2018年10月22日公開
2018年10月22日更新
テセウスの船をネタバレ解説!あらすじや連続殺人犯の正体・結末を考察
漫画「テセウスの船」は2017年『モーニング』の30号から連載されている本格クライムサスペンスです。28年前の集団毒殺事件の犯人を父親に持った主人公が、過去にタイムスリップし、28年前の事件の真相を探ろうとします。2018年9月に単行本5巻が出版され、その新展開に読者が驚きました。今回はテセウスの船のネタバレあらすじや登場人物のネタバレ、殺人犯の正体、5巻までの結末を考察いたします。
目次
テセウスの船をネタバレ!あらすじや結末をご紹介!
漫画「テセウスの船」は東元俊哉(ひがしもととしや)の作品で、講談社から既刊5巻が出版されています。漫画「テセウスの船」は、『モーニング』で2017年から連載がスタートし、現在も連載が続いています。犯罪者を父に持ち、大量殺人事件の加害者家族として息をひそめて生きてきた青年・田村心が、父の事件に冤罪の可能性を感じ、偶然過去にタイムスリップしたことから、その事件の真相を探ろうとするクライムサスペンスです。
2017年から2018年9月の間に5冊の単行本が発行されましたが、未だにその事件の犯人らしき人物も特定されず、犯人の不気味なモノローグの次々明らかになる新事実、静かな不気味さを感じさせるそのあらすじやストーリー展開は、その先の結末が全く見えない作品とも言われています。
テセウスの船の読者の間でも「目が離せない」「今一番続きが気になる」など、様々な反響が広がっている話題作です。5巻まで進んでも一向に見えてこない犯人像に、読者は固唾を飲みながら続きを待っていますが、5巻になって新展開となり、読者が驚かされました。「一体犯人は誰なのか」というテセウスの船のあらすじの結末や、犯人の考察など、ネットではたくさんの意見や考察が投稿されています。
ここからは、テセウスの船のあらすじを1巻から順にネタバレでご紹介いたします。結末が全く読めない本作ですが、5巻でますます結末がわからなくなり、背後から静かに肩を掴まれるような緊迫感を感じる作品です。各登場人物とあらすじ・考察をネタバレ込みでご説明いたします。
テセウスの船の登場人物は?
田村 心
漫画「テセウスの船」の主人公は田村 心(たむら しん)です。1989(平成元年)年7月に生まれ、東京に住んでいます。父親が音臼小無差別大量殺人事件の犯人として逮捕され、加害者家族としてつらい思いをしながら母・姉と息をひそめるように生きてきました。教師を夢見て教員資格を取得しましたが、殺人犯の家族という事実を前にその夢をあきらめています。
父親の事件が原因でいろいろなものを失い、あきらめながらも、結婚した妻との間には子どもが授かります。妻の由紀が出産で亡くなり、心の元には娘と、由紀が密かに調べていた父の事件をまとめた考察ノートが残されます。事件から28年が過ぎ、死刑も確定している父親が一貫して無罪を主張する姿に、そして由紀の残したノートにより父の事件に冤罪の可能性を感じた心は、独自に事件の調査を始めます。
28年前の無差別大量殺人事件の調査のため現場となった北海道音臼村に訪れます。そこで心は、深い霧に飲まれ、気づいたときには一面雪の世界に立っていました。1989年、事件前の音臼村にタイムスリップしたと気づくのです。事件が起こるのは7月です。心がタイムスリップしたのは雪深い1月です。
自分が生まれる前に死んだ姉や、殺人事件を起こす前の警察官の父親に出会い、自分がこの時代にやってきた理由もわからないままです。心は、妻が残した考察ノートを手掛かりに事件を防ごうとします。皮肉なことに、タイムスリップした先で、ずっと夢であきらめていた小学校教師として働きだし、若い頃の両親の元でお世話になりながら、事件の7月までの輪郭を追っていくのです。
佐野 文吾
テセウスの船の作中、タイムスリップした心にとって重要な人物が、心の父親の佐野文吾(さのぶんご)です。音臼小無差別大量殺人事件の容疑者として一番有力だったため逮捕され、最高裁で死刑判決が確定し、死刑囚となりました。しかし文吾自身は一貫して罪を否認し続けています。文吾は心が生まれる前に逮捕されたため、会ったことがありません。
そんな文吾にタイムスリップした先で再会します。1989年当時は音臼村駐在所勤務で警察官をしていました。誰にでも気さくで、身元の怪しい心にも優しく接します。「根っからの悪人はいない」と信じ、悪人であっても救いたいと願う、絵に描いたような優しいおまわりさんなのです。ストーリーが進むにつれて、心について疑いを持ち始め、心の告白により、未来に起こる事件のことを知るのです。
5巻では心が元の時代に戻り、拘置所にいる文吾に会いに行き、28年後の老人となった文吾と再会します。刑務所暮らしの長い文吾は、身体を悪くしているようで、何かを思うところがある、というのが、5巻までの文吾についてのあらすじとなります。
田村由紀
主人公・田村心の妻が、田村由紀です。28年前の大量殺人事件は父親の事件であって、心には責任がないと理解を示し、心を支えます。心の子どもを妊娠しており、出産の際に娘を産んだ後命を落としてしまうのです。由紀は、心の父親が犯人と言われる音臼小無差別大量殺人事件を密かに調べていました。
殺人事件の前から奇妙な事件が続いて起こっていることに注目し、音臼村で起こる数々の事件の記録をノートにスクラップしていました。その中で、心の父親・文吾は犯人ではないのではないか、冤罪の可能性を疑い始め、ノートにその記述を残しています。
あらすじのネタバレになってしまいますが、テセウスの船5巻では、心が元の時代に戻ると、なんと歴史が変わっており、由紀とは結婚していないことになっていました。ジャーナリストとしての由紀に出会い、父の事件について問いただされるのです。歴史が変わっていても、由紀は事件について何かの情報を得ており、5巻ではその結末は明らかにならず、謎は次巻へ持ち越しとなっています。
テセウスの船のあらすじネタバレ!
音臼小無差別大量殺人事件についてのネタバレ
テセウスの船のあらすじを語るには、28年前に起こった音臼小無差別大量殺人事件の説明が必要です。作中の1989年、北海道音臼小学校で大人数の殺人事件が発生します。これが音臼小無差別大量殺人事件です。音臼小学校でのお泊り会で、40人近い参加者が嘔吐・腹痛で病院に運ばれます。結果、15名の小学生と、6名の職員、合計21人の人間が死亡するという大事件という結末になりました。
原因はお泊り会で出されたオレンジジュースに混ぜられていた青酸カリが原因と思われ、事件の捜査の中で、派出所勤務の警察官・佐野文吾の自宅から青酸カリが押収されます。青酸カリの発見によって、佐野文吾の罪がほぼ確定となります。しかし、最高裁で死刑が確定したその後も、28年後まで一貫として容疑を認めず、佐野文吾は自らの無罪を訴えていました。
音臼小無差別大量殺人事件の犯人は、当時派出所勤務だった佐野文吾と思われていますが、その殺人事件の前に音臼村では奇妙な事件が立ち続けに起きていたことから、主人公・心の妻である由紀が、過去の事件を調べ始め、佐野文吾の冤罪の可能性にたどり着くのです。
音臼村についてのネタバレ
音臼小無差別大量殺人事件がおこった音臼村は、北海道の雪深い場所にある小さな村です。主人公の田村心が生まれる前は、この村で家族が暮らしていました。この小さな村の小学校にて、合計21人が青酸カリで殺されるという痛ましい事件が起こりました。28年後はすでに村には誰も住んでおらず廃村となっており、心が父の冤罪の調査のため訪れた数か月後には、ダムの建設のために村ごと消えてなくなる予定でした。
テセウスの船1巻のあらすじネタバレ!
ここからはテセウスの船の1巻からそのあらすじをネタバレこみでご紹介いたします。1989年の事件により猟奇殺人犯の息子となってしまった田村心は、加害者家族として迫害に合いながら、夢をあきらめて生きていました。そんな心を理解し支える妻の由紀は、妊娠中です。由紀は、心が大量殺人事件の加害者家族であるために家族から結婚を反対されていました。
由紀は、事件は心の責任ではないと言い、過去の音臼小無差別大量殺人事件について個人的に調べ、スクラップしていました。しかし、由紀は出産で命を落とし、由紀の両親からは罵倒される心は、生まれたばかりの娘を連れて帰宅します。そして、由紀が密かにスクラップして考察を重ねていた事件のノートを発見します。
音臼小無差別大量殺人事件の以前に奇妙な事件が相次いで起こっていることから、事件は世の中で言われているような結末ではなく、冤罪の可能性があるのではと考察していました。由紀のスクラップと考察を記したノートを読み、心は生まれる前に逮捕されてずっと会ったことのなかった父親に会う気になります。
その前に事件のあった音臼村に行くことにします。音臼小無差別大量殺人事件のあった小学校はすでに無く、跡地に慰霊碑が残されていました。その慰霊碑を前に、急に濃霧が立ち込め、気づくと心はあたり一面雪の世界にいたのです。
状況から1989年にタイムスリップしたと理解した心は、さまよううちに、民家で雪に埋もれている女の子を発見します。ネタバレですが、この少女は、心が生まれる前に、除雪中に転落死したという心の姉・鈴だったのです。また、由紀の残した考察ノートに書かれていた、「除草剤を口にしたことが原因で死ぬ少女」にも会います。
姉・鈴の死を回避した心は、この少女・千夏も助けられるのではと考え動きます。しかし、よかれと思って心がとった行動は、何者かに違う結末に歪められ、本来と同じ結末に終わってしまうのです。駐在所で除草剤を見つけた心は、やはり文吾が犯人なのかと疑い、それでも過去を変えようと決意します。一方文吾は、心の所有する運転免許証の日付を見てしまいます。
テセウスの船2巻のあらすじネタバレ!
テセウスの船1巻のあらすじに続いて、2巻のあらすじをネタバレこみでご紹介いたします。文吾は心の免許証の日付が未来の日付になっていることに疑問を感じますが、妻であり心の母である和子は心を疑わないでいようと言います。警察官である文吾は、心を警察に突き出すつもりでいました。
心は由紀の残した考察のノートから、音臼小無差別大量殺人事件の被害者である女性の父親が雪崩に巻き込まれるスクラップを発見します。心はその父親に会いに行き、事件を未然に防ぐのです。ある日、金丸という刑事が心の元にやってきます。金丸は文吾とは違い、厳しく疑いの目を心に向けます。
「除草剤を口にしたことが原因で死んだ少女」千夏は、心が殺したのではないかと厳しく追及する金丸に、文吾は思わずかばうのです。文吾は心を露天の温泉に誘います。心は自分が未来から来て、これから起こる事件を防ぐために動いていたことを告白し、突拍子もない話であるにも関わらず、文吾はそれを受け入れるのです。
そして、その時音臼小で臨時教師の募集があり、心は昔からの夢であった教師の仕事に就くことができます。田舎の小学校なので校長先生もアバウト、教員免許は後で提出というゆるゆるさに助けられますが、心の夢は意外な形で叶いました。初めての小学校教師生活ですが、事前にクラスメートの名前を覚えておくなど、心の誠実さと努力が実り、よそ者であっても心は子どもたちに受け入れられ、なじんでいきます。
順風満帆と思われた小学校教師生活ですが、小学校のウサギ小屋でウサギが一羽スコップで無残に殺されている姿が発見されます。ウサギの惨殺事件は、以前も四羽のウサギが無残にも殺されたばかりでした。ウサギ小屋の前では、以前、心は、鈴と千夏の姉の明音が、ウサギ小屋の前で新聞配達員の長谷川翼からお菓子をもらっている姿を見かけていました。
あからさまに怪しい長谷川を警戒し、心は鈴と明音に注意しますが、二人からは逆に反発されてしまうのです。ウサギの惨殺事件とは別に、心の妻の由紀が残した考察のノートから、大量殺人事件の以前に、元町議会議員の田中が心筋梗塞で死亡する件を知った心は、文吾に相談します。考察ノートで死亡を予告されている元町議会議員の田中は、目が不自由で、病院には通わず自宅にこもっています。
そんな目の不自由な田中の生活を心配し、近所の子どもたちと文吾は田中の家に様子を見に行っていました。子どもたちが田中の元を訪れたある日、田中は、遊びに来たうちの誰かが「妊娠していないほうのウサギを殺した」と話す声を聴きました。目が不自由な田中は、それが誰なのかわかりませんが、その相手の匂いを覚えていました。その後、田中を心配した心は文吾と一緒に様子を見に行きます。
心と文吾は田中の自宅に医者を連れていき、田中を診察してもらいました。田中が目が不自由なため、大切なことはその場にいた誰かに代筆してもらっています。心はその代筆のノートを見せてもらいました。そのノートの一ページで、奇妙な絵を発見します。
子どもが描いたような絵柄で、泣いている女の子と、黒塗りされた女の子という構図です。ウサギの惨殺事件と音臼小無差別大量殺人事件、田中のノートに描かれた絵はどんな関係があるのか、不気味な何かが迫ってくるようなこのシーンで、考察サイトでも読者の間で「不気味」「引き込まれる」「誰が犯人なのか」と結末を考察する投稿が多く見られました。
テセウスの船3巻のあらすじネタバレ!
テセウスの船2巻のネタバレこみのあらすじでは、ウサギの惨殺事件、そのウサギ小屋の前で女の子二人にお菓子をあげている新聞配達員の長谷川翼、目の不自由な田中の代筆ノートに描かれた不気味な絵と、足元から静かに迫ってくる感じがなんともいえない、続きが気になる結末でした。さて、3巻のあらすじでは、4か月後に迫る音臼村無差別殺人事件を防ぐべく奔走する心が、あがけばあがくほど事体が悪化していきます。
テセウスの船3巻のネタバレあらすじでは、ついに音臼村の女の子が犠牲となってしまいます。目の不自由な田中の家で、代筆ノートに描かれた泣いている少女と黒で塗りつぶされた少女という気味の悪い構図の絵を見た心と文吾は、ウサギを殺した犯人はその絵を描いた人物と同一人物なのではないかと考察します。田中の身が危ないと考えた二人は、2/5は田中の近くにいて身を守ろうと決めます。
一方、小学校では、心が除草剤を盗んだ容疑で、子どもたちが疑いをかけられ、距離を置かれてしまいます。そして、田中の身が危ないと思われる2/5、田中の家に訪れた心と文吾ですが、二人の元に鈴と明音が行方不明になっているという連絡が入ります。鈴は文吾の娘であり、心が生まれる前に事故で死んでいた姉です。明音は心が教えている小学校の児童です。
鈴と明音の二人の少女は以前、小学校のウサギ小屋の前で新聞配達員の長谷川翼からお菓子をもらっており、その現場を目撃した心から注意を受けて反発されていました。田中の代筆ノートに描かれた、泣いている少女と黒塗りでつぶされている少女の絵は、鈴と明音のことを暗示しているのではないかと心は考察し、二人の少女の行方を捜します。
心の妻・由紀が生前に残した事件前後の考察をしたノートによると、明音も音臼小無差別大量殺人事件の前に行方不明になると記載がありました。しかし、考察ノートでは明音の行方不明は2月ではなく翌月なのです。心は、自分が動くことで過去の歴史が影響を受けて変わってしまったのではないかと焦ります。そしてその行方不明中の明音は、実は何者かにどこかの小屋のような場所に閉じ込められていました。
閉じ込められている明音に、外にいる人物が話しかけます。相手は男か女かも、大人かどうかもわからず不気味さが増します。外にいる人物は「これは罰だ」と明音に話しかけます。「なんでもするか」と問う声に、「なんでもする」と明音は答えます。ネタバレですが、明音を監禁していたのは、新聞配達の長谷川翼でした。ウサギ小屋の前で明音と鈴にアメをあげて、心が警戒していた長谷川でした。
しかし、長谷川が明音を残して去った後、新たな人物の影がそこに現れます。そこで場面が切り替わり、この先に何が起こったのか、ネタバレサイトでもいろんな考察がされました。まもなく猛吹雪が来る中、行方不明の明音と鈴の一刻も早い救出が急がれます。新聞配達員の長谷川翼に出会い、明音と鈴の行方を尋ねると、長谷川は「明音を探していた」と思わせぶりな言動をとり、去っていきます。
心の前では胡麻化した長谷川ですが、実は明音の写真を大量に隠し持っているのです。そして雪の中、行方不明になっていた鈴だけが見つかります。鈴は明音の行方は知らないと言い、高熱で意識を失います。その身の安全を心配していた田中の様子を見に行った心は、田中の家族から代筆ノートに描かれた絵をもらいます。「絵の中に描かれているものを、どこかで見たことがある」と家族は言います。
心が未来から来たことを知っている文吾は、考察ノートに書いてあることを見せろと言います。しかし、文吾自身が音臼小無差別大量殺人事件の犯人として死刑囚となっている事実は文吾に話していないため、見せることができません。文吾と言い争いになります。そこに刑事である金丸という男が文吾訪問してきます。長谷川を怪しんでいた心が長谷川の家に行くと、長谷川の自宅には紀子という女性がいました。
長谷川の自宅にいた紀子は、長谷川の不在を伝えますが、事件の考察が書かれたスクラップのノートには、紀子が青酸カリで自殺する記事も載っていました。紀子は、長谷川が撮ったらしい明音の写真を発見していました。紀子の様子がおかしかったと気づいた心は、青酸カリの出どころが気になります。音臼村のような小さな村で青酸カリが手に入る場所はどこなのでしょうか。
実は紀子が勤めている工場では青酸カリを扱っていました。心から話をきいた文吾が、翌日、紀子の勤める工場を訪れると、紀子は仕事を休んでおり、青酸カリが紛失していた事実が明らかになります。心と文吾が音臼山の山小屋に行ったところ、嘔吐した痕跡と、誰かの足跡、鈴と明音のネーム入りキーホルダーが発見されます。外では刑事の金丸で待ち構えていました。
金丸は刑事の感で、後ろ暗いものを持つ心を疑っており、容疑者と考えています。事情聴取するといい、強引に心を逮捕してしまいます。ネタバレになりますが、その時実は、行方をくらましていた明音と、その明音の写真を大量に持っていた長谷川は、雪の中青酸カリで死亡していました。青酸カリは、長谷川の家にいた紀子の勤務先の向上から紛失されたものと考えられます。事件がいろんなところで繋がり、結末が全く読めない3巻です。
テセウスの船4巻のあらすじネタバレ!
テセウスの船3巻のネタバレあらすじでは、行方不明になっていた明音が、誘拐犯と思われていた長谷川と青酸カリで死亡し、心が刑事の田丸に疑われ強引に逮捕されるという結末が終わりました。心は、未来の事件のことがスクラップされた考察のノートと、自分が未来から来たことが特定されてしまう運転免許証を、田丸の隙をついて崖に投げ捨てます。
そして、行方不明の明音と長谷川の遺体が発見されます。検視の結果、明音は長谷川に乱暴された後、長谷川に青酸カリを飲まされて殺害され、長谷川もその後青酸カリを飲んで自殺したというのが警察の考察です。しかし、心を犯人と疑う刑事の田丸は、取調室で心を執拗に追い詰めます。心はなんとか警察から解放されました。帰宅した心を待っていたのは、下宿先の佐野文吾の家にかかってくる中傷の電話でした。
心を犯人と思う人間が悪意で電話をかけてきたことに胸を痛めた心は、文吾に未来で起こった真実を告白するのです。6月に音臼小学校で無差別大量殺人事件が起こること。青酸カリが使われていたこと。その犯人として逮捕されたのが当時音臼村で交番勤務していた警察官・佐野文吾であること。自分はその息子であること。心から未来の真実を告げられ、文吾は自分が殺人犯だと言われて激高します。
心は文吾に、音臼小無差別大量殺人事件が起こるまでに、家族全員でこの音臼村を出ることを提案します。しかし、警察官である自分が殺人犯と言われ信じられない文吾は、怒りのあまり、心を家から追い出してしまうのです。行く先もなく、さまよう心はやがて深い霧に包まれ、「この霧は、自分が過去にやってきたときと同じだ」と気づいた頃には、元の時間・2017年に戻っていました。
音臼小無差別大量殺人事件が起こった事実は変わっていませんでした。しかし、事件が発生した日時がずれていたり、青酸カリが混入されてみんなが死んだ飲み物も変わっていました。そして、心にとって衝撃だったのが、殺人事件の後、母が一家心中を図って、長男と一緒に死んでいたことです。本来であれば、生きていたのは母と兄で、過去に死んでいたはずの姉が生き残ってしまったという驚きの結末になっていました。
心は自分が過去で動いたことにより、歴史が変わっていたことを理解します。歴史が変わり、出産で死んだ妻の由紀はどうなったのか、自宅に戻ると家の様子も一変しています。妻も娘の写真もなく、妻の実家に向かうと、妻・由紀の両親は心の顔を見ても誰かわかりません。母の無理心中で残された心と姉の鈴は、養護施設に預けられ、鈴はその後行方不明となっていました。
あまりの結末に愕然とする心の元に、一通の郵便が届いていました。宛先の書かれていない封筒からは、絵が出てきました。目の不自由な元町議会議員の田中の家で、代筆ノートに描かれた不気味な絵と、同じタッチの絵でした。犯人がこの時代でもまだ存在しており、自分に何らかの関わりを持っていることを知ります。送られてきた不気味なタッチの妊婦の絵、その妊婦は妻の由紀のことではないかと心は気づきます。
自分に犯人が迫っているということは、由紀はどうなっているのか、不安に思った心は由紀の実家に行き、由紀の帰りを待ちます。由紀とは結婚していない歴史になっていました。怪しんだ由紀の父親と揉めているところで、以前の歴史では出産で死んだはずの由紀が現れるという結末で、テセウスの船4巻は終わり、5巻へと続いていきます。
テセウスの船の最新巻の結末
心を取り巻く人物たちの未来が変わる
テセウスの船4巻では、以前の歴史では生きていたはずの母と兄が死に、死んでいたはずの姉・鈴と、妻・由紀が生きているという衝撃の結末で終わりました。そして、5巻では、由紀は心のことがすぐにはわからず、由紀の父親が警察を呼んでしまい話ができません。翌日、由紀が心の自宅を訪ねてきます。音週刊誌の記者として臼小無差別大量殺人事件を調査しており、犯人とされる文吾の息子である心に取材に来たのです。
父親・文吾との再会
自分の知っている由紀とはかけ離れていることにショックをうけた心は、由紀を追い返し、もう一度音臼村に行こうと決めます。そしてその前に、刑務所に入っている現代の文吾に会うことにするのです。心は自分の部屋から、大量の封筒を発見します。
その中からはあの気味の悪い絵がたくさん出て、戦慄します。そこに追い返した由紀が再びやってきます。臼小無差別大量殺人事件を調査する記者として、文吾と手紙を交わしていた由紀は、文吾からの手紙を残していきます。
由紀の残した文吾からの手紙には、「田村心という男を探してください」と書いてありました。1989年タイムスリップした自分が会った文吾が「田村心」という自分の存在を覚えていることを確信した心は、札幌拘置所に急ぎます。面会室に現れた文吾は1989年から年を取って白髪で小さくなり、かなり老け込んでいました。
事件の顛末
ガラス越しに「自分が誰かわかるか?」ときいた心に、「心さん…いや、正義か?」と、生まれてくる心のために用意していた名前で呼ぶのです。文吾は1989年のその後の記憶を持っており、心がいなくなってからのその後の結末を語ります。心が行方をくらました後、2月末に心を執拗に追いかけていた刑事の金丸が転落事故で死んでいました。青酸カリで死亡していた明音と長谷川の事件の結末は迷宮入りとなりました。
死んだ長谷川の自宅にいた婚約者・紀子も村から姿を消しました。金丸の名前は考察ノートの死亡者には乗っていませんでした。ここでも歴史が変わって、死ぬはずでなかった人間が死んだことを心は悔みます。文吾は、心から考察ノートと事件の結末を聞いていたため、事件が起こる予定の6月24日に学校を休校させようと働きかけます。しかし、その日は小学校で開催される地元のお泊り会のイベントで、村全体が楽しみにしていました。
イベントを中止にできなかった文吾は、当日の警備として小学校に無理やり居座ります。予定されていたその日事件は終わりませんでした。しかし、翌朝になって恐れていた事件が起こります。牛乳に青酸カリが混入され、飲んだ子どもたちが次々倒れます。そして文吾の家から、なぜか青酸カリが発見されます。全く身に覚えのない文吾でしたが、その青酸カリは死んだ長谷川の婚約者・紀子の勤務先の工場から紛失されたものでした。
生きていた姉・鈴と再会
面会時間が迫り、心は送られてきた不気味な絵を文吾に確認してもらうことができませんでしたが、最後の最後で文吾の口から「姉の鈴が生きていて、妊娠している」という事実が明らかになります。事件で亡くなった21人の名簿を確認し、心は自分の知っている事件の結末と、被害者や内容が変わっていることを知ります。姉の鈴の現在の住所を尋ねると、インターフォンに出た人物からは鈴の留守を告げられます。
鈴の住所であるマンションを出たところで、姉の鈴に再会しました。過去の面影は全くなく、驚く心は、鈴は事件から様々な嫌がらせを受け、逃れるために整形手術で顔を変え、「村田藍」という違う名前で生活していると告白します。鈴と連絡先を交換し、心は別れます。鈴がマンションの自宅に戻ると、そこには車いすの男性が待っていました。
鈴木の同居人である車いすの男性は、兄弟がいないときいていたはずの鈴に、弟だと名乗る人物が訪ねてきたことを追求します。心を家に呼んで会ってみたいという男性に、鈴が否と答えると、男性は突然豹変したようにキレてしまいます。突然の豹変に鈴は恐怖します。歴史が変わり事件の結末が違うものになっても、また違う形で不気味な何かがうごめいていきます。
文吾の無実を証明する人物が
一方、札幌拘置所で拘留中の文吾は、担当の弁護士と面会していました。弁護士が言うには、音臼村で暮らしていた佐々木紀子が、文吾の無実を証明するための証言をする準備ができていると、名乗り出てきたそうなのです。佐々木紀子は、かつて音臼村で牛乳配達員をしていた長谷川翼の婚約者です。
前巻あらすじのネタバレですが、長谷川は小学生の明音を監禁して性的暴行を加えて青酸カリで殺害した後、自らも青酸カリで自殺したという結末になっており、その後婚約者だった佐々木紀子は音臼村から引っ越していました。青酸カリは佐々木紀子の勤務先の工場からなくなったものでした。物語はこれからどう動いていくのか、読者がものすごく気になるところで、6巻へと続いていきます。
テセウスの船の連続殺人犯の正体を考察
加藤みきおが怪しい?
音臼小無差別大量殺人事件の犯人は一体誰なのか、ネタバレサイトや考察サイトでは、テセウスの船の様々な考察がされています。各所に出てくる犯人のモノローグで、「犯人は当時子どもなのではないか」という説が多いです。単行本3巻が出た頃の有力な犯人説では、心が担当していたクラスの加藤みきお少年が怪しいという声が多く見られました。
明音と鈴が行方不明になり、明音は音臼岳の山小屋に監禁されていたのですが、その小屋の話を一番最初に出したのが加藤みきお少年なのです。
テセウスの船を見た感想は?
#テセウスの船 5巻読んだ。面白いね。緊張感では僕だけがいない街に敵わないのだけど人情系?ドラマ部分がしっかりしてるというか。タイトルがテセウスの船なので、何度もタイムスリップして原型とどめないところまで未来が変わるんだろうな。続き早く!
— いしどおたいち (@taichi1410) October 18, 2018
テセウスの船の感想でよく対比に出されるのが「僕だけがいない街」です。「僕だけがいない街」は同じくタイムスリップして、過去の殺人事件を防ぐというストーリーですが、テセウスの船と違うのは、子ども時代の自分に戻っている点です。
【ピックアップレビュー】『テセウスの船/東元俊哉』
— comicspace / コミスペ! (@comicspacejp) September 14, 2018
t-nashiさん「舞台が北海道でタイムスリップもの。「僕だけがいない街」と同様に第一話からガツンと興味を持たせる展開で始まる。どうしてもこの主人公には幸せな結末を望んでしまう。」 https://t.co/IbDBs7Th4b #comicspace #テセウスの船
こちらはテセウスの船の漫画レビューサイトからです。漫画「僕だけがいない街」と同じく、1話からその続きが気になるという、多くの読者を代表する感想です。
僕「今まで出てきた登場人物で一番怪しいのはコイツだよね。小学校とかあちこちうろついていても怪しまれないし、よそ者だし」
— ぽくちむ (@soloship_0909) April 8, 2018
妻「でも事件の被害者じゃん」
僕「だから疑われなかったんだよ」
みたいに好き勝手に推理しながら読むのって楽しい#テセウスの船
テセウスの船の犯人はいったい誰なのかという、ファン全員が気になるところをあれこれと考察する読者は少なくありません。
テセウスの船という漫画が気になってるけど、始まりがあまりにも絶望的で読むのをためらう。
— おにし@デザイナー (@onishi_M) November 18, 2017
大量殺人事件の犯人の死刑囚の息子という重たい設定に腰が引ける人もいるようです。読み始めたらグイグイ先が気になって止まらない話ですが、設定が重いようです。
テセウスの船のネタバレ解説まとめ
漫画「テセウスの船」のあらすじや、連続殺人犯の正体・結末の考察など、ネタバレを含めてお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?過去から戻って歴史が変わり、タイムパラドクスの余波から事件の新しい真実が出てきます。この先、犯人は誰なのか、どんな展開が待っているのか、ファンからはテセウスの船の結末が気になると評判です。