夜人のあらすじをネタバレ紹介！面白いと話題の漫画の感想を紹介【岡部閏】

主人公の恩田衣子（おんだいこ）は、小さい頃から「人には見えないもの」が見えてしまう女子中学生です。彼女はそれを見ることは出来ても触ることは出来ません。最近の悩みの種は、自分の部屋に棲みついた地縛霊を追い出せないことです。そのせいでイライラを募らせていました。予想もつかない展開にドキドキするとともに、ホラー漫画なのに時々挟まるギャグ要素がいい感じにスパイスとなっています。

「夜人（やじん）」は小学館の裏サンデーで2018年から連載されている人気漫画で、ジャンルはホラーテイストのサスペンス漫画です。作者は、世界鬼やグッドナイトワールドを手掛けた岡部閏氏。コミックスは1巻が発行されています（平成30年11月10日）。無料漫画アプリのマンガワンでも読むことができます。

子供のころから幽霊が見えており、そのせいで周囲に溶け込めず浮いた存在になっています。幽霊に対しては慣れているのか特に怖がる様子はなく、むしろムカつく存在だと思っています。部屋に棲みついた地縛霊が出ていかないことが最近の悩みの種です。

衣子のクラスメイトである空木と彼の友人である高条は、ある日突然「幽体離脱」ができるようになります。幽体になると人からは見えなくなり自由に飛び回ることができるので、それを利用して遊びはじめます。

衣子は小さい頃から幽霊が見える体質でしたが、触れることはできませんでした。そのせいで、部屋に棲みついた地縛霊（ウノ子）を追い出すことができずにいます。話し相手を欲しがっていた衣子のために、父は14歳の誕生日に犬をプレゼントし、衣子は可愛がります。

ある日、お風呂上りの脱衣所を覗く幽霊に気づいた衣子は気味が悪いと感じますが無視します。その幽霊に胸を触られた衣子は驚いて母の形見のチョーカーを無くしてしまいます。翌朝、衣子はクラスメイトの空木に話しかけられますが、探しているチョーカーの場所を言い当てる空木を昨日の幽霊の正体だと気づきます。

衣子の同級生である空木と高条は無意識に幽体離脱を行っていました。なぜそんなことができるのか理由は分かりません。幽体になると自由に飛び回ることができる上、他の人から見られることもないため「空を飛べる透明人間」になれたと高条は興奮します。

幽体という便利な体を利用して二人は銭湯を覗きに行くもすぐに飽きてしまいます。衣子の家に気づき風呂を覗きますが、高条の幽体を衣子に見られてしまいます。高条はバレていないことを確かめるため衣子の胸に触ろうとして実際に触ります。驚いた二人は慌てて逃げ帰りました。昨夜の真相を衣子に話し教室で土下座する空木ですが、衣子は今夜もう一度家に来てくれと空木に告げました。

衣子が家に来てくれといった理由は、幽体離脱した二人に罰を与えるためでした。空木の部屋で再度幽体離脱を試みる空木と高条ですが、意外にもあっさりと成功します。幽体になった二人はそのまま衣子の部屋に向かい、そこで部屋に棲みついた地縛霊「ウノ子」の姿を目撃します。衣子の罰とは、地縛霊に触れて部屋から追い出すことでした。それを聞いた高条は思い切って地縛霊に触れます。

地縛霊に触れることができると分かった幽体の二人ですが、部屋から追い出す方法が分かりません。空木は説得を試みますが失敗します。衣子に何とかしてと言われた二人は地縛霊を殴り倒します。地縛霊のウノ子がいなくなった部屋を見て衣子はやっとぐっすり眠れると喜びます。

幽霊を追い払う術を身につけたいと思った衣子は、自分も幽体離脱ができないかと考えはじめます。そこで、幽体離脱の秘密に気づいたという空木の部屋に向かいます。初めて幽体になった日、空木と高条はスマホで「夜人」という動画を見ていました。幽体離脱したきっかけはこれくらいしか思い当たらないという空木の言葉に、衣子も「夜人」という動画を見てみることにします。

夜人という動画には不気味な謎の少女が映っており、「ようこそ、選ばれし夜人たちよ」とだけ告げて動画は終了しました。残念ながら衣子は幽体離脱できずに落ち込みますが、代わりに一緒に動画を見ていた犬のピコが幽体離脱できるようになっていました。なぜ幽体離脱できる人とできない人がいるのか、その理由は分からないままです。

高条は幽体となって空木の部屋に向かう途中、黒衣を着た幽体から声を掛けられ、彼のリーダーの元へ案内されます。黒衣を身にまとった謎の集団は、高条を仲間に引き入れようとします。仲間になるためには肉体と幽体を繋ぐ「霊子線」を切り完全な幽体になる必要があると言います。霊子線を切れば二度と元の肉体には戻れず、死ぬことになります。謎の集団のリーダー鈴木は高条の霊子線を無理やり切断してしまいます。

霊子線を切られ死んだと言われた高条は動揺し元の体へ帰ろうとします。そこへ突如「廃霊」と呼ばれるものが現れます。廃霊を放置していれば最悪の事態になるため、この世の存在ではない廃霊の駆除が夜人の本分であると言われます。高条は衣子と幽体の空木と合流し、ピコの幽体の活躍もあって廃霊は姿を消します。霊子線を切られたという高条に対し、空木は元の体に戻ろうと提案します。

急いで高条の部屋に向かった高条と空木は、衣子の部屋に棲みついた地縛霊「ウノ子」に乗っ取られた高条の体を見つけます。高条は、同じく幽体離脱し空っぽのままになっている空木の体も乗っ取られる可能性があるのではないかと心配します。

衣子の常人離れした霊力に気づいた黒衣の夜人たちは、彼女を夜人のあるじ「夜叉」と呼びます。夜人のリーダー「鈴木」と会うように頼まれた衣子ですが、空木と高条の様子が気になるため今回は断ります。衣子は幽体ではない高条と再会しますが、突然胸を触られ困惑します。

空木と高条はじゃんけんで勝った空木の意見を優先し、まずは高条の体を取り戻すことにします。一方の衣子は、友達だと思っていた高条がぶつぶつ呟きながら襲ってきたことにショックを受けます。こんなことをするのは友達じゃないと衣子は叫び、その声を上空で聞いた幽体の高条は困惑し衣子に声を掛けます。

目の前にいるのは高条の体を乗っ取ったウノ子だと言われた衣子は、今までの恨みを晴らす意味も込めて襲ってくるウノ子をビンタします。本当はグーで殴りたかったのだけれど高条の体なのでビンタで遠慮したのでした。

衣子は高条の体から出ていくようウノ子にお願いしますが、すでに高条の霊子線は切れているためそんなことをしても無駄だと夜人に言われます。すると衣子はいとも簡単に霊子線を結んでしまい、驚いた夜人は衣子に平伏します。

ウノ子を高条の体から追い出すには、高条の体が死ぬか強い霊力で吸収し引き剝がすしかないと夜人は言います。引き剝がすには高条の口に直接衣子が口をつけてウノ子を吸い上げるしか方法がないことが分かります。

夜人はウノ子を吸い出すよう衣子に促すものの、衣子は躊躇します。空木が代役を買って出ましたが並外れた霊能力の持ち主でなければ無理だと夜人に言われ衣子は覚悟を決めます。衣子は高条に口をつけウノ子を吸い出すことに成功しました。口から吐き出されたウノ子は夜人によって封印され、高条の体は無事元に戻りました。

病院に入院中の高条は、もう二度と幽体離脱はしないと決心します。ただ、未だに謎だらけの「夜人」の動画が気になる高条はスマホで動画を見返していました。そのとき、高条の目の前には動画に映っていた不気味な少女の姿がありました。

もう二度と幽体離脱はしないと空木は衣子に話します。怖いだけでなく夜人という闇社会に繋がっている可能性が出てきたことがその理由です。衣子が家に帰ると飼い犬のピコが幽体離脱していて、その周りに夜人たちがいました。

衣子は勝手に家に押しかけてきた夜人たちを非難しますが、夜人は衣子に「ともに巨大な『魔』を滅ぼしてほしい」と頼みます。一方で高条の見舞いに来た空木は、病室で何者かが高条に近づいているところを目撃します。

夜人たちは魔のことを「人でもなく霊でもなく何者なのか一切由来が知れない我々の敵」だと言います。高条の病室に現れた不気味な少女はの正体は魔で、幽体離脱していない空木や他の人にも見えていたのはそのためでした。高条を心配する空木に魔が襲い掛かろうとしたとき、夜人のリーダー鈴木が魔の手を掴み阻止します。

魔が鈴木に気を取られている隙に空木は高条を連れて病室の外へ逃げ出します。高条の部屋にいた看護師の様子が突然豹変したことから、空木は高条が幽体離脱していることに気づきます。幽体離脱した高条の体を守るために自らも幽体となりますが、そこで幽体をむしゃむしゃと食べる魔の姿を目撃します。

病院に到着した衣子は高条のいる病室へと向かいます。病院や駅のホームといった場所は、衣子にとって血と幽霊であふれている行きたくない場所なのだと分かります。高条の部屋にいた「魔」は看護師や患者の幽体を食べるだけでは物足りず、空木と高条の幽体をも捕食しようとします。急いで体に戻った空木と高条は、魔から逃げようとエレベーターに駆け込んだところで衣子と出会います。追いかけてきた魔をピコの幽体が威嚇します。

魔を前にしたピコの幽体は委縮して小さくなり、衣子は初めて恐怖を感じ足がすくみます。そのときエレベーターから幽体離脱した空木と高条が飛び出して魔を足止めします。そのまま衣子を抱きかかえた二人は非常階段で1階の出口へと向かいます。1階に降りると空木と高条の体は別の廃霊に乗っ取られていましたが、衣子が二人の口から霊を吸いだして元に戻ります。

病院の出口から外に出ようとする三人ですが、結界のようなものが張られていて出られず魔に追い詰められます。そのとき、壁に穴が開いて夜人のリーダー鈴木が三人を助け出します。空木と高条に対し、霊子線を切らなければいつまでも魔に追われ続けることになると告げます。

幽体離脱は、魔そのものが幽体を食べるために動画で広めた方法で、一度夜人になってしまった以上「霊子線を切る」か「魔に捕食されるか」の選択肢しか残されていないことが分かります。闇夜に浮かぶ魔の姿はもはや死神というべき存在でした。

怖そうだけどそんなに怖くないというのが正直な感想です。「そもそも夜人とは何か？」「なぜ幽体離脱できるのか？」「幽体だけが霊に触れるのはなぜか？」といったストーリー序盤から多くの伏線が散りばめられていて、早く続きを読みたくなるような工夫がなされています。夜人はサスペンスホラー漫画に大切なイラストのインパクトと作り込まれたストーリーのどちらも揃っていて、サスペンス好きにオススメできる漫画です。

夜人はジャンルとしてはホラー漫画であるけれども、怖いものが苦手な人でも楽しめる作品となっています。主人公の衣子が幽霊に慣れているせいか怖がる描写が少なく、むしろ仕返しを企む描写もあるというのも理由の一つです。先の読めないストーリー展開で見応え十分な漫画です。

岡部閏氏の漫画の魅力は新しい世界観を味わうことができることです。世界鬼やグッドナイトワールド同様、夜人もまさに予想外すぎる展開の連続で、たった数話読んだだけでガッチリ心を鷲掴みにされました。今後の展開が気になります。

ガチガチのサスペンスホラー漫画かと思わせて、所々ギャグ要素を取り込んでいる夜人のストーリー展開が評価されています。クールな主人公の可愛さと怖い幽霊のギャップに萌えるといった感想です。犬のピコが幽体離脱した際になぜかガチムチ犬になるところも見どころの一つです。

無料漫画アプリ「マンガワン」で先読みされている方の感想です。ホラーと笑いのバランスが取れている作品だと評価しています。幽霊の描写は確かに怖いですが、登場人物には中学生らしいあどけなさや可愛さが見られることで怖さが和らいでいるところもあります。シリアスな場面でこそ高条のキャラが光っています。

面白いと話題の漫画「夜人」のあらすじネタバレや漫画の感想をご紹介しました。岡部閏氏の新作である夜人は独特の世界観で読者を魅了し、その心を鷲掴みにして離しません。ホラーテイストのイラストとストーリーの重厚さが合わさった本作品は、ホラー好きだけでなく全ての漫画ファンにおすすめです。ぜひ一度読んでみてください。