【クレヨンしんちゃん】ふかづめ竜子は埼玉紅さそり隊のリーダー！意外とかわいい？

白井儀人原作のギャク漫画「クレヨンしんちゃん」は、1990年に「漫画アクション」で連載を開始し、累計発行部数5000万部以上を誇る大ヒット漫画に成長します。「クレヨンしんちゃん」の関連書籍・海外関連書籍を含めると、「クレヨンしんちゃん」を出版している双葉社の書籍としては最大の発行部数となっているようです。「クレヨンしんちゃん」は、アニメや書籍だけでなく多方面で成功しています。

2000年に「まんがタウン」へ移籍した漫画「クレヨンしんちゃん」は、2009年9月に白井儀人氏の急死という悲劇があったものの遺稿が残っており、連載は「まんがタウン」2010年3月号まで続けられていました。先行きが危ぶまれていた「クレヨンしんちゃん」は、白井儀人氏の元スタッフによる「新クレヨンしんちゃん」として連載が同年9月号より再始動となります。

下ネタやブラックユーモアありのフリーダムな「クレヨンしんちゃん」は、青年誌連載だったので問題はなかったようです。その点を控えめにした1992年からのテレビアニメでは、主人公しんのすけの歯に衣着せぬ発言は子供の教育面に良くないと問題視されてしまいます。しかし、しんのすけの型破りなキャラが支持され、国民的アニメへの階段を上っていくことになります。

「クレヨンしんちゃん」テレビアニメ化の翌年1993年以降、毎年春に公開されている劇場映画は「クレヨンしんちゃん」スピリットを崩さず、ハリウッド映画並みのド迫力で家族の絆を織り込み幅広い世代に親しまれています。

埼玉県春日部市を舞台にアクション幼稚園（アニメ版はふたば幼稚園）に通う5歳児・野原しんのすけを主人公に、父ひろし・母みさえ・妹ひまわりや友人・知人との日常をブラックユーモアたっぷりに描いています。映画版では春日部市だけでなく、戦国時代にタイムトラベルや異世界に潜り込んでしまうなどスケールアップしています。

80年代を彷彿させるスケバングループ「埼玉紅さそり隊」のリーダー「ふかづめ竜子」こと本名・桶川竜子は17歳の高校3年生で、原作では4巻・アニメでは65話から登場しています。メンバーである同級生の「魚の目お銀」と「ふきでもの マリー」はロングスカートの80年代スケバン風ですが、ふかづめ竜子は90年代以降のかわいい女子高校生を彷彿させるような茶髪と短めのスカートとなっています。

古き良き時代スケバン道を貫くふかづめ竜子ですが、どこからともなく紅さそり隊の会合に現れるしんのすけにお笑いの師匠と慕われたことで、周囲からはお笑い芸人だと認知されてしまい迷惑しているようです。

のっぴきならない状態になったライバルのスケバンを助けるためふかづめ竜子は、ことわざ「敵に塩を送る」を陰ながら実践することができる粋なスケバンです。そんなふかづめ竜子に好意を抱く女子高校生がいたのですが、当の本人は自分を狙っている刺客だと勘違いしてしまう天然な面もあるようです。

某アイドルグループのように恋愛禁止の「紅さそり隊」でふかづめ竜子は、ひろしやしんのすけの剣道の師匠・武蔵野剣太に好意を抱いたこともあり、スケバンでありながら等身大の恋する女子高校生でもあるようです。しかし、メンバーは惚れっぽいふかづめ竜子に少々呆れ気味のようです。

良くも悪くもマイペースなしんのすけと正反対の優等生キャラ風間くんが、珍しく母親とケンカしてしまいます。怒りのぶつけどころがない風間くんは、不良になるべくふかづめ竜子に相談します。「お前は親殴れるか？」と言ったふかづめ竜子に対し、風間くんは「はい、殴ってみせます」と言い放ちます。

そんな風間くんにふかづめ竜子は、「不良失格だ。あたいらはこれでも親に感謝してる。こんなあたいらでも産んで育ててくれたんだからな」という見事な名言で風間くんを説き伏せます。上から目線で諭すのではなく、対等に風間くんと向き合ったふかづめ竜子の名言には説得力があります。

生粋のスケバンふかづめ竜子は、しんのすけと関わってしまったことでお笑い芸人の素質が開花してしまったようです。しんのすけから「師匠」と呼ばれるふかづめ竜子は、笑いを誘う名言「あたいらはお笑い芸人じゃねぇ」「あたいはお前の師匠じゃねぇ」で全力否定をしています。そんなふかづめ竜子の前に突如現れた剣道を始めたしんのすけの師匠・武蔵野剣太に、「しんのすけの師匠は自分だ」だと妙にかっこいい名言を残しています。

いつも纏わりつくしんのすけを「ジャガイモ小僧」と呼び、迷惑しているふかづめ竜子は、みさえに抗議しようとしますが我が子を叱る様子に、泣く子も黙るスケバンは恐怖を感じ引き下がってしまいます。その際にふかづめ竜子は、しんのすけを「ジャガイモ小僧」を言いかけてしまい、すぐに「しんのすけ」と言い直しています。

今時のかわいい女子高校生スタイルを嫌っているふかづめ竜子は、機械音痴でもあるにも関わらず密かに風変わりな色の携帯電話を購入し、ストラップをじゃらじゃらと大量につけます。厳格な家庭で育ったふかづめ竜子は母親を「お母様」と呼んでいますが、家ではセーラームーンのコスプレをしているという、スケバンとは正反対のかわいい面があるようです。

伊倉一恵さんは声優ではなく元々薬科大学を志望していましたが、残念ながら受験は失敗となり、母親の薦めもあり俳協付属養成所に入所、卒業公演から舞台に力を注ぐようになります。声優デビューは1979年「まんが猿飛佐助」の女忍者役ですが、卒業後は舞台をメインにしていたので、拘束時間が少ない声優業はアルバイト感覚だったようです。声優としての初レギュラーは、1981年「まんが 水戸黄門」のお琴役です。

20代半ばから本格的に声優業にシフトし始めた伊倉一恵さんは、1980年から所属していた「－劇舎(SHIBAIYA)－燐」を1985年に退団します。東京俳優生活協同組合、ぷろだくしょんバオバブを経て、現在は有名声優が数多く名を連ねている青二プロダクションに所属しています。

舞台から声優に活動の場を移した伊倉一恵さんは、1987年「シティーハンター」の槇村香役でブレイクします。主演に縁遠かった伊倉一恵さんは、1990年「ロビンフッドの大冒険」でテレビアニメ初主演を果たし、同年の「三つ目がとおる」でも主役を演じており、人気実力を兼ね備えた声優となります。アニメだけでなく、海外ドラマ「ER緊急救命室」や「グッドワイフ」などの吹替えでも活躍しています。

2019年に伊倉一恵さんの出世作となった「シティーハンター」の劇場版「シティーハンター」＜新宿プライベート・アイズ＞が公開されており、30年近くのブランクを感じさせない伊倉一恵さんの演じる槇村香を見ることができます。

泣く子も黙るスケバングループ「埼玉紅さそり隊」のリーダーであるふかづめ竜子に、今時の女子高校生のようにかわいい面があるというギャップは笑えます。それにプラスして、声優・伊倉一恵さんのコメディセンスのお陰で笑いが倍増しているようです。

声優・伊倉一恵さんの当たり役となった「シティーハンター」の槇村香の亡き兄・牧村秀幸は刑事だったので、警官に憧れるふかづめ竜子に「シティーハンター」とリンクしてしまったリアルタイム世代もいたことでしょう。

「クレヨンしんちゃん」当初から登場しているふかづめ竜子が、意外とカッコいいという声があるようです。そんなふかづめ竜子が、「クレヨンしんちゃん」劇場版で活躍する姿を見たいファンも多いのではないでしょうか？

90年代初頭にスタートした「クレヨンしんちゃん」で、80年代の古き良き時代のスケバンを体現したようなふかづめ竜子は時代遅れですが、不良になりたいと言った風間くんを名言で見事に諭すなど己の信念を曲げず、時折垣間見えるかわいい面が支持を集めてきたようです。ふかづめ竜子は風間くんたちのように登場回数が多くないので、登場を待ち望んでいるファンも多いことでしょう。