犬王の最後はバッドエンド?映画のラストシーンの意味や伏線を考察

以下では、映画「犬王」の最後はバッドエンドと言われる理由を考察しました。実在の猿楽師・犬王と盲目の琵琶法師・友有が織りなす新たな猿楽への挑戦を描いた「犬王」の映画。ミュージカル映画のような華やかでポップな世界観が見どころな一方、報われない結末から最後はバッドエンドとも評されています。ここでは、映画「犬王」がバッドエンドと言われる理由やラストシーンの意味や伏線をネタバレ考察しました。

犬王の最後はバッドエンド?映画のラストシーンの意味や伏線を考察のイメージ

目次

  1. 犬王とは?
  2. 犬王の最後はバッドエンド?ラストシーンの意味を考察
  3. 犬王の謎や伏線を考察
  4. 犬王に関する感想や評価
  5. 犬王の最後はバッドエンドなのかまとめ

犬王とは?

映画「犬王」の紹介・イメージ画像

室町時代に実在した猿楽師を主人公にし、時代劇アニメとは思えないポップな世界観やロックバンドのような演出が話題を呼んだ映画「犬王」。猿楽の新たな表現技法を追求する犬王と友有の友情や奮闘を描くも、その結末はバッドエンドと評されています。以下では、映画「犬王」の最後がバッドエンドと評される理由や、ラストシーンの意味や伏線を考察しました。その他、映画「犬王」の謎や伏線もネタバレを交えながらまとめました。

犬王の概要

アニメ映画「犬王」は、湯浅政明監督による室町時代の猿楽師・犬王の活躍を描いた時代劇アニメで、2022年5月に公開されました。

犬王のあらすじ

時は南北朝末期、猿楽一座に生まれた犬王は、醜い容姿ゆえに周囲から疎まれ、その顔をひょうたんの面で隠していました。兄たちの芸の修行を盗み見ながら舞や唄を覚え、己の才能を開花させます。そして、琵琶法師・友魚(友有)との運命の出会いを果たし、2人は平家物語を題材にした新たな猿楽を生み出しました。やがて、2人の評判は将軍・足利義満の耳にも入り、北山の邸を舞台に演舞を披露します。

犬王の見どころ

日本の伝統芸能であり、世界最古の舞台芸術とも評される「能楽」を題材にした「犬王」の映画。主人公は、史実に名前のみが伝わる犬王であり、謎多き猿楽師の半生や活躍をポップに描いています。能楽をミュージカルのように表現し、独特の華やかさが目を引きます。また、映画「犬王」といえば、犬王と相棒・友有との絆も見どころであり、彼らが織りなす猿楽は多くの民衆を惹きつけました。

犬王の最後はバッドエンド?ラストシーンの意味を考察

映画「犬王」のラストシーンの意味を考察・イメージ画像

以下では、映画「犬王」の最後がバッドエンドと言われる理由や、ラストシーンの意味をネタバレを交えながら考察しました。

犬王の最後のシーンをネタバレ

将軍・足利義満の命令により「平家物語」は正史に限定され、犬王と友有が編み出した演舞は封印せざるを得なくなります。しかし、友有はお触れを無視して己の唄を貫き、最後に自身の名前である「友魚」と叫びながら斬首されました。一方、友有の命を守るため、彼から身を引いた犬王。その後も義満に舞を披露するも、彼の作品は後世に引き継がれることはなく、名前だけが残されました。

600年後、地縛霊となって現代の交差点で琵琶を奏で続ける友有。そこへ、犬王の魂が現れます。死の直前に「友魚」と名乗ったため、友有を探し出すのに苦労したと話す犬王。600年ぶりに再会を果たした2人は出会った頃の姿に戻り、喜びを胸に秘めて成仏しました。

犬王のラストシーンの意味

なぜ、友有は死の直前に幼少期の名「友魚」を名乗ったのでしょうか。その理由は、将軍・義満のお触れによって、犬王の演舞が禁じられたことにあるでしょう。犬王と共に独自の演舞を生み出し、その時の人生を象徴する名であった「友有」。しかし、犬王の演舞を否定されることは、友有の存在を否定されることを意味します。そのため、死の直前に「友有」と叫ぶことが出来なかったと考察できます。

時の権力者の意向で、自分を押し殺す人生を強要された犬王と友有。相棒の命を守るためにも、犬王は権力者に従うことを選択します。一方、友有は自身の保身のために権力者に屈することを拒否します。同時に、そのような選択をせざるを得ない人生に、絶望していたでしょう。そして、死が目前に迫った彼に残ったものは、両親によって名付けられた「友魚」だけでなり、彼の最期の言葉となりました。

犬王の謎や伏線を考察

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以下では、華やかな演出や音楽はもちろん、キャラクターに秘められた謎も気になる、映画「犬王」の謎や伏線をネタバレ考察しました。

考察①舞台や時代背景

室町時代の北山文化の象徴である金閣寺・イメージ画像

映画「犬王」は、室町時代前期にあたり、3代将軍・足利義満による南北朝の統一が成し遂げられた時代背景があります。同時に、政治が安定したことで北山文化が到来し、芸能面も大きな発展を遂げました。犬王が活躍したのもこの時期であり、猿楽を発展させて能楽という新たな芸能が誕生しました。

考察②犬王と藤若は実在した人物?

室町時代を舞台に、異端の猿楽師の半生を描いた映画「犬王」。主人公と犬王と藤若は、足利義満の時代に活躍した実在の猿楽師です。史実でもライバル関係にあり、猿楽の道を極めた2人。しかし、犬王に関しては名前だけが伝わり、彼の作品は一切残されていません。

考察③犬王の呪い

比叡座の棟梁として、自身の猿楽を華やかなものにしたいと考えていた犬王の父親。己の芸を極めようと、呪いの仮面と契約を交わしました。その代償として、平家物語を語る琵琶法師を殺害し、母親のお腹にいた犬王を差し出します。取引により犬王は命を奪われるはずでしたが、平家の亡霊によって命を救われ、異形となって生まれました。

つまり、犬王の呪いとは、呪いの仮面と平家の亡霊、さらに父親によって殺された琵琶法師たちの無念と考えられます。友有と共に平家の物語を舞い、自らの呪いを解いていった犬王。まるで自身の穢れを祓うように猿楽を極め、本来の美しい姿を取り戻していきます。一方、父親は息子の活躍に嫉妬し、最後には呪いの仮面を使って犬王を殺害しようと試みます。

しかし、魔力を使う代償として犬王を差し出したため、最後は呪いの仮面の怒りを買うように父親は殺害されました。同時に、犬王の呪いも解消され、彼は本来の姿を取り戻しました。

考察④友魚のキャラ

主人公・犬王の相棒の琵琶法師であり、本作品の語り部である友魚。作中では「友一」「友有」とも名乗っています。壇ノ浦の港町に生まれた彼は、この地で最期を迎えた平家の遺物を拾い集め、生計を立てていました。ある日、都の武士から友魚の父親へ、源平合戦の時代に平家と共に沈められた三種の神器・天叢雲剣の引き上げを依頼されます。友魚と父親の捜索により、海底から剣が発見されました。

しかし、天叢雲剣を鞘から引き抜いた瞬間、天罰が下りました。友魚は両目を失明し、父親は一刀両断という壮絶な最後を迎えました。父子に天叢雲剣の引き上げを依頼した武士は、天罰を恐れて都に逃げ帰ります。その後、亡霊となった父親の声に従い、復讐のために都を目指した友魚。厳島に立ち寄った際、琵琶法師の谷一と出会い、彼に弟子入りします。都入りし、覚一座に加わった友魚は友一に改め、犬王と出会います。

やがて2人の猿楽は民衆の間で評判を呼び、友一は自らの意思で名を「友有」と変えました。そして、友有座を立ち上げ、将軍の御前で猿楽を演じるまでになりました。しかし、彼らの栄光は長く続かず、自分たちの猿楽を否定するような風潮が蔓延します。それでも自分の物語に固執する友有は、最後は罪人として斬首されました。

考察⑤世阿弥とは?

映画「犬王」では、犬王のライバル・藤若として登場した世阿弥。足利義満の庇護を受け、現代まで受け継がれる能の形式を作り上げた能楽師です。また、世阿弥が作った作品の多くは現代でも演じられ、代表作に「井筒」「高砂」等があります。

考察⑥三種の神器とは?

友魚を失明させ、彼の父親の命が奪われる原因となった三種の神器。かつては天皇の正統性を示すための重要な神器とされ、現代でも天皇の皇位継承の儀式にて使用されています。三種の神器は、「八尺瓊勾玉」「八咫鏡」「天叢雲剣」で構成され、作中では天叢雲剣が登場しています。源平合戦の最後・壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平家。その中には、平家の血筋を引く安徳天皇もおり、平家と運命を共にしました。

また、安徳天皇の入水の際、天皇の正統性を示す三種の神器も海に沈められました。後に勾玉と鏡は源氏によって引き上げられるも、剣だけは発見できませんでした。時代を経て、友魚と父親によって見つけられた天叢雲剣。父子に降りかかった天罰は、無念の死を遂げた平家の恨みが込められていたでしょう。

犬王に関する感想や評価

映画「犬王」に関する感想や評価・イメージ画像

以下では、600年ぶりに再会を果たした犬王と友有の姿が感動を呼んだ、映画「犬王」に関する感想や評価をネタバレを交えながら紹介します。

感想1:犬王がかっこいい

異形の猿楽師と琵琶法師の友情や活躍をポップミュージカルに描いた「犬王」の映画。現代風にアレンジした華やかな曲調や世界観がファンを魅了しています。また、能楽といえば堅苦しいイメージが強いですが、映画では若い世代でも親しみが持てる楽しい作風に仕上がっています。SNSでも、「犬王」の映画が面白い、スタイリッシュでかっこいい等の感想や評価が寄せられています。

感想2:映画「犬王」が面白い

能楽をミュージカルで表現した斬新な世界観と、犬王と友有の熱い友情がファンを魅了した「犬王」の映画。救いのない結末からバッドエンドとも評されるも、ラストシーンとなった現代での再会は多くの涙を誘いました。まるで和風バンドのようなポップで華やかな演出や、伏線を張り巡らした考察しがいのある展開が見る者を夢中にさせ、映画「犬王」が面白いとの感想も多く寄せられています。

感想3:報われないラストが悲しい

足利義満のお触れにより、自分たちの平家物語を演じることが出来なくなった犬王と友有。犬王は己を殺して生き続けることを選び、将軍に反抗した友有は斬首されました。友有のラストでの叫び声が伏線となり、600年を経て再会を果たした2人。ラストシーンの解釈によってはハッピーエンドにも思えるでしょう。しかし、SNSでは2人の報われなかった人生が悲しい、バッドエンドだったとの声も見られます。

犬王の最後はバッドエンドなのかまとめ

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映画「犬王」の最後はバッドエンドなのか、ラストシーンの意味や伏線などをネタバレ考察しました。あらすじネタバレのように、犬王と友有の結末は救いのないものだったでしょう。しかし、600年という長い時を経て、2人は再会を果たしました。その時の2人は初めて出会った頃の姿に戻り、見方によってはハッピーエンドとも解釈できるでしょう。

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