MONSTER(漫画)は浦沢直樹の本格ミステリー!あらすじ・ラストをネタバレ

漫画家浦沢直樹先生が描いたMONSTERは、一度読むだけでは決して物語の全容を知ることができません。そこで、人物に分けてネタバレも含めて解説。かみ砕いてラストまで解説し、漫画MONSTERをより深く知ってもらいたいと思います

MONSTER(漫画)は浦沢直樹の本格ミステリー!あらすじ・ラストをネタバレのイメージ

目次

  1. MONSTERとは?
  2. 漫画MONSTERの世界観やあらすじをネタバレもふまえて
  3. 漫画MONSTERをあらすじも踏まえて紹介
  4. 作中でMONSTERとして描かれるヨハン・リーベルトをネタバレも含めて解説
  5. MONSTERを追う人物をネタバレを交えて解説
  6. MONSTERを作り出した人物
  7. MONSTERへ至った子供たち
  8. 漫画で問いかけられる本当のMONSTERは誰か?
  9. ぜひとも漫画MONSTERを読んで考察してみましょう

MONSTERとは?

漫画MONSTER

浦沢直樹先生ビックコミックオリジナルに1994年から2001年まで連載されていた本格ミステリー漫画です。人の心のうちに潜む怪物を描く長編人気作品で、過去に最初からラストまで通して全編アニメ化されています。

人の心に侵食する恐怖を描く漫画原作の浦沢直樹先生

浦沢直樹先生は柔道少女の話を描いた『YAWARA!』、いまだに根深い人気を誇る考古学を描いた『MASTERキートン』、三部作の映画にもなった『20世紀少年』などなど多彩なジャンルを描く人気漫画家です。最近では漫画家の代表として様々なテレビ番組にも出演するなど、漫画のジャンル以外でも精力的に仕事をされています。もしかすると、知らない間に浦沢直樹先生の顔を見て知っているかもしれません。

とても多くの知識とそれらを描き出す技量を持つ漫画家の浦沢直樹先生が描いたサスペンスホラー漫画『MONSTER』についてラストまでのあらすじや解説を交えて紹介していきたいます。

漫画MONSTERの世界観やあらすじをネタバレもふまえて

漫画MONSTERは戦後の仄暗い時代の傷跡を残した時代が舞台

MONSTERの漫画内で語られる物語は3つの年代に分かれます。初期の前兆が1986年のベルリンの壁崩壊前、ドイツが東西に分かれていた時代です。その9年後1995年がMONSTERの本編とも呼べる年代です。そして1975年はMONSTER本編で解き明かされるブラックボックス的な年代です。

漫画MONSTERのあらすじ

天才的な脳外科医のDr.テンマが助けた少年ヨハンが起こした殺人により、冤罪から逃れるためにヨハンを追う。その道中で、ヨハンの妹であるニナと会い、多くの事件に関わります。ヨハンが預けられた孤児院511キンダーハイム、奇妙な絵本の数々、記憶喪失、政界の重役、裏社会の人々、多くの情報の糸を手繰り寄せ、ヨハンという人物を追っていきます。やがて、彼らは成長したMONSTERの意図を知ることとなります。

ラストのネタバレになりますが、ヨハンは多くの人々にとってのMONSTERでしたが、ヨハンにとってのMONSTERは別に存在していたとヨハンの口から語られます。本当のMONSTERについて語ったのち、再び姿を消すラストシーンが描かれます。

登場人物達によって描き出されるMONSTERで語られるテーマ

MONSTERは多くの登場人物達が登場し、それぞれの問題に直面し苦悩し、さらに答えを見つけ出して行動します。そうしてMONSTERでは多くの家族や社会の問題をテーマとして取り扱っています。

まずは舞台となるベルリンの壁崩壊以前のドイツ社会を中心に、東西冷戦構造、病院内での権力闘争、親子愛や兄弟愛が、児童虐待や教育について、などなど多くの登場人物達の目線や行動によって描かれています。

漫画MONSTERをあらすじも踏まえて紹介

患者に慕われる天才外科医が選んだ人道

まず最初に主人公のテンマが務める病院に、頭部を銃で撃たれた少年運ばれてきます。しかし彼には病院にとって重要な人物の手術がよていされていました。自身の医者としての未来を守るためなら、少年を見殺しにする選択を取らなければなりません。

テンマに冤罪がかけられ、真犯人を探しに逃亡する

それから9年後の1986年、成長したヨハンが現れてテンマの目の前で殺人を犯します。殺人鬼を救った責任を取るため、ヨハンを追います。そうこうしてヨハンの双子の妹のアンナ(ニナ)と再会します。しかし今までの殺人をテンマの犯行だと判断したルンゲ警部がテンマを追う。こうして、テンマ、ニナ、ルンゲ警部はヨハンへと近づいていくことになります。

作中でMONSTERとして描かれるヨハン・リーベルトをネタバレも含めて解説

漫画MONSTERの作中の世界情勢にとって『優秀な子供を作る』実験の成果として誕生した双子のうちの一人です。妹のアンナ(ニナ・フォルトナー)の双子の兄で、とても美しく魅力的な青年です。アンナと共に逃げ延びる道中で、親切にしてくれた人々を次々に殺害し、孤児院の関係者と生徒たちを殺し合わせ、自身の命を救ったテンマにとって不都合な人物を次々に殺害していきます。

妹のアンナと非常に容姿が似ており、母親によって匿われていた時期は少女として生活していました。成人してもアンナ・リーベルトと名乗り女装し、誰にも疑われずに生活し、殺人を行うなどをしていました。その際、現場に来たニナとそっくりだと証言されるほどです。

MONSTERのラストでは、頭部の手術を終えて目覚めた彼が、本当のMONSTERについてを語り、姿を消します。

MONSTERを追う人物をネタバレを交えて解説

将来を約束された天才脳外科医の天馬賢三

漫画MONSTERの主人公的な人物で、ドイツの病院に務める日本人男性です。彼は将来が約束されていましたが、病院の方針に逆らい少年のヨハンを助けたことから、多くの事件へ関わることになります。

医者として優秀で、MONSTERの作中では『Dr.テンマ』と呼ばれることが多いです。自分に不都合な人物達が死亡し、その犯人と断定され、冤罪を解くために自分で事件の真相を追います。そうしていくうちに、真犯人のヨハンを追いかけることになります。

記憶喪失の美人女子大生ニナ・フォルトナー

MONSTERを追うもう一人の女性です。大学では遅刻魔として教授に知られていますが、唐突な問いかけに完璧な答えを返すことができるほど優秀な学生です。10歳以前の記憶がなく、実は彼女が実の両親だと思っているフォルトナ―夫妻とも血が繋がっていません。

最愛の両親であるフォルトナ―夫妻が死亡し、そこに現れたテンマに、自分の実の兄のヨハンが殺人を繰り返していること。フォルトナ―夫妻を殺したのも、彼だと知り、大学を休学して兄の殺人を止めるために追います。

ネタバレになりますが、10歳の頃に親切にしてくれた人々を殺していたヨハンに気づき、殺人を止めるために銃を向けた過去が明かされます。ヨハンの指示に従い、頭部を打ち抜き、銃を窓から捨てるなどをした過去があります。そうして頭部を撃たれたヨハンはテンマの病院へと運ばれるのです。

機械のような印象のハインリッヒ・ルンゲ警部

ドイツ連邦捜査局きっての敏腕警部です。彼の特徴と言えば、事件の聴取の時の指の動きです。これは彼なりの記憶術で、事件の内容を指を動かしてタイプすることで頭の中に記録としてインプットするのです。

ルンゲ警部の動きのあらすじは、他の二人と違い、間接的な追跡から始まります。テンマの周囲で起こる、テンマにとって邪魔な人物達が次々死亡する事件があったときに、彼が捜査担当となりました。そこでテンマのもう一つの人格が勝手に殺人を繰り返していると推測し、彼が犯人だと断定します。そうして逃亡したテンマを追ううちに、真犯人のヨハンの存在を知っていきます。

ネタバレですが、作中では家族との不仲で、娘の妊娠に気づかないことから愛想をつかされて妻に逃げられます。しかしヨハンとの事件を終わらせたのちは、娘とは電子メールでやりとするほど状態が回復します。

MONSTERを作り出した人物

MONSTERを人工的に作り出す実験の主要人物クラウス・ポッペ

優秀な子供を作り出す計画の主要人物で、彼の実験によりヨハンとアンナは誕生しました。さらに計画の一環として、自分が描いた絵本の朗読会をし、子供たちの人格改造実験を行っていました。

心理学者・脳外科医でありながら、多くのペンネームを持つ絵本作家です。MONSTERの作中の絵本『なまえのないかいぶつ』『めのおおきなひと くちのおおきなひと』『へいわのかみさま』『めざめるかいぶつ』は彼が作った絵本です。この絵本のストーリーや描写は、ヨハンの行動に大きく影響を及ぼします。

MONSTERへ至った子供たち

笑顔の仮面の中に超人シュタイナーを抱えるヴォルフガング・グリマー

ベルリンの壁崩壊以前はスパイとして世界中で活動し、崩壊以降はフリーのジャーナリストとして生活し、謎の孤児院511キンダーハイムにて児童に対して行われた数々の非人道的な教育等を追っている男性です。ネタバレになりますが彼自身も511キンダーハイム出身で、14歳以前の記憶がほとんどありません。

常に穏やかな笑顔を浮かべていますが、それは人付き合いをするうえで、その表情を浮かべていれば角が立たないためであり、本当にその表情を浮かべることが彼自身ないと言い切っています。激しい怒りや命の危機に陥ると、超人シュタイナーと本人が名付けた狂暴性を発揮します。

ヨハンを崇拝する殺人者ロベルト

511キンダーハイム出身の巨漢の男性です。ヨハンの正体を調べるなど、ヨハンにとって都合の悪い人物を殺している人物です。相手を殺す場合、標的へ自然と接触できる人物を装い、近づき、殺害しようとします。装うときは用心棒、弁護士、知人の夫など多岐にわたります。

ネタバレですが、511キンダーハイム出身者に多い記憶喪失に陥っており、自分では自分の記憶を保つことができません。そのため、親友に自分の本当の名前、好きな物などを互いに覚え合うなどしていたことが、MONSTERの作中にて他者の口から語られます。

511キンダーハイム出身者とは

MONSTERの作中当時はベルリンの壁崩壊直後や東西冷戦など、国同士が表立って対立し、いつ世界を巻き込む戦争が再び起きてもおかしくない社会情勢でした。この時に国に求められる人材とは、国のために戦って死ぬことができる人材でした。

511キンダーハイムとは、優秀な子供たちの感情や記憶を消し、人を殺すことができる『優秀』な人間を作りだす孤児院でした。施設出身者は成長後、大量殺人犯、暗殺、スパイ、社会不適合者などが多いです。ヨハンも施設の出身者であり、施設関係者や生徒同士の殺し合いの生き残りの二人のうちの一人です。

漫画で問いかけられる本当のMONSTERは誰か?

ヨハンから語られるMONSTERとは誰か?

ラストシーンのあらすじを書きますと、ヨハンはテンマに「本当のMONSTERを見たよ」と言います。彼は祝福された子供として、ニーナと二卵性双生児で誕生しました。二人は幼い頃見分けがつかないほどそっくりな子供でした。親でも見た目だけで、正確に彼らを見分けることは難しいほどでした。母親は双子のうちの一人を差し出さなければなりません。

自分に縋りつく二人のそっくりな双子の、どちらかを差し出せば、どちらかを手元で育てることができる。選択を迫られた彼女は、「こっち…いえ…こっち」アンナを差し出します。ヨハンはテンマに問いかけます。「お母さんはアンナと間違えて僕を差し出したの?それとも?僕を助けようとしたの? 僕と妹を間違えたの? いらなかったのはどっち……?」

お母さんはどっち?

原作漫画ではその時に描写が事細かに描かれています。男の台詞一つ一つ、母親の視線や表情の変化、まだ母親に縋りつくしかできない双子の怯えた表情、多くの情報があります。浦沢直樹先生がこの物語で表したかった怪物を見つけ出してください。

ぜひとも漫画MONSTERを読んで考察してみましょう

MONSTERのあらすじやネタバレを踏まえて、様々な情報を書いてきましたが、MONSTERのほんの一部にすぎません。一度読んだ方も、まだ読んでいない方も、是非とも原作漫画やアニメを見て、『本当のMONSTER』が誰かを考えてみてください。読む人の立場や思考によって、MONSTERは姿形を変えて現れるでしょう。

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