【デュラララ!!】竜ヶ峰帝人はなぜ覚醒帝人に？キャラクターの魅力や声優を紹介

『デュラララ!!』は、東京の池袋を舞台にした群像劇。高校生の学園生活、カラーギャング、デュラハンや妖刀などのオカルトが複雑に絡んだ物語です。電撃文庫から刊行されたライトノベルの作者は成田良悟さん。今回ご紹介する竜ヶ峰帝人（りゅうがみねみかど）が登場する第一部は第13巻で完結し、同じ世界観の新シリーズ『デュラララ!!SH』へと続きます。

『デュラララ!!』は茶鳥木明代さんの作画で漫画化され、『月刊Gファンタジー』で連載されています。また、2010年にはテレビアニメ『デュラララ!!』、2015〜16年には続編アニメとなる『デュラララ!!×2 承』、『デュラララ!!×2 転』、『デュラララ!!×2 結』が放送され、劇場アニメ、ゲームにも展開されています。

『デュラララ!!』の舞台となるのは東京・池袋。非日常に憧れている少年、竜ヶ峰帝人（りゅうがみねみかど）は、幼馴染の紀田正臣（きだまさおみ）の誘いで、来良学園（らいらがくえん）に入学するために初めて東京に出てきた高校一年生です。上京初日、帝人は正臣に案内された池袋で、都市伝説の「首なしライダー」を目撃。帝人は想像もしていなかった非日常に巻き込まれていきます。

ダラーズと黄巾賊（こうきんぞく）と妖刀「罪歌（さいか）」の三つ巴の抗争の後、紀田正臣は学校からも街からも姿を消しました。正臣と園原杏里（そのはらあんり）が安心して戻れる場所を作ろうと躍起になる帝人に、後輩の黒沼青葉が接触。帝人はあらたな非日常へと踏み込んでしまいますが、そんな帝人を救おうと帰ってきた正臣が奔走。彼らが辿り着くのは日常か、非日常か、別の何かか、物語はさらに複雑に展開します。

「ダラーズ（DOLLARS）」は池袋を拠点とするカラーギャングのひとつで、チームカラーは「無色」。ダラーズは「なんの束縛もルールもない、ただダラーズと名乗ればいい」という変わったチームです。ネットの「ダラーズ専用サイト」を介してつながる特殊な集団で、アドレスを登録するだけでメンバーになることができます。性質上、メンバー同士のつながりが希薄で、リーダーが誰かも不明な、まさに「無色透明」なチームなのです。

チーム名の由来は「何もせずにただ集まってだらだらしている」ことから。ダラーズ専用サイト内には幾つも子サイトがあって小グループが乱立しており、その単位での上下関係や活動はあるものの、「ダラーズ」全体としては何をするでもなくただ存在しているだけです。そのため、他のカラーギャングや組織のメンバーも入り込んで、ダラーズとして活動していることさえあります。

「ダラーズ」の始まりは、居場所欲しさに竜ヶ峰帝人が中心となってネット上に作り上げた架空の組織で、池袋に拠点があることも「ただの設定」でした。ジョークで、完全パスワード制の偽サイトを用意してメンバーを募ったところ、徐々に人が集まり始め、次第に現実世界でも実態を帯びていきます。

やがて、束縛もルールもないことが裏目に出て、「ダラーズ」を名乗って悪事を働くメンバーも現れました。一部の過激なメンバーの行動が次第にエスカレートし、害が及ぶのを恐れた創設時のメンバーが次々と手を引く中、帝人がだけがサイトの管理を続けました。その結果、帝人が実質的なリーダーとなっていますが、メンバーでも帝人が創設者でリーダーだと知っている人はいません。

• 所属：来良学園（高校一年生）、ダラーズ（創設者）
• 誕生日：3月21(日)
• 血液型：O型
• 身長：165cm
• 体重：50kg

竜ヶ峰帝人（りゅうがみねみかど）は内気で平凡な高校生。郊外の地元から一歩も外に出たことがありませんでしたが、親友の紀田正臣（きだまさおみ）に誘われて、東京都池袋の来良学園（らいがらくえん）に進学し、同じ池袋で一人暮らしを始めました。世慣れた正臣に憧れ、同じクラスで共にクラス委員を務める園原杏里（そのはらあんり）にほのかな恋心を抱いています。

帝人は、自分の平凡さや非力さに対する自覚が強く、「非日常」を人一倍求めています。「ダラーズ」を作ったのも「非日常」を求めてのこと。日常からの脱却を望む帝人は、池袋で様々な非日常に巻き込まれていきますが、非日常の積み重なりはやがて「日常」へと変わっていきます。さらなる「非日常」を求める帝人の物語は、『デュラララ!!』、『デュラララ!!×2』の軸の一つです。

アニメ『デュラララ!!×2 承』の最終話（第12話）で、竜ヶ峰帝人は、高校の後輩の黒沼青葉（くろぬまあおば）の「カラーギャング「ブルースクウェア」のリーダーになって欲しい」という要求に応じます。交換条件は、「帝人がブルースクウェアを好き勝手に使える」というものでした。

ブルースクウェアとは、帝人が池袋に来る前、紀田正臣（きだまさおみ）率いる「黄巾賊」との抗争後になりを潜めたカラーギャングで、青葉は当時のリーダー泉井蘭（いずみいらん）の実弟。正臣や泉井が退いた後、ブルースクウェアは黄巾賊に潜り込み、ダラーズと黄巾賊と罪歌（さいか）が三つ巴の抗争に陥った際に漁夫の利を狙いましたが失敗し、今度は青葉が率いる一派がダラーズに潜伏していたのでした。

青葉と取引する際に、帝人は紙とペンを持って誓約書を書けと言いながら、紙の上に青葉の手を置き、ペンで青葉の手を突き刺したのです。血の手形を以って誓約書とした帝人は、直後に穏やかな表情で青葉の怪我の手当てをしました。これ以降、帝人はブルースクウェアを使って、ダラーズ内の粛清を推し進めます。これが、ファンの間で「覚醒帝人」と言われている竜ヶ峰帝人の姿です。

人の本質を見抜き、人を操ることに長けた青葉は、一見平凡に見える帝人の壊れた一面に気づいていましたが、青葉の予想以上に帝人は壊れていました。覚醒の後、ブルースクウェアを使ってダラーズの名で悪事を働くメンバーを強制的に退会させ、内部粛清によって自分が理想とするダラーズに作り変えようとします。これは、正臣と杏里が帰ってくる場所を作るためでした。

覚醒した帝人は、人にライターオイルをかけて燃やしたり、自分が重傷を負っても笑顔を浮かべていたりと、友人たちも驚くほどの常軌を逸した行動を重ねます。帝人を利用しようとする青葉や臨也の思惑も越えて、帝人は何処を目指すのか、物語はアニメ『デュラララ!!×2』のクライマックスへと続きます。

竜ヶ峰帝人が「覚醒帝人」になった直接のきっかけは、来良学園の後輩・黒沼青葉です。青葉はダラーズ内部でブルースクウェアとして活動し、他県の暴走族・To羅丸（とらまる）に喧嘩を売ったため、ダラーズvsTo羅丸の抗争に発展。園原杏里など帝人の周囲の人たちに被害が及んだことが、帝人が覚醒した直接の原因でした。しかし、覚醒の種はもっと前に撒かれていました。

帝人が初めてダラーズを動かした初集会の後、折原臨也（おりはらいざや）は帝人に「本当に日常から脱却したければ、常に進化し続けるしかないんだよ。」と言いました。帝人がダラーズの創始者であることを見抜いていた臨也は、その時の帝人に既に内なる狂気を嗅ぎ取っていたのかもしれません。この言葉は、折に触れ、帝人を突き動かします。そのことからも、帝人の覚醒を促した言葉とも言えます。

また、ダラーズとTo羅丸の抗争をなんとか収めようとしている帝人に、臨也は、「君が怖いのはダラーズが暴走することじゃない。変化していくダラーズに、君自身が置いていかれてしまうことなんじゃないかな？」と指摘し、日常を楽しむために進化し続けることに自分も協力を惜しまないと囁きかけました。

また、To羅丸の総長・六条千景（ろくじょうちかげ）は、自分がダラーズの創始者だと名乗って謝罪する帝人を「とてもそうは見え無い」と相手にしません。そして、もしそれが真実ならダラーズを手放せと言います。「おまえには日常が似合ってるよ。まっとうに生きられるなんて俺らからすればそっちの方が立派なことだ。わざわざこっち側に来ることなんかねえさ。」という千景の言葉は、帝人のすべてを否定するものでした。

帝人は、自分が恐れていたのはダラーズに置いていかれることではなく、この街に置いていかれることだということ、そして最初からこの街の非日常に追いついてすらいなかったことを自覚して打ちのめされます。自由というダラーズが抱える矛盾、自分自身の無力さ、そして臨也や青葉によって手段を提示されたこと、それらが積み重なって覚醒の元となったと考えられます。

最初の名言は、アニメ『デュラララ!!』第5話より、想いを寄せる同級生・園原杏里に言った一言。杏里は、中学時代はいじめられていたが張間美香（はりまみか）という同級生に助けられていたこと、美香が同級生の矢霧誠治（やぎりせいじ）のストーカーだったこと、美香に依存しているのが楽だったこと、美香が入学以降姿を見せないので探していることを竜ヶ峰帝人と紀田正臣に話しました。

「（美香がやりたがる）クラス委員になれば彼女を追い越せるような気がして、ずるいですよね、こんなの。」という杏里に、帝人は「それをわざわざ人に言うのが一番ずるいと思う。なんだかそれで誰かに許してもらおうとしているみたいだ。張間さんより上を目指そうっていうのは正しい選択だよ。だからもっと胸を張って堂々としてればいいんじゃないかな」。率直な帝人の言葉は、頑なに自分を卑下し続ける杏里の心に届きました。

首に傷がある記憶喪失の少女と出会った竜ヶ峰帝人は、デュラハンの首、すなわち、首なしライダーことセルティの頭部にまつわる陰謀に巻き込まれました。デュラハンの首、矢霧製薬、人身売買、同級生の矢霧誠二、同じく同級生で失踪中の張間美香、ダラーズの繋がりに気づいた竜ヶ峰帝人は、人が変わったように猛然とPCに向かった後、毅然とした表情で折原臨也とセルティに向き直りました。

二人に告げた「お願いです。少しの間、私に協力してください。駒は私の手の内にあります。」という名言は、アニメ『デュラララ!!』第10話でのセリフです。実は、この事件の糸を引いていた臨也でしたが、帝人のこれほどの行動は予想外。「帝人＝ダラーズの創始者」と予想していた臨也は、「大当たりだ」と大喜びでした。

矢霧誠治のストーカー張間美香、デュラハンの首に執着する誠治、そして弟・誠治を偏愛するあまりにデュラハンの首に関する人体実験を繰り返し、美香をも利用する姉・波江。矢霧製薬を舞台にしたデュラハンの首を巡る陰謀は、美香に関わった帝人やダラーズにも及びます。それぞれの関係に気づいた帝人は、波江を呼び出しました。帝人は自首を勧めますが波江は応じず、矢霧製薬の手のものが帝人に迫ります。

「理屈の通じない相手に挑む力も知恵も僕にはありません。努力する時間だって与えてはもらえない。だから僕は数に頼る！」と、帝人が送信したメールは、ダラーズメンバーへの一斉メール。事前に帝人にこの場所に集まるように指示されていたメンバーの携帯電話が一斉に鳴り出します。「敵をただ見つめる」だけの静かな抵抗は、ダラーズの初めての集会となったのです。この名言は、アニメ『デュラララ!!』第11話のセリフでした。

ダラーズの名で暴走族・To羅丸に喧嘩を売った黒沼青葉たちブルースクウェアの残党たち。ダラーズの創始者として紛争を諍いを止めることも、誰かを守ることもできず、腹を括って創始者だと告白しても信じてもらえず、帝人は無力さに打ちのめされます。そこで、自分が理想とするダラーズに不要な人を排除する力を得るために、青葉の要求を飲み、ブルースクウェアのリーダーになることにします。

「君はどんな形であれ園原さんを巻き込んだ。これはそれへの答えだ。同時に僕からの最初の命令でもある。僕の怒りを受け入れろ。」、この名言のシーンは、アニメ『デュラララ!!×2 承』の最終話（第12話）。青葉の手をペンで突き刺した上でこう言った帝人を、青葉は受け入れますが、青葉の期待以上の帝人の狂気に呆気にとられるのでした。

次の名言は、アニメ『デュラララ!!×2 結』の第11話より。親友の帝人の暴走を止めるために、黄巾賊のリーダー・紀田正臣は竜ヶ峰帝人と対峙します。帝人は初集会と同じように集合させた上で、ダラーズの幕引きしようとしていました。ダラーズを葬ってダラーズを都市伝説にする、全てをリセットして正臣と園原杏里との出会いをやり直し、楽しかった日々を取り戻すことが帝人の目的でした。

「そしてダラーズは都市伝説になる。実態を消し去って名前だけがこの街に残って、でっちあげの伝説だけが生まれ続ける。それが僕の理想のダラーズだって気づいたんだよ。」と、帝人は、正臣や自分自身に銃を向けてまでリセットを完遂しようとしますが、そこに首を取り戻したセルティが割って入ります。すべての騒動は人間界において非日常的な自分の存在が引き起こしたことだとして、去る前の置き土産として干渉したのでした。

ご紹介してきた竜ヶ峰帝人の名言から分かる通り、素直で、一途すぎて時に暴走してしまうけれど、友達想いの優しい少年は、多くのファンに支持されています。帝人の誕生日には、公式グッズとしてキャラクターをプリントしたバースデーケーキが発売されたり、ツイッターなどで生誕祭が行われるなど、盛り上がりを見せました。

非日常に強い憧れを抱き、日常から抜け出すことを夢見る多感な少年、竜ヶ峰帝人を演じたのは、声優、俳優としてだけでなく、アーティストとしても活動している豊永利行（とよながとしゆき）さんです。『デュラララ!!』の竜ヶ峰帝人・役は、これをきっかけに豊永さんのファンになったという方も沢山おられる、豊永さんの代表作の一つです。

現在、声優、俳優として大活躍の豊永利行さんは、10歳の頃に役者を志し、1995年に子役としてアルゴミュージカル『Sing for You, Sing for Me.』のルソー・役でデビューしました。そして、2003年より『ミュージカル・テニスの王子様』に加藤勝郎・役で3年間出演して人気を博し、その頃から声優活動も開始。2018年には第12回声優アワード主演男優賞受賞しています。

• 所属：スーパーエキセントリックシアター（SET）
• 出身：東京都八王子市
• 生年月日：1984年4月28日
• 血液型：B型
• 特技：ドラム、歌、ダンス、殺陣

豊永さんは、2013年9月、インディーズで「豊永屋」として、ライブ中心の音楽活動を本格的にスタート。『デュラララ!!×2 転』のオープニング主題歌「Day you laugh」は、豊永さんがメジャーデビュー後、2枚目のシングルで、豊永さん自身が作詞・作曲を手がけました。2017年10月にはセルフレーベル「T's MUSIC」を設立し、アルバム発売やライブ開催など、アーティストとしても活躍中です。

• 「Reason...」／PS Vitaゲーム『デュラララ!! Relay』主題歌（2014年12月17日発売）
• 「Day you laugh」／テレビアニメ『デュラララ!!×2 転』（2015年8月12日）
• 「花」／DJCD「デュララジ掲示板 観察日記」再うp 3枚目+（2012年1月25日発売）

豊永さんが声優として出演された主な作品は次の通りです。他にも沢山のアニメやゲーム、吹き替え作品に出演、また、キャラクターソングの歌唱も多数担当しています。

• 『家庭教師ヒットマンREBORN!』 - 入江正一・役
• 『機動戦士ガンダムAGE』 - フリット・アスノ・役
• 『MARGINAL#4』シリーズ - 牧島シャイ・役
• 『B-PROJECT』シリーズ - 金城剛士・役
• 『ユーリ!!! on ICE』 - 勝生勇利・役

声優だけでなく、俳優としても活躍している豊永さんが出演した主な舞台作品は次の通りです。ミュージカルやストレートプレイだけでなく、朗読劇にも出演しています。

• 『ミュージカル テニスの王子様』シリーズ（2003年 - 2006年）- 加藤勝郎・役
• 『時速246億vol.A no.721』（2012年、2013年再演）
• 『烈！バカフキ！』（2016年）- トウガ・役
• 『AD-LIVE'17（アドリブ2017）』（2017年）
• 音楽朗読劇『Homunculus～ホムンクルス～』（2017年）- バルド・役

覚醒後の竜ヶ峰帝人の狂気に満ちた行動は、ファンの心を毎話ざわつかせました。そして、多くの方が、どんな結末を迎えるのかハラハラしながら見守っていました。

竜ヶ峰帝人を演じた声優の豊永利行さんが主題歌の作詞作曲と歌唱を担当したことにも注目が集まりました。

『デュラララ!!』で豊永さんを知った、初めて豊永さんの歌を聞いたという方も沢山おられます。

『デュラララ!!』の非日常に憧れる高校生・竜ヶ峰帝人は、池袋で非日常の出来事に巻き込まれるうちに、覚醒状態となってしまいますが、最後は日常も非日常も目の前の現実だと気づきます。そんな、平凡だけど素直で優しい帝人の魅力を、名言や担当声優の豊永利行さんを含めてご紹介しました。帝人や声優の豊永さんが気になった方は、ぜひ『デュラララ!!』をチェックしてください。