2019年06月26日公開
2019年06月26日更新
「さらざんまい」の元ネタは津山事件?難解な幾原邦彦監督作品の意味を考察!
幾原邦彦監督のオリジナルアニメ作品となるさらざんまいですが、とある事件が元ネタになっているという噂はご存知でしょうか?今回はさらざんまいという作品について、キーワードとされる愛と欲望についてや、元ネタであるとされる津山事件や北九州監禁殺人事件などについてもまとめてご紹介します。これまで事件については知らなかったという人でも、それらの情報を頭に入れてからさらざんまいを観てみるとまた違った感想を抱く事になるかもしれません。
目次
「さらざんまい」とは
2019年4月より放送が開始されたアニメ「さらざんまい」ですが、元ネタが津山事件なのではないかと話題になっています。今回は幾原邦彦監督が製作するさらざんまいというアニメについて、あらすじなどの基本的な情報から、元ネタであると言われている津山事件や北九州事件についてもまとめてご紹介します。
さらざんまいの作品情報
さらざんまいはMAPPAとラパントラックが共同制作を手掛けたオリジナルアニメーション作品で、幾原邦彦監督が製作したノイタミナ枠のアニメです。キャラクター原案を担当したのはイラストレーターのミギーさんで、スピンオフとなるコミカライズも発表されています。2019年にはエイプリルフール企画として「すしざんまい」とのコラボが行われましたが、これはアニメの放送開始と共に現実のものとなりました。
さらざんまいの概要
さらざんまいは東京の浅草を舞台とした物語で、ある日カッパ型をした謎の生命体「ケッピ」に出会った少年達が、カッパに変身させられてしまうという作品となっています。さらざんまいのOPを担当しているのは「KANA-BOON」、EDを担当しているのは「the peggies」です。
さらざんまいのあらすじ
矢逆一稀、久慈悠、陣内燕太という中学2年生の少年達は、ある日突然現れたカッパ型の生命体「ケッピ」の事をカエルと間違えてしまいます。それによりケッピを怒らせた三人はカッパにされてしまい、人間に戻る為にとある方法でゾンビの持つ尻子玉を奪う事を命じられてしまいました。また同時期には、交番勤務をしていた新星玲央と阿久津真武の元でも、何かが起こる気配がしていたのです。
さらざんまいはオリジナルアニメ
さらざんまいには原作になる小説や漫画などはなく、幾原邦彦監督によるオリジナルアニメ作品となっています。公式ホームページが登場したのは2018年3月の事で、同時にTwitterやInstagramといったSNSアカウントも作成されました。2018年10月には5週に渡る「つながるPV」がCMとして放送され、それぞれがメインキャラクターに焦点を当てた仕上がりとなっているCMでした。
さらざんまいの登場キャラクター
さらざんまいには様々な魅力的なキャラクターが登場しますが、ケッピによってカッパに変身させられてしまった三人はそれぞれに秘密を抱えて生活をしています。一稀はサッカー少年である過去を持ちながらとあるきっかけにより、現在は弟の為にご当地アイドルの女装をしており、悠は悪い噂もあり孤立してしまっている少年で、燕太は一稀に対して密かに恋心を抱いている少年です。
さらざんまいのタイトルの意味
さらざんまいというタイトルについて、どういう意味が隠されているのかを考察するファンも少なくありません。そのまま漢字に変換すると「皿三昧」となる筈ですが、登場人物達がカッパに変えられてしまう事からもカッパの皿なのではないかと予想されています。更にさらざんまいはつながりを大事にしている事から、切れ目や欠けた部分の皿が繋がる「円」を表しているとも考えられ、物語の結末に関係してくると予想されています。
「さらざんまい」の元ネタは津山事件か北九州の事件?
幾原邦彦監督のオリジナルアニメ作品であるさらざんまいですが、現実に起こった凄惨な事件が元になっているのではないかとも言われています。続いてはさらざんまいの元ネタであると言われている、津山事件や北九州事件についてもご紹介します。
監督は幾原邦彦
さらざんまいの監督を務めているのは、幾原邦彦さんです。幾原邦彦監督はこれまでに「少女革命ウテナ」「輪るピングドラム」「ユリ熊嵐」といった人気作品を手掛けてきた人物で、これらの作品も実在する事件に影響を受けた可能性があるとも言われています。その為今回のさらざんまいにおいても、確証はないものの実際の事件が元ネタとして扱われているのではないかと考えられています。
ユリ熊嵐の元ネタも事件
ユリ熊嵐の元ネタと言われている事件は、「三毛別羆事件」とも言われています。これは日本史上最悪の害獣事件と言われている、熊による死者を出した事件です。この三毛別羆事件をモチーフとした小説も存在しており、そのタイトルが「羆嵐」である事や、ユリ熊嵐の主人公の部屋の中に熊が仕留められた際の写真が飾られている事から関連があると予想されています。ただし明確な関連性は見つかっていない様です。
皿の地名は岡山県津山市
さらざんまいが実在の事件を元ネタとしているとされた理由の一つには、とある事件が起こった場所の地名に「皿」があった事が挙げられています。ただし実際に事件が起こった場所と、この皿という地名のつく場所は車で移動しても30分以上もかかる距離にある事から、偶然挙げられた地名が無理矢理にこじつけられたものであるという説が有力であるとされています。
津山事件に関係?
ちなみにこの皿のつく地名に関連した事件というのは、1938年5月21日に岡山円で起こった「津山三十人殺し事件」というものです。この事件は津山市の集落で、都井睦雄という人物によって三十人もの人間が殺害されたという恐ろしいものです。実際にこの事件をモチーフとして制作された作品に「八つ墓村」「丑三つの村」といった小説が挙げられます。とても有名な事件である為に、モチーフとされてもおかしくはない筈です。
北九州監禁殺人事件説とは
更にさらざんまいでは、北九州監禁殺人事件も元ネタの一つなのではないかと言われています。これは2002年3月6日に発覚した監禁・殺人事件で、マインドコントロールを受けた一家が自らの親や子を虐待し殺害するという恐ろしい事件です。さらざんまいの中では3と6という数字を強調する場面が登場する事から、北九州監禁殺人事件と関連しているのではないかといった説が浮上しているのだそうです。
「さらざんまい」以外の難解な幾原邦彦の作品の意味
様々な事件を元ネタとして関連性を考察されているさらざんまいですが、何故そういった事件に繋がりが見られるのかという理由には、幾原邦彦監督がこれまでに製作した作品に理由がありました。続いては幾原邦彦監督がこれまでに手掛けた作品の中で、難解な作品の意味についてをご紹介します。
少女革命ウテナ
少女革命ウテナは1997年4月に放送されたアニメ作品で、作中では主人公の両親を始めとした大勢の死者が出る様な事故や災害といったものが登場します。明確な元ネタと呼べる様な事件は挙げられていません。しかし1995年には地下鉄サリン事件や阪神大震災といった大きな災害や事件が起こった年でもあり、連想させる様な事はしていないもののモチーフとして影響を受けた可能性もゼロではないのかもしれません。
ユリ熊嵐
こちらは2015年1月に放送されたアニメ作品で、前述の通り三毛別羆事件がモチーフとなっているのではないかという説が有力である様です。ただし少女革命ウテナと同様に確実な繋がりがあるわけでもなく、あくまでファンの間での考察という段階に留まっているものである様です。
輪るピングドラム
こちらは2011年7月に放送されたアニメ作品で、地下鉄サリン事件の起こった1995年3月20日が登場人物の誕生日でもありました。更に作中には95という数字が度々登場しており、地下鉄サリン事件が元ネタであると考えられている様です。
「さらざんまい」のキーワードは愛と欲望?
いい意味でわけがわからないとも言われているアニメのさらざんまいですが、作品のキーワードとなっているのが「愛」と「欲望」なのではないかと言われています。続いてはそんなさらざんまいのキーワードについても詳しくご紹介します。
序盤から読み取れる愛と欲望
さらざんまいの序盤でも、既に愛と欲望というワードが登場しています。1話の終盤ではカワウソ交番で、愛か欲望かを問うシーンが見られます。愛と欲望は対のものであるとして表現されており、「ア」と書かれた看板は愛を表しているものと考えられます。更にカワウソがカッパ伝説のモチーフとされている事からも、愛と欲望はとても近しい存在である事が表現されていると考察されています。
愛と欲望は紙一重
アの書かれた標識は、裏返る事でカワウソのマークになります。この事からも表面は愛、裏面は欲望であるとされ、愛と欲望は表裏一体であり紙一重のものであると考えられます。さらざんまいにおいても重要なワードの一つである「つながり」を示す標識とされています。
愛のための欲望とは
浅草猫ズルムケ事件では、恋人が自分よりも猫を愛していた事に腹を立てた猫山が、猫になろうとその毛をむしるという事件を起こします。これは恋人に愛されたいという欲望が起こした事件であるとも表現されており、愛と欲望が切っても切り離せない存在である事がわかります。
愛と欲望の違い
表裏一体ともされている愛と欲望ですが、その違いが何なのかも気になる筈です。人それぞれの認識などによっても異なってくる為にはっきりとした線引きはできませんが、見返りを求める事の無い自己犠牲で、欲望を昇華させたものこそが愛なのではないかと考えられます。逆に「愛した分の見返りを求める」というのは、愛ではなく欲望の比率が高いものであると言えそうです。
帝国に愛は不要
さらざんまいにおいて帝国の稼働エネルギーに使われる欲望ですが、内側に秘められたものが欲望ではなく愛であると判定されると、シュレッダー処分されてしまう場面もありました。帝国において愛は不要であるとわかる行動からも、紙一重でありながら愛と欲望はやはり違いの大きいものであるのだと考えられます。
「さらざんまい」に関する感想や評価
愛と欲望をテーマとし、実在する事件が元ネタになっているとも言われているさらざんまいですが、実際に視聴した人の感想なども気になるのではないでしょうか?続いてはさらざんまいを観た人のツイッター上での感想についても少しだけご紹介します。
さらざんまい改めて1話から見始めたけどやっぱり1話はよくわからないマジカル戦士なかんじで、やっぱり2話のカワウソイヤァは衝撃的だよなぁと、あとラストか
— なーちゃん (@sol_luna_ciel) June 24, 2019
さらざんまいの第1話は、物語の序盤である事もあって内容がよくわからないという意見も多かった様です。しかしこれはどの様なアニメなのか?と興味を惹く為には十分な内容であり、第2話が強く印象に残ったという意見もありました。最終話を観た後にもう一度最初からアニメを観てみると、始めはわからなかった部分の意図も理解できる様になっているかもしれません。
今期のアニメもそろそろ終わりだが、個人的にはさらざんまいが一番好きだった。幾原邦彦はやはり良い。
— 松茸ご飯 (@RyviusScryed) June 25, 2019
幾原邦彦監督の作品が好きだという人であれば、さらざんまいにもハマるという意見も多い様です。毎クール色々な傾向のアニメが放送されますが、さらざんまいが印象に残ったという人も多かったのではないでしょうか?さらざんまいは中毒性があるアニメの一つと言えそうです。
さらざんまい良かったよな…いろんな考察を読み漁るのも楽しいよ。イクニ監督作品は細部に至る繊細さと、ごちゃごちゃ考えんな!感じろ!という強引さが同居してるのがすげーよなとおもいます語彙。好き
— やや (@yaya_east) June 25, 2019
さらざんまいは視聴後に考察を読むのが楽しいアニメだとの意見もありました。幾原邦彦監督の作品は、頭で考えながら観るよりもまずは肌で感じながらの視聴ができると良いのかもしれません。考察をじっくり読んだ上で改めてアニメを観てみると、また違った感想も出てくる事がありそうです。
「さらざんまい」の元ネタは津山事件?のまとめ
津山事件や北九州監禁殺人事件が元ネタであると噂のさらざんまいについて、基本的な情報から元ネタと言われている事件、更にはキーワードとなる愛と欲望についてもまとめてお届けしてきましたが、さらざんまいという作品を改めて理解する事ができたのではないでしょうか?考察が無いと理解しきれない部分も多いかもしれませんが、まずは予備知識も無く視聴するのが純粋に楽しめる秘訣かもしれません。
更に元ネタとなる事件については知らなかったという人でも、それらの事件についてを知った上で改めてさらざんまいを視聴してみると、また違った視点から物語を考察する事もできるかもしれません。一度観ただけではわからない部分もあるかもしれませんし、改めて1話からさらざんまいを楽しんでみるのも面白いのではないでしょうか?