に大きくしたのが三国志演義などでもエピソードとして描かれている「劉備が妻子も置いて逃げ出した」というエピソードでした。三国志演義では呂布に襲撃された際でしたが、蒼天航路ではこれが曹操相手に置き換えられています。
この時、曹操の人質となった劉備の息子が「公徳」です。曹操の元に置いていかれた公徳はまだ幼いながらも曹操と対峙すると母親の前との間に入り母親を庇おうとします。その姿に曹操がかけたセリフがこの名言です。公徳が人質になった事は関羽が曹操に一時的にとはいえ下る事になった要因となっています。
蒼天航路の名言③「嗅覚だけで…」
嗅覚だけで生き抜いてきた奴らじゃ
孫堅の代から孫策を経て孫呉をまとめる事になった孫権。この頃には既に曹操が北で大きな勢力を築いていました。曹操は孫呉を抑えるべく大軍勢を派遣。孫権は戦うか恭順するか迷った末に戦う事を決意します。この判断に孫権に孫堅時代から仕えてきた周瑜はどのように戦うべきか迷っていました。孫呉はこの頃には父兄の時代を率いていた者達が既に亡くなっていたのです。
そこで孫権が用いたのが「八頭の獣」と呼称される事になる甘寧や周泰、凌統などの若手の起用でした。その起用に戸惑う周瑜の迷いを振り払った名言がこの名言になっています。この言葉を受けて周瑜は迷いを振り払い、そしてあらすじは「赤壁の戦い」へと進んでいく事になります。
蒼天航路の名言④「天下を気安く……」
天下を気安く饅頭みたいに分けんじゃねえぞ
主人公である曹操に対して「甘ったれ」なイメージが強くなった蒼天航路の劉備、そんな劉備のイメージが象徴された名言がこの名言です。この名言は諸葛亮孔明が劉備に対して「天下三分の計」を献策した際の名言となっています。
ネタバレすると元々蒼天航路の劉備はたとえ話によく「饅頭」を使います。諸葛亮孔明を自身の軍師に誘う際の「三顧の礼」エピソードの時も自身を饅頭に例えた上で「饅頭にはタレが欠かせない。(劉備という饅頭の)タレになってほしい」と解いています。元々人気の高いエピソードである「天下三分の計」を使った蒼天航路らしいシーンを象徴する名言となっています。
蒼天航路の漫画の面白い魅力
面白い魅力①曹操を中心として展開される三国志
蒼天航路以前の三国志系漫画の多くは「主人公劉備・最大の敵曹操」という構図で描かれる事が多くなっていました。それは三国志演義がそうである事も影響しています。これは中国の後の世でも比較的早い段階からそういう扱いをされていたからというのも関係しているといえます。しかし蒼天航路では敢えて主人公を曹操にする事でそれまでのイメージとは異なる三国志のあらすじが展開されていく事になります。
それまでの三国志作品で描かれてきた曹操の「苛烈さ」「独裁」「虐殺」も主人公とする事でしっかりと理に叶った動機付けが描かれるなど基本的なイメージは三国志演義などから続くイメージを継承しているのもポイントです。視点を変える事であらすじは知っているはずなのに魅力的に見えるという感想も書かれるのが蒼天航路です。
加えて蒼天航路の魅力になっているとされるのが曹操以外のキャラクターにもあります。特に普段は敵キャラとして描かれる事が多い曹操配下のキャラクターの描き方、敵対する側として描かれる劉備の姿など他の作品では見られない形になっているとするのが良いという感想も多くなっています。
面白い魅力②画力
上記でもネタバレしたように曹操を主人公に据える事で読者の心を掴むあらすじを展開する蒼天航路ですが、そんなあらすじを支える存在が作画を担当した王欣太先生の高い画力です。その高い画力とコマ割りは1コマに登場するキャラ全員が主人公として成立していると言われる程で迫力や臨場感の高さを生んでいるという声も多くなっています。
キャラクターはもちろん、背景やモブキャラクターなどのしっかりと描き込まれた作風は絵だけでも見られるという感想を集める程になっています。
面白い魅力③水晶という存在
蒼天航路における曹操の一面として「女たらし」の部分があります。特に若い頃のエピソードには女性が関わっている事も多いのですがそんな中でも特別な存在として描かれたのが蒼天航路オリジナルのキャラクターである水晶です。水晶は西域出身の褐色美人で、茶屋で使用人をしている女性でした。西方の知識を多く持つ水晶に曹操は恋心を惹かれる事になります。そんな2人の関係を引き裂く事になったのが張譲です。
この水晶の存在が上記の名言でも紹介した曹操と張譲との諍いに繋がっていくのですが、ネタバレするとこのエピソードの中で水晶は張譲に殺された上、張譲の曹操への嫌がらせとして曹操の家の前に全裸で吊るされるという辱めを受けています。このあらすじで分かるように水晶は蒼天航路という壮大なあらすじの中ではわずか、漫画の巻数でいうと2巻までしか登場していないキャラクターになっています。
しかし水晶への想いを曹操はずっと持ち続けていました。水晶と出会った時点で7人の妾がいたり、その後も「女たらし」なエピソードが描かれる曹操ですが、その心の中にはずっと水晶がおり、最終回でも曹操の回想の中に登場するなどしています。最終回の感想ではこの水晶について触れる感想も多くなる程で、それが曹操を魅力的に描いた蒼天航路の面白さだとする声も多くなっています。
蒼天航路の最終回に関する感想や評価
蒼天航路の最終回のラストシーンこそ曹操らしさが詰め込まれてる。
— 観測所(エメット) (@Yaspmpmp) January 24, 2021
ここからは既に蒼天航路を読破した人の最終回に関しての感想を紹介していきます。蒼天航路は三国志の物語ではなく曹操の物語であるとする感想は非常に多く、特に最終回に至るまでの終盤、そして最終回は蒼天航路で描いてきた「曹操らしさ」が全面に出ていたのが良かったとする感想も多くなっています。
曹操を主人公に据えた意味が感じられる最終回だったという声も多く、特に最終回カウントダウンが行われた連載当時はどのような形で締めくくるのか高い注目を集める事になりました。その注目に恥じない最高の最終回だったとする感想が多くなっています。
蒼天航路の最終回で曹操が死んだ後一巻に出てきた水晶と再会してアモーレで終わるの時々思い出す
— 叔父 (@S_feildsForever) April 24, 2019
特に最終回にて水晶が登場したのが良かったという感想は非常に多いです。元々蒼天航路で描かれたオリジナルエピソードであり上記でネタバレしたように最序盤に退場してしまうキャラクターながらも強烈なインパクトを与え蒼天航路が他の三国志作品とは違う事を印象づけただけに最終回に登場し、曹操の心のなかにい続けたのが描かれたのが良かったとする感想も多くなっています。
蒼天航路、最期が惇兄と2人の時だったというのが個人的にすごい良かったです。
— 水瀬汐音@三国志以外の話題多めです (@m_love_general5) November 25, 2016
曹操様は完璧すぎて逆に引いてしまう部分もありましたが、周りの人達がとにかく良かったです。どの勢力の人も魅力的でしたよね。
最終回まで飽きずに読めて、終わり方も良かったと思うのは同じですね
蒼天航路は曹操を中心とはしていますがそれ以外のキャラクターも個性的で良いという感想も多くなっています。最終回では曹操と同世代で蒼天航路の中で活躍してきたキャラクターの死もいくつか取り上げられておりそれが良かったとする感想も多くなっています。
同時に三国時代を最後まで描かずに最終回を迎えた事が意外だったとする声も一部には見られます。曹操以外にも魅力的なキャラクターは多くおり、曹操の後継者となる曹丕を主人公に据えた形でも続けられたにも関わらず曹操の死を最終回とした事でもっと見たかったとする声も多くなっています。
蒼天航路の最終回まとめ
蒼天航路の最終回は曹操の物語というあらすじである蒼天航路らしく三国時代の最後まで描く事なく曹操の死を描く形で最終回となっています。その最終回は下手な引き伸ばしを行わず徹頭徹尾曹操が主人公であるという事を貫いた作品として名作と言われるに相応しい最終回であったと感想を集める作品になっています。
蒼天航路のあらすじはベースはもちろん三国志ながらも独自の解釈や要素を盛り込む事で他の作品とは違った楽しみ方が出来たという感想も多くその集大成となった最終回だったとする感想も多い作品になっています。まだ蒼天航路を読んだ事がないという人は曹操を中心としたあらすじとしっかりと締めくくられた最終回を楽しんでみてはいかがでしょうか?