2019年02月15日公開
2019年02月15日更新
デビルマンのジンメンの最後は?漫画のトラウマシーンをネタバレ紹介
『デビルマン』は1972年から週刊少年マガジンで連載された漫画です。永井豪先生の代表作とも言える漫画で、ジンメンをはじめとする様々なデーモンと戦うストーリーですが、後半の展開は気持ち悪いシーンやトラウマシーンが多いことでも知られています。この記事では、デビルマンでトラウマを与えているデーモン『ジンメン』のストーリーと、終盤の展開や衝撃的なラストシーンについてのネタバレ紹介もしていきます。
目次
デビルマンのジンメンが気持ち悪い?
デビルマンの作品情報
『デビルマン』は1972年から73年にかけて週刊少年マガジンに連載されていた永井豪先生の漫画です。デビルマンのストーリーは、デーモンと合体した不動明が、悪魔の体を持ちながら人間の心も持っている「悪魔人間(デビルマン)」として、迫りくるデーモンたちと戦いを繰り広げる作品です。
デビルマンはテレビアニメと連動した企画として始まった漫画ですが、アニメ版とは設定が大きく異なり、特に中盤以降からはまったく別物と言えるほどストーリーに違いがあります。漫画版は日本の漫画史に残る傑作とも呼ばれる一方で、トラウマシーンや気持ち悪いシーンが多く、「トラウマ漫画」の代表でもあります。
デビルマンのラストの衝撃的な展開は今でも語り継がれているほどで、多くの人にトラウマを植え付けるとともに、その後の様々な漫画やアニメに影響を与えており、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督もデビルマンからの影響についてインタビューで語っていました。
デビルマンの作中には様々な気持ち悪いデーモンが登場しますが、その中でも特にトラウマを与えてきた『ジンメン』についてネタバレ紹介していきます。
ジンメンの見た目
ジンメンの見た目は「直立歩行する亀」といった印象です。口は大きく裂け、先が2股に分かれた長い舌を持っています。悪そうな顔をしていますが、これだけなら特に気持ち悪いという感じはありません。
デビルマンには奇妙な姿や気持ち悪い姿のデーモンが多いのですが、見た目は比較的シンプルと言えます。しかし、ジンメンの見た目で最大の特徴は背中の甲羅です。この甲羅がジンメンに対するトラウマを植え付けました。
ジンメンの性格
ジンメンの性格は、残虐そのものです。元々デーモンは残虐な種族ですが、ジンメンのサディスティックな一面がその残虐性を際立たせています。背中の浮き上がった人の顔を「人間の刺青より数段美しい美術品」と呼び「喚き、叫び、恨み言」を言うのがいい、と言い切っています。
人間の心も持っている事がデビルマンの弱点と考え、不動明を精神的に追い詰めます。このジンメンの作戦に、明も苦しめられました。
ジンメンの能力
攻撃として「首を伸ばす」「掌を高温にさせて触れた物を焼く」という力しか持っておらず、戦闘能力としてはそれほど高いとは言えません。単純な強さで言えば、ジンメンの前に戦ったシレーヌの方が上です。
ジンメンの最大の特徴は「食べた人間の顔を甲羅に浮き上がらせる」という能力です。時間が経てば消えてしまいますが、甲羅の人間は意思を持って喋ることができます。この気持ち悪い能力に加えてジンメンの残虐な性格が合わさることで、非情なデーモンとなります。
デビルマンのジンメンの最後をネタバレ
ジンメンの最後:サッちゃんを食べる
牧村家に1人の少女が訪ねてきました。不動明が前に住んでいた隣にいて、明の恋人を自称する少女「サッちゃん」で、明に会いたい一心で1人でやってきました。明は駅まで送り届け、サッちゃんは新幹線に乗っていきました。トンネルに入った新幹線は急停車します。
車掌がやってきますが、車掌の制服を破って現れたのは、ジンメンでした。一方、牧村家ではサッちゃんが乗った新幹線が行方不明になった、とテレビで知りました。その時、電話がかかってきました。
ジンメンの最後:電話
明が電話に出ると「おまえの恋人はうまかった」と声が聞こえます。相手はデーモンの一族の幹部である魔将軍ザンの部下・ジンメンからでした。ジンメンの言葉に明は怒りを覚え、涙を浮かべます。
公園へ行くと、暗闇の中からサッちゃんの顔が現れます。そしてサッちゃんは「あたし死んだの」と叫びます。「もっと生きたかった」と言うサッちゃんの他にも、大勢のうめき声が聞こえます。
そしてジンメンが姿を現しました。背中の甲羅には大勢の人の顔が浮かび上がっています。明は怒りに震え、デビルマンに変身します。デビルマン状態の明は、ジンメンの力を圧倒します。しかし、明が迂闊に放った攻撃に対し、ジンメンは背を向けて人の顔で受け止めます。
ジンメンの最後:さっちゃんの願い
「おまえは人間を殺したんだ」と、デビルマンの弱点でもある「人間の心」を攻撃します。どんな悪魔の超能力を持っていても、使えなければ意味がありません。それを知ったジンメンは甲羅を盾にしてデビルマンに向かっていきます。
その時、甲羅のサッちゃんが叫びます。「おにいちゃん、こいつを殺して!」その言葉に我に返った明は、ジンメンに拳を叩き込んで甲羅を貫きます。サッちゃんの目を閉じると、ジンメンの甲羅を手をかけ、明は引き剥がそうとします。
夜の公園に、甲羅を剥される音とジンメンの悲鳴が響きました。ジンメンは死に、甲羅の顔はそのまま固まりました。
デビルマンの漫画のトラウマシーン
トラウマシーン:ススムくん
ここからはジンメン以降のデビルマンのネタバレ紹介です。牧村美樹の弟・タレちゃんは、公園でススムくんから「家に帰りたくない」と言われます。前は優しかった母親にいじめられている、と相談します。タレちゃんはススムくんを家に泊めようとしますが、ススムくんの母親に見つかります。
「ススムくんをいじめないで」とタレちゃんは言いますが、いじめているような素振りはありませんでした。家に帰ったススムくんに、母親は犬をけしかけようとします。そこへ父親が帰ってきました。ススムくんは父親の元へ走っていきますが、帽子を取った顔は犬のような顔をしていました。
デーモンと入れ替わった両親によって、ススムくんは無残にも殺されます。人間界が徐々にデーモンによって変えられていきます。ここから、デビルマンのストーリーは大きく変わっていきます。
ネタバレ紹介の元になっているのは1971年の短編『ススムちゃん大ショック』です。ある日突然、大人が子供を殺し始めます。無感情にすべての大人が子供を殺している中、ススムちゃんは友達と逃げていました。友達は制止しますが「ママを信じたい」と言い、友人と別れて家に向かいました。
家に帰ると、母親が台所で料理をしています。ススムを見て、いつもの優しい笑顔を浮かべています。「自分の母親だけは違った」そう思って嬉しくなったススムは母親に駆け寄ります。しかし、母親は笑顔のまま包丁を振りかぶってススムを殺すと、何事もなかったように料理を続ける、という内容でした。
『ススムちゃん大ショック』はデビルマンとともに永井豪作品の中でもトップクラスに衝撃的な漫画で、人気もありますが同時に多くの読者にトラウマを植え付けた漫画でもあります。2018年に発売された作品集『怖すぎる永井豪』にも収録されています。
トラウマシーン:デーモン狩り
ここからのネタバレで、デビルマンのストーリーは大きく変わってきます。デーモンは人間に対して無差別に合体を試みます。街ではデーモンの姿に変わって死んでいる人々が現れます。しかし、それこそがデーモン軍団の狙いでした。そして、世界各地の悪魔王ゼノンが姿を現し、デーモンの総攻撃が始まります。
世界中がパニックに陥ります。双方に多くの被害を出しながらも、最初のデーモンの攻撃を耐えました。そして人間は、人間の中にデーモンが入り込んでいたことが今回の事態を招いたと考え、『悪魔特別捜査隊』を結成し、デーモンのあぶり出しを始めます。
そして、ノーベル生物学賞の雷沼教授は「デーモンの正体は人間」と発表します。人間の強い願望が体細胞を変化させて悪魔となった、と結論付けます。「現代社会に不満を持つ者を殺せ」と世界中に呼びかけます。世界中で虐殺を嵐が起こります。
人間同士が殺し合う世界になりました。デーモンの攻撃がなくても、人間はどんどん死んでいきます。しかし、明は希望を捨てませんでした。無差別合体によってデビルマンとなった人物を集め、デーモン軍団に戦いを挑もうとしていました。
テレパシーで世界中にいるであろうデビルマンに対して、呼びかけをしていました。デビルマン軍団は徐々に集まってきましたが、人類は滅亡へと突き進んでいました。
トラウマシーン:衝撃の最終回
ここからはデビルマンの最終回のネタバレです。飛鳥了の突然の裏切りにより、不動明がデビルマンだということが知られてしまいました。明は牧村家を出ていきますが、悪魔特捜隊は牧村夫婦を捕らえます。その事実を知った明は「特捜隊が人類最大の敵」として、デビルマン軍団を率いて特捜隊本部へと乗り込みます。
しかし、明が助けに行った時には、牧村夫妻は拷問により死亡してしまいます。デビルマンとして人間の心を持ちながら、その身を捨ててまで守ろうとした人間の姿に激しい怒りと絶望を感じた明は、悪魔特捜隊を全滅させた後、自分には美樹というまだ守るべき存在がいると知ります。
ですが、牧村家にも危機が訪れていました。両親は捕まったが、子供たちも悪魔かもしれない。暴徒と化した住民が、家を取り囲みます。狂った群衆に対してもはやどうすることもできず、タレちゃんも殺され、美樹も追い詰められます。
明が牧村家に戻ってきた時、人間たちは美樹たちの切り刻んだ体を棒に刺して、悪魔退治が終わったことに狂気に酔いしれていました。美樹の恐怖に歪んだ表情をした首を天に掲げています。怒り狂った明によって人間たちは殺され、彼は美樹の首を抱きしめたまま、飛鳥了の正体である大魔神サタンとの決戦を誓います。
そして20年後、人類が死に絶えた地球では、サタン率いるデーモン軍団と明率いるデビルマン軍団の最終戦争が始まりました。デビルマン対デーモンの戦いは熾烈を極めましたが、戦いが終わって静寂が訪れます。夜空には月が出ています。
明の隣でサタンは、200万年前にデーモンと神との戦争があったことを語ります。神との戦争に勝ち、次の攻撃に備えて眠りについたデーモンが目覚めた時に、地球には人間がいました。デーモンが命がけで守った地球が人間たちの手で汚されていたのが許せなかったが、サタンは結局神と同じことをしていたと過ちを認めます。
「ゆるしてくれ」と言ったサタンの隣で、上半身だけになっていた明は息を引き取りました。もう返事はありません。涙をこぼすサタンでしたが、水平線の向こうには神の使いである天使の軍団がやってきました。
デビルマンのジンメンの声優
ジンメンの声優は青野武
ジンメンはテレビアニメ版には登場していませんでしたが、デビルマンのオリジナルビデオアニメ版には登場しており、声を担当したのは青野武さんです。
デビルマン以外にも数多くの作品に出演しており、悪役から老人役まで様々なキャラクターを演じています。有名作品にも多数キャスティングされているので、どこかで聞いた声かもしれません。青野さん自身も「様々な感情を演じられる役は楽しい」と語っています。
青野武のプロフィール
青野武さんは1936年に生まれ、2012年に亡くなるまで声優や俳優、ナレーターとして活躍しました。北海道出身で、高校時代に演劇と出会いました。
上京した青野さんは、劇団七曜会の時に主演を務めた『欲望という名の電車』での演技が認められると、海外ドラマの吹き替えを担当し、以降アニメや吹き替えなどで活躍しました。また、大河ドラマ『北条時宗』にも出演するなど、俳優としても活躍しています。
青野武の他の出演作
デビルマンのジンメンの他にも、『宇宙戦艦ヤマト』の真田志郎、『ゲゲゲの鬼太郎』のぬらりひょん、『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王などを演じました。特撮作品の『ウルトラマン』では、凶悪宇宙人ザラブ星人の声とスーツアクターも兼任しました。
しかし、なんといっても青野武さんと言えば、『ちびまる子ちゃん』のおじいちゃん・さくら友蔵役です。1995年の放送開始から2010年に病気で降板するまでの約15年間、友蔵役を演じていました。今は別の声優さんに引き継がれていますが、友蔵と言えば青野武さんのイメージ、という人は多くいます。
デビルマンのジンメンに関する感想や評価は?
記憶に残るデーモン・ジンメン
デビルマンの中には数多くのデーモンが登場しますが、その中でもジンメンはインパクトが強いようで、トラウマとして今でもみんなの記憶に残っています。主に漫画の方でジンメンを知り、衝撃を受けたという人が多いようです。
ネタバレ紹介した通り、デビルマンのストーリーはトラウマシーンの連続です。ジンメンは「気持ち悪い」という感想が多いとともに、ジンメン篇もストーリーの良さに注目する人もいます。
デビルマン原作面白すぎるな…ジンメンとの戦いはコンパクトなのに面白さがぎっと詰まってる!よくこんなものを考えたよ、永井豪は
— しゅがー (@tyotaro_highfly) February 11, 2019
ジンメン篇はデビルマンの作中で、シレーヌ編と後半の怒涛の展開の間にあり、そのどちらもインパクトが強くデビルマンを代表するストーリーですが、それに負けないくらいに読者の記憶に残っています。
また、気持ち悪いシーン以外にも「ジンメン篇の救いようのなさ」を挙げる人もいます。ジンメンの甲羅に浮かび上がった人間はすでに食べられており死んでいますが、意志は持っています。
原作デビルマンにおけるジンメンの主張は完全に明を煽るための悪意全開なもの(口調と前後の発言から見て本気で自己の正当化を図っているわけでもない)と思われるヒールの鑑
— 知的風ハット (@itukayomu) March 16, 2017
更に倒そうが逃がそうが甲羅の人質は全員死亡確定している救いの無さ
デビルマン以前の漫画であれば、サッちゃんを始めとする人たちはジンメンを倒した後に助かるというストーリーになりますが、デビルマンでは食べられた人は誰も助かりません。デビルマンの中盤以降に共通する救いようのないストーリーも、ジンメンから始まったと言えるかもしれません。
デビルマンのジンメンの最後まとめ
気持ち悪いけどインパクト抜群
ネタバレでも紹介した通り、ジンメンはデビルマンに登場するデーモンとしては決して強くありませんが、気持ち悪い見た目もあって人気のキャラクターです。フィギュアやTシャツになるほど、高い人気が窺えます。
デビルマンは今でも変わらず高い人気のある漫画です。今回のネタバレ紹介で気になった人は、ぜひデビルマンの原作を手に取ってみてください。ネタバレ紹介以上に気持ち悪いシーンは多いですが、デビルマンは病みつきになる漫画です。