2020年01月11日公開
2020年01月11日更新
パプリカの原作小説のあらすじ・感想をネタバレ!漫画版や映画版との違いはある?
パプリカの原作は筒井康隆さんのSF小説であり、夢に介入できるようになった近未来の世界を描いています。この記事ではパプリカについて、原作小説のあらすじネタバレや、映画版・漫画版との違いを紹介します。人気作品であるパプリカはアニメ映画化や漫画化もされていますが、原作をなぞっていたり相違点があったり完全にオリジナルストーリーであったりする違いがあるようです。パプリカの原作小説やアニメ映画、漫画版が気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
パプリカとは?
パプリカとは、夢に介入する技術が発達した近未来を舞台に、夢探偵をする女性セラピスト・パプリカの活躍を描いたSF小説です。アニメ映画や漫画にもなっており、その独特な世界観と表現は多くのファンから高い評価を受けています。この記事ではパプリカについて、原作小説のあらすじネタバレや、映画版・漫画版との違いを紹介します。名作SFと名高いパプリカが気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
パプリカの原作の概要
パプリカの原作は、1993年に刊行された筒井康隆さんによる小説作品です。夢に機器を通じて介入できる技術が発達した近未来の世界で夢探偵を行う女性パプリカの活躍を描いています。
パプリカのアニメ映画の概要や監督
パプリカはアニメ映画化されており、監督は今井敏さんで2006年に公開されました。キャッチコピーは「私の夢が、犯されている」「夢が犯されていく」です。原作小説の作者・筒井康隆さんが声優として出演しています。
パプリカの原作小説のあらすじ
それでは次に、パプリカの原作小説のあらすじネタバレを紹介していきます。パプリカは機械を通じて夢に介入できるようになった近未来の世界を描いており、現実と夢の境界がどんどん曖昧になっていく様が印象的です。途中でどっちが夢でどっちが現実か混乱する読者の方も多いので、このあらすじネタバレで整理していきましょう。ネタバレを多分に含みますので、未読の方はご注意ください。
あらすじネタバレ①伝染性の分裂症
主人公の千葉敦子は、精神医学の権威と言われる精神医学研究所に所属する眉目秀麗なセラピストです。精神医学研究所が権威と呼ばれるようになったのは、千葉敦子とその同僚・時田浩作が共同開発したサイコセラピー(PT)機器の発明によるものでした。PT機器により夢をモニター・介入することが可能になり、分裂症(統合失調症)の治療に絶大な効果を発揮しました。
この功績で、千葉敦子と時田浩作はノーベル賞候補と囁かれるようになり、PT機器と千葉敦子たちは世間の注目を集めていました。しかしそんな時、研究所内で分裂症患者の夢をPT機器でモニターしていた研究員が分裂症になる事例が発生し、分裂症は伝染するのではないかという不穏な噂が広がります。時を同じくして、千葉敦子と時田浩作はノーベル賞候補としてマスコミを相手に記者会見を開きます。
そこではPT機器についての他に、研究所内で分裂症が伝染したという噂について質問されます。なんとかその質問を交わしつつも、千葉敦子はPT機器への信頼性を失墜させるその噂を研究所外部へ漏らした犯人を探ります。研究所内にはPT機器の存在や千葉敦子たちを快く思わない者がおり、その代表的な人物である副理事長・乾精次郎やその腹心の部下・小山内守雄が犯人だろうと当たりをつけます。
研究所内での研究員の分裂症発症もおそらく乾たちが噛んでいると考えた千葉敦子は、時田浩作とともに当該の研究員の夢やPT機器を調査します。すると分裂症患者の夢を無意識下に照射されていたことが判明します。PT機器に細工できるのは開発者の時田浩作以外では助手の氷室だけであり、そんなことをしても氷室にはなんの利益もないため、誰かに騙されているのだろうと考えます。
千葉敦子は氷室の影にいる人物を暴くため、氷室を一時泳がせることにしました。しかしそうしているうちに千葉敦子の部下が分裂症を発症し、さらにはPT機器をより小型化・ワイヤレス化した「DCミニ」が盗まれてしまいます。DCミニは開発途中の機器のため、意に反して装着された場合のアクセス拒否機能が搭載されていませんでした。そして氷室は姿を消し、誰にもその消息が分からなくなります。
あらすじネタバレ②粉川利美との再会
研究所内で千葉敦子らは内紛状態にありましたが、同時に夢探偵「パプリカ」としての活動を再開していました。パプリカとはかつて使っていた偽名であり、千葉敦子は精神の病に苦しむ人の夢にPT機器でジャックインして治療を行なっていたことがありました。その時代はPT機器の使用は合法化されておらず、パプリカとしての過去は以来ずっと秘密になっていました。
パプリカとの治療を終えて少し経ったある時、能勢は大学時代の友人・粉川利美に再会します。粉川は警視庁の警視監であり、抑鬱症の症状に悩まされていました。心配した能勢は粉川をパプリカに紹介することにします。粉川の治療を始めてPT機器で粉川の夢をモニターしていると、夢の中に粉川とは面識のない乾精次郎の顔がアップで映し出され、パプリカは不審がります。
しかし最近になって研究所所長の島耕作にどうしてもと懇願され、千葉敦子はしぶしぶパプリカを再開していました。その患者は能勢達夫という人物で、自動車メーカー会社の重役でした。彼は不安神経症に悩んでいましたが、パプリカの治療によって症状は寛解しました。
その後もPT機器を使用して粉川の夢をモニターしていると乾精次郎が現れることがあり、どうもおかしいとパプリカは考えます。真相は、DCミニを盗んだ犯人である乾精次郎と小山内守雄が恋愛関係にあり、夜な夜なDCミニを使用して同衾していたために、千葉敦子のPT機器に干渉してしまったのでした。
次に、乾精次郎は違う手で攻撃を仕掛けてきます。時田浩作と研究所の所長である島寅太郎にDCミニを密かに取り付け、研究員にしたように分裂病患者の夢を無意識下に照射して分裂病を発症させます。その上小山内守雄に千葉敦子を襲うよう指示します。密かに千葉敦子を慕っていた小山内守雄は喜んでその命令に従い、部屋に上がり込んで彼女に暴行しようとしますが、未遂に終わります。
乾精次郎たちの手段が卑劣さをエスカレートさせてきた折、かつてのパプリカの患者である能勢と粉川が様子がおかしいパプリカを心配して家を訪れます。パプリカは彼らに現状を洗いざらい相談しようと決心し、場所を変えようとスーツを手に取ったところ、ポケットの中にDCミニが入っていることに気がつきます。全て盗まれたと思っていたDCミニですが、一つは千葉敦子が間違えて持っていたのを忘れていたのでした。
あらすじネタバレ③反撃
千葉敦子は能勢と粉川に現状を洗いざらい話し、彼らの助けを借りることにします。そして千葉敦子は手に入れたDCミニを使って乾精次郎たちに反撃を開始します。千葉敦子が島寅太郎の治療をしようと夢にジャックインしていると、乾精次郎の夢が干渉してきます。乾精次郎本人に会う前に小山内守雄が現れ、揉み合いになります。千葉敦子は夢とわかっていつつも小山内の頭からDCミニを掴み取り、覚醒します。
すると夢の中でもぎ取った小山内守雄のDCミニが、現実の千葉敦子の手の中に存在していました。夢の中からも物質を持ち帰れるという、DCミニの思わぬ機能に愕然とします。翌日、千葉敦子は時田浩作の治療に取り掛かりました。するとそこにも乾精次郎と小山内守雄が干渉してきてDCミニの奪い合いが始まります。しかし途中で巨大な日本人形が出現し、氷室の夢までが干渉してきていることがわかります。
行方不明になっていた氷室は、口封じのために乾達からDCミニを使って重度分裂病患者の夢を照射され、廃人にされていました。生体化学素子を使用したDCミニは、装着し続けるとアナフィラキシー効果で有効範囲をどんどん広げていく仕様になっており、遠くに監禁されている氷室の夢が干渉してきたのでした。重度の分裂病患者である氷室の夢にずっと滞在していれば廃人になってしまうため、乾達は慌てて覚醒します。
パプリカも覚醒したと思っていましたが、実は覚醒できておらずずっと夢の中に閉じ込められていました。どうやっても目覚めることができず、パプリカは夢の中から電話で能勢に助けを乞います。能勢は粉川とともにDCミニを装着してパプリカの夢の中にジャックインし、三人で覚醒することに成功します。千葉敦子らが目覚めた頃、夢の範囲を広げ続けることを問題視された氷室は、乾達によって殺されていました。
あらすじネタバレ④対決
行方不明、そして殺害されてしまった氷室の両親が研究所を訪れ、行方を知りたいといってきます。警視監である粉川が手を回し現在捜査中であると説明していると、彼らがいるレストランに氷室の夢に出てくる巨大な日本人形が出現します。突如現れた日本人形に客はパニックになり、逃げ出そうとします。レストランは大破、怪我人は大勢でるなど大変な事件になります。
これをきっかけに東京中に夢の中の存在が出現するようになります。夢と現実の境界がどんどん曖昧になっていくなか、千葉敦子は元凶である乾を覚醒させなければ事態が収拾できないと考えます。しかし乾は身を潜めてなかなか見つかりません。東京はカオスな状態となっていますが、そんな時に千葉敦子と時田浩作がノーベル賞を受賞したことが知らされます。
乾精次郎はかつてノーベル賞候補と言われながらその名誉を他の人に奪われた過去を持っており、千葉敦子が受賞するかもしれないことに嫉妬していました。そのことから千葉敦子の授賞式を必ず邪魔してくると踏んで、授賞式が行われるストックホルムに能勢や粉川も同伴します。予想どうり授賞式に乾の夢の存在が乱入してきて混沌となり、千葉敦子達は夢に入って反撃します。
そのうちに乾は発狂し、夢の存在の現実への侵略は終わりを迎えます。その後、現実世界の乾の体が研究所で亡くなっているのが発見されます。ようやく夢と現実の混線が解決し、千葉敦子はパプリカとしての活動を永遠に卒業して時田浩作と結婚することを発表します。
パプリカの原作小説と漫画版や映画版との違い
パプリカは原作小説の他に、アニメ映画、漫画が作られている人気作品です。ここでは、パプリカの原作小説と漫画版や映画版の違いなどを紹介します。原作小説しか読んでなくて映画版やアニメ版がどのような作品か気になる方は、ぜひチェックしてみてください。
パプリカの原作小説と漫画版の違い
パプリカの原作小説と漫画版の違いを紹介します。パプリカの漫画は萩原玲二さんによってコミカライズされ、ミスターマガジンにて連載されました。講談社から全2巻が刊行されています。パプリカの漫画版のストーリーは原作小説に準拠して作られており、あまり違いはありません。原作小説のパプリカが好きでそのまま絵になったのを読んでみたいファンの方に評価が高いようです。
また、パプリカの漫画作品はもう一つあり、それは坂井恵理さんによってコミカライズされ月刊少年シリウスにて連載された『パプリカ~The dream-child』です。坂井恵理さん版の漫画パプリカの内容は、映画パプリカの続編を描いたものであり、完全オリジナルストーリーとなっています。映画パプリカのファンの方に評価が高いようです。
パプリカの原作小説と映画版の違い
パプリカの原作小説と映画版の違いを紹介します。パプリカのアニメ映画は今井敏さんが監督し、2006年に公開されました。原作小説のパプリカとアニメ映画版には大きな違いがあります。まず、登場人物の役職です。原作小説では知事長だった島寅太郎はアニメ映画では所長になっており、副理事長だった乾精次郎は理事長となっています。千葉敦子や時田浩作の開発したPT機器に関しても、アニメ映画では世の中に公開されていません。
また、原作小説では相思相愛である千葉敦子と時田浩作ですが、アニメ映画版ではあまり恋愛関係を匂わす描写はなく、最後に明かされるのみとなっています。また、原作小説は性的な描写が多く、千葉敦子と登場人物達のそういったシーンが多々登場しますが、アニメ映画版では省略されています。そして原作小説の特徴である夢と現実の不明瞭さも、アニメ映画ではマイルドになっています。
パプリカの原作小説の登場人物
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。パプリカに登場する主要キャラクターはあまり多くなく、何名か覚えればだいたい話を把握できるので読みやすいと言えます。それでは、登場人物をみていきます。
登場人物①千葉敦子
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。一人目は主人公の千葉敦子です。千葉敦子は精神医学研究所に所属する眉目秀麗なセラピストであり、PT機器の開発者の一人です。PT機器が違法だった頃に夢探偵パプリカとして精神の病を治療していた過去があります。自立心が強く、なんでも一人で解決しようとするようなところがあります。
登場人物②時田浩作
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。二人目は時田浩作です。精神医学研究所の天才研究者であり、PT機器開発はほとんど時田浩作によって担われました。100キロを超える巨漢で、見たものに圧迫感を与えます。精神的に幼いところがあります。オタクであるという自認があります。
登場人物③小山内守雄
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。三人目は小山内守雄です。精神医学研究所に所属する研究者です。乾精次郎のことを崇拝しており、恋愛関係にあります。千葉敦子らの開発したPT機器を忌まわしく思っており、何かにつけて妨害してきます。「ギリシャ彫刻のような」美貌の持ち主で、その陰険な性格にも関わらず男女両方からモテています。
登場人物④島寅太郎
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。四人目は島寅太郎です。精神医学研究所の所長であり、人柄の良さから人望を集めていますが、所内政治は苦手としています。パプリカに治療してもらった過去があります。
登場人物⑤乾精次郎
パプリカの原作小説の登場人物を紹介します。五人目は乾精次郎です。精神医学研究所の副理事長であり、千葉敦子らの開発したPT機器を忌まわしく思っています。恋愛関係にある部下の小山内守雄を使い、時田浩作の開発したDCミニを奪って陰謀を企てます。
パプリカの原作小説に関する感想や評価
小説パプリカはアモン神のあのシーンが個人的にとても印象的
— ちゃいろいうさぎ (@tyausagi_35) December 20, 2019
ラストにかけてのスピード感と最期の呆気なさがとても良かったです
あと小山内、オマエ、
小説版パプリカには様々な神話に登場する神々が出てき、古代エジプトのアモン神が重要な役割で出てきます。神話の神々が現実世界に出現して世界を侵食していく様子が非常に不気味であり、高い評価の理由の一つとなっています。
小説「パプリカ」読み終わったー!映画のパプリカはすごく色彩が綺麗で話に吸い込まれるから好きなんだけど小説も面白かった!今読んでいる場面が現実か夢かしかも誰のか分からなくなったりしたけど(笑)後小説の方がグロいですね。パプリカのかわいさは変わらないのと粉川さん好き(笑)
— 令和なお嬢/おーたま (@nobiruusagi) December 15, 2014
パプリカはアニメ映画がとても有名ですが、原作小説の方は現実と夢の境界がより不明瞭だったり、グロテスクなシーンがあります。アニメ映画でパプリカが気に入って原作小説を読んだという感想が他にも多く見られました。
パプリカ 感想
— 理不尽な猫 (@rihujinnaneko) December 22, 2019
序盤からかなりぶっ飛んだアニメでした
天使のたまごとかlainみたいな芸術系アニメ
パーフェクトブルーとは違う不気味さがあり音楽と作画がそれをさらに引き立て、夢か現実かわからなくなった
夢を次々に移動していくシーンとパレードのシーンが好き、特にパレードは音楽もヤバいわ pic.twitter.com/x9wuZmdoqP
アニメ映画版のパプリカの高い評価の理由の一つは、このツイートが指摘するようにその音楽です。一見賑やかで楽しそうに見えるパレードも、音楽がつくことによって一転不気味この上ない悪夢になります。
パプリカの原作小説のあらすじまとめ
この記事ではパプリカについて、原作小説のあらすじネタバレや、映画版・漫画版との違いを紹介しました。原作小説と映画は内容にかなり相違点がありますが、どちらもファンから高評価のようです。この記事でパプリカに興味を持った方は、ぜひ原作小説やアニメ映画のパプリカを視聴してみてはいかがでしょうか?