オールド・ボーイの漫画版のあらすじとラストをネタバレ!感想や魅力は?

この漫画はある日突然、理由も告げられず10年間軟禁され『オールド・ボーイ』となってしまった男の、ハードボイルドな謎解き物語です。解放もまた理由を与えられず突然で、いきなり薬で眠らされた後ポケットに千円突っ込まれ、東京の公園に捨てられていました。彼は断片的な記憶とわずかな物証を頼りに、失われた時間と真実を知るためのルーズな追求を始めます。いっこうに見えてこない敵とその目的、折れなかった男の心など、この漫画『オールド・ボーイ』の紹介をあらすじのネタバレ含めまとめてみました。

オールド・ボーイの漫画版のあらすじとラストをネタバレ!感想や魅力は?のイメージ

目次

  1. オールド・ボーイの漫画版のあらすじをネタバレ!ラストや感想も紹介!
  2. オールド・ボーイの漫画版とは?
  3. オールド・ボーイ漫画版のあらすじをネタバレ!
  4. オールド・ボーイ漫画版のラストをネタバレ解説!
  5. オールド・ボーイ漫画版を読んだ人の感想・評価を紹介!
  6. オールド・ボーイの漫画版のあらすじネタバレまとめ!

オールド・ボーイの漫画版のあらすじをネタバレ!ラストや感想も紹介!

「ルーズ戦記 オールド・ボーイ」のあらすじやラストのネタバレ、感想などを紹介していきます。「オールド・ボーイ」の名で世界的に知られるようになったこの作品ですが、日本にもまだ漫画としての作品を読んだことのない人、ハードボイルドファンタジーというよりハードボイルドメルヘンといった方がいい特殊性のため、内容を忘れかけている人のために改めて紹介していきます。

オールド・ボーイの漫画版とは?

「ルーズ戦記 オールド・ボーイ」は双葉社の漫画雑誌「アクション」によって、1996年から1998年連載されていました。この作品は漫画より映画の方が有名です。それも国際的に過去二回映像化、リメイクされました。漫画のオールド・ボーイを読んだことがなくても映画で見たことがあるという人は大勢いますが、今回はとくに漫画版にしぼって、あらすじなどを紹介していきます。

漫画オールド・ボーイは原作の土屋ガロン氏と作画の嶺岸信明氏による共作

オールド・ボーイ原作者、土屋ガロン氏代表作の「逃亡王 ボーダー」。この作品は旧名の狩撫麻礼(かりぶまれい)名義のもので、ペンネームは他に複数あります。ハードボイルを地で行くような私生活でレゲエ好き、狩撫麻礼という名もジャマイカのあるカリブとボブ・マーレーに由来するとか。彼は今年2018年1月7日に帰らぬ人となりました。ご冥福をお祈りいたします。

オールド・ボーイの作画担当、嶺岸信明(みねぎし しんめい)氏の代表作麻雀漫画「天牌」。他に「哲也十番勝負」原作は小説家色川武弘(いろかわ たけひろ)こと阿佐田哲也氏、「女医レイカ」原作は剣名舞(つるぎな まい)氏などがあります。1983年、新人賞佳作獲得をきっかけにしてデビュー。宮城県出身で主に麻雀漫画を中心に活躍しています。

映画版「オールド・ボーイ」カンヌ国際映画祭とシッチス・カタロニア国際映画賞を受賞

オールド・ボーイは日本の劇画漫画ですが、まず韓国で映画化されました。第57回カンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリと、第37回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞しています。カンヌの審査委員長だった「キルビル」の監督クエンティン・タランティーノにして「できればパルム・ドール(カンヌ国際映画祭の最高賞)を授与したかった」と言われています。

「流血、バイオレンスアクション映画の大家クエンティン・タランティーノが2004年、カンヌ映画祭の審査委員長でなければパク・チャヌク監督のオールド・ボーイが2等賞である審査委員大賞を受けることができなかったという話はほとんど定説のようになっている」と中央日報は報じています。

オールド・ボーイハリウッド版二度目のメイク

オールド・ボーイのハリウッドリメイク版は監禁がさらに伸び20年になっています。拉致(らち)される前からすでに離婚していて娘がおり、ボーイの要素がどんどん無くなっていっています。

ハリウッドリメイク版のオールド・ボーイの内容も、日本の漫画原作、韓国映画とかなり違うものになっています。韓国版、ハリウッド版の映画のあらすじネタバレ解説などは、またべつのまとめをご覧ください。

オールド・ボーイ漫画版のあらすじをネタバレ!

10年間軟禁された男

ある日、主人公の五島慎一は飲み歩いて酔いつぶれ目を覚ますと、見知らぬ部屋に監禁されていました。そこは都会のどこにでもありそうな雑居ビルのようなところ。ごく平凡な風景から物語は始まります。ただし起きていることは、いたって以上。そこへ中華屋の出前持ちが毎日行くのが習慣した。新人が教えられた通り、7階と8階のボタンを同時に押すと秘密の7.5階で止まりました。

私設刑務所

この漫画が埋もれてしまわなかった最大のアイデア、それがこの「私設刑務所」だったといっても過言ではありません。この非現実的で現実的なアイデアを生かせたことが、このオールド・ボーイの後の世界的成功を生むきっかけでした。映画監督の井筒和幸氏も映画公開当時、(マトリックスと引き比べ)「リアルやわ~」と熱弁していました。主人公の五島慎一はそんな密閉空間に10年に渡って監禁されていたのでした。

社会の窓はテレビだけ

この私設刑務所、もちろんモグリ、ヤクザの請負商売です。トイレ、シャワー、テレビつき、それに監視カメラが完備されていました。部屋はたいへん狭く当然窓はなく、社会に開かれている窓は、せいぜいテレビと看守くらい。ニュース、ワイドショー、「クレヨンしんちゃん」、今でもつづく「ガキの使い」などを見て過ごす日々がつづきました。その部屋に約10年もの間、彼は閉じ込められていました。

食うことと見ること以外なにもない日々。五島は監禁中から、解放後のことを考えていました。密室なので極度に制限されていますが、しかし希望はありました。なぜなら、いつまで経っても殺される気配がなく、暴力さえふるわれず、食事には中華の出前が当てられる奇妙な待遇だったからです。いつかは釈放されるのでは? と、彼が思ったとしても仕方ないのかもしれません。

 

筋トレだけがトモダチ大作戦

彼の主な日課はテレビを見ながらの筋トレでした。「彼なりの」復讐(ふくしゅう)の実現。それを唯一の希望、平常心を保つバランサーとして、もくもくと欠かさずつづけていました。コイン貯金をするように少しづつ筋肉をつけていったのです。そこにはまさに彼の折れない心、不屈の闘志がありました。

余談ですが、ダチョウ倶楽部の寺門ジモンさんも毎日、独自の筋トレメニューを自身に課し、若いころから怠ったことはないのだとか。画像上は「なかやまきんに君」さん、画像下は牛肉にくわしい「寺門ジモン」氏。両名とも本あらすじとは関係ありません。

監禁していた893のビジネス論

私設刑務所は殺せぬ他者への報いとしてだけではなく、警察や敵からの避難所としても活用されていたという説明がありますが、そのような場面は描かれていません。ちなみに10年で格安の3億だそうです。ここで小ネタバレ。サングラスの人は一見すると、いかにもキーパーソンとなりそうな中ボス感がありますが、オールド・ボーイのあらすじ上ほぼモブ扱い。ヤクザは活躍しそうでしない人たちです。終始ビジネスに徹していました。

10年後ついに釈放

釈放は突然でした。スーツに着替えさせられると、ドタバタ一悶着(ひともんちゃく)あった末、薬で眠らされ、気がつくと東京の公園に捨てられていました。ひとしきり警戒した後、彼は夜空を見上げました。空気を胸いっぱい吸い込みます。都会の夜空ですが、膨大な空間にポツポツ点る星明りに目が沁み入ったことでしょう。

ジ~ン

回転寿司のウインドウの前に立ち、じっと中をのぞきこむ主人公。しけた893がポケットに入れたクシャクシャの千円札に気づき、「ジ~ン」と涙目になります。これは自己に対するあわれみや卑下(ひげ)ではありません。素直に感動しています。この子供っぽさが、この漫画における主人公と他者との違いを表しています。それが彼を今まで助け、元気づけてきました。

ささやかなエピソードですが、これは漫画版でけっこう大事なシーンです。ラストのネタバレになりますが、なぜならこのイノセンス、無垢(むく)こそ、彼が誰かに怨(うら)まれ監獄生活(かんごくせいかつ)を強いられた遠因、もしくは原因になったかもしれないからなのです。

体にしみこんできやがる!

キンキンッに冷えて、うまい、うますぎる! まさに犯罪的だ。ビールに回転寿司、豪遊! 豪遊! 五島1000円の豪遊! 内、消費税30円(1996年当時)で残金20円なり。五島は電話ボックスに向かい知り合いに電話しようとしてやめました。誰も信じてくれっこないからです。彼は寝ているホームレスの胸ポケットに20円を落とし、無一文になりました。

試してみたいことがある

一文無しになって夜の街をうろつく五島。テレクラや露天商、夜の街を満喫する彼は、夜遊びする若者たちに目をつけます。「試してみよう」と、つぶやき彼はガラの悪そうな連中に近づきます。たむろする若者たちの前をわざと千鳥足で歩くと、若者たちはニヤつき目くばせし合いました。五島を取り囲み「酒はホドホドに」とからかいカツアゲしようとしますが…。

ネタバレ――逆にやられてしまいました。結局金を巻き上げられたのは彼らの方でした。軟禁されている10もの年間、彼にとっての情報源はテレビだけでした。その当時のニュースに「オヤジ狩り」がありました。彼は室内トレーニングで鍛え上げた肉体が外で通用するか、心が縮こまっていないか、実利をかね試してみたかったのです。

漫画における監禁は軟禁か?

あらすじからそれますが、この漫画オールド・ボーイでは監禁を軟禁といい表記します。ヤクザがならまだしも被害者本人も言っています。軟禁は監禁罪として日本の刑法上の処罰対象となっている監禁とことなり、法律用語ではなく日常語です。密室に閉じ込め自由を奪っても軟禁? なにか表現上の自己規制でもあったのでしょうか? 画像は軍事政権に軟禁(監視付き外出可)されていたけど、意外と独裁好きなアウンサンスーチー氏。

漫画における五島の戦い方

いよいよラストのネタバレに突っ込みます。この漫画のテーマは復讐(ふくしゅう)にあります。主人公と敵との間には、たがいに食い違った過去が横たわっており、その応酬としてだけではなく、双方の誇りを賭けた勝負としてもあるのです。まだ相手の正体がつかめぬ序盤に、五島は上のように「ルーズ」に復讐すると断言します。「邪悪な情念に凝り固まった復讐鬼」を相手にする彼の流儀が、このときハッキリと示されました。

「ルーズ戦記」という語感のしまりの無さゆえか、販売戦略から後退していきましたが、このカンムリタイトルこそ漫画の肝です。相手が正体不明の怪物なら、自分は正面に立たず斜(はす)に構える。深みを覗いて自分が深みにはまらないようにする身構えでした。それは我の限界を知る大人の小心と、子供っぽい好い加減さの表裏一体のあらわれでした。勝っても負けても、自分が恐るべき怪物になってしまったら意味がないからです。

手がかりは餃子と紙切れの断片

まずは自分が軟禁されていた場所を特定すること。そこからでないと話が始まりません。手がかりは餃子の味と、料理の中に混入していた店名の一部が見える紙の切れ端。割りばしの包みかなにかを、彼はずっと隠し持っていました。

ところで中華料理はバランスの取れた良い食事?

数ある料理の内、栄養のバランスが良い中華だからこそ、長い監禁生活でも健康を保てたと、この漫画の中で五島本人も語っています。

オールド・ボーイ漫画版のラストをネタバレ解説!

ラストボス柿沼が堂島として登場

オールド・ボーイのラスボス柿沼(下右側)は当初、堂島として登場しました。3億もの大金を投じ10年間五島を監禁させた男は、小学校時代の同級生でした。肝心のその理由は「小学生の頃に音楽の時間に柿沼が一人で歌わされたとき、クラスメイトが嘲笑するなか五島だけが涙したこと」でした。具体的な事実としてはそれだけなのです。たった、それだけしかありませんでした。

もうこうなってくると論点は柿沼の人間像に絞らざるをえません。柿沼自身によれば、自分は幼い頃から人と圧倒的に違うと感じ、容易に他人を見透かす能力を誇りにしてきたと言います。それを武器に社会で見事にのし上がり、望み通りの成功を手にしました。そんな中ただ一点、シミのようなものがあり、彼にとってそれが五島だったのです。

クラスの陽キャラの五島と、劣等生ではないが陰キャラの柿沼本人との対比。柿沼は自身の異才ゆえ孤高を見透かされ、五島は泣いたのだと自らに言い聞かせます。だがそこには畏怖(いふ)よりむしろ哀れみがあり、後者の度合いが年々、柿沼自身の中で大きくなっていきました。社会的成功に反比例し、ただのシミが亀裂となり、ヒビを広げ、ダムが決壊するほど膨らんでいったのでした。

両者のちがいと対決の行くへ

五島は輝きを失わず、むしろ研ぎ澄まされていました。柿沼の期待は外れ、ここへ来て彼は直接対決に打ってでる決意をします。その対決とは、自分が10年監禁した理由をお前は思い出せるか? と問う奇妙なものでした。つまり五島が音楽室の一件を忘れているなら、柿沼の孤独を見透かしていたわけではないから五島の負け。覚えているなら、五島は柿沼の絶望を見透かしていたから五島の勝ち。という、なんともなオレ様ルールでした。

在りし日のオールド・ボーイ原作者、土屋ガロンまたは狩撫麻礼(かりぶまれい)氏の若かりし姿。

計らいのはてに

ラストバトルのネタバレ―結果は五島の勝ち。彼が例の音楽室の一件を思い出したので、柿沼の深い孤独と絶望を見透かしていた証明になってしまいました。柿沼の最期は自らの負けを受け入れ、五島への憧れを吐露して自殺することで終わりました。だらしない大人の戦略家とやまとごころの子供の勝利でした。自分に完璧な勝利をもとめる意識は敗北したのでした。

ラストのあらすじネタバレ!

物語上のラストでは、同棲をはじめた五島とエリのもとにオルゴールが届きます。曲は柿沼が音楽室で歌ったあの曲でした。これがエリにかけられた最後の催眠術を発動させるスイッチだと感じた五島は、鉛を呑み込むよう理解させられました。柿沼の復讐がまだ終わってないことを。

ラストエンディングにエリが自殺するシーンが描かれていますが、これは五島が最悪のケースを妄想したイメージシーンと思われます。柿沼の怨念はまだ生きているということでしょうか。

オールド・ボーイ漫画版を読んだ人の感想・評価を紹介!

オールド・ボーイといえば、どうしても反射的に餃子を連想してしまう人が多いようです。餃子の場面は映画にも使われていました。

他には原作者土屋ガロンこと狩撫麻礼(かりぶまれい)の独特の世界観を漫画、私生活こみで語る人たちもいます。

オールド・ボーイは、冒頭から現代日本とは思えないハードボイルドなシーンから始まります。全員クセ強すぎると話題になっています。

「江口寿史の正直日記」によりますと、狩無麻礼氏のマンションに招かれると、冷蔵庫の中はすべてビールでサンドバッグがあったとか。「完全に狩撫麻礼的なハードボイルドな部屋」だったといいます。

亡くなった土屋ガロン氏への哀悼

数多い彼のファンがその日陰の仕事ゆえ、それぞれのタイミングで知り哀悼の意をあらわしていました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

蛇足ながらハリウッド版リメイクの影に出版社「双葉社」と韓国映画会社とのイザコザ

オールド・ボーイの出版社である「漫画アクション」の双葉社のサイトにおいて、「弊社が韓国においてオールド・ボーイ制作会社を提訴した件についてのご説明」というタイトルページがあります。韓国版オールド・ボーイ制作会社ショーイースト社は弊社および原作者に対して債務不履行、報告義務違反などがあったとのことで、一向に改善の余地がなく、ショ−イースト社は実態のない会社になっていたために訴訟を起こしたとあります。

オールド・ボーイの漫画版のあらすじネタバレまとめ!

あらすじはシンプル

オールド・ボーイという漫画のあらすじは振り返ってみると、とてもシンプルです。90年代後半辺りに流行ったサイコサスペンスをくむものでしょう。ラストの展開は急ぎ足すぎて無理を感じることもありますが、そこはエンターテインメントと割り切った方がいいかもしれません。もっとドキュメンタリータッチの広角的な社会派を期待したのに、心理劇で萎(しぼ)んでしまったと不満を持つ人がいるかもしれませんが。

オールド・ボーイが描かれ、かつその中で描かれていた平成は、まだデフレの深刻さが浅く、若々しさの余韻(よいん)が残っている最後の時代でした。この漫画は昨今おなじみの引き延ばしなどせず、全八巻で終わらすことのできた幸運な作品ともいえます。(上、90年代にオールドメディアにおいて軟禁生活を送った「なすび」氏)

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