2024年01月29日公開
2024年01月29日更新
犬王の最後はバッドエンド?映画のラストシーンの意味や伏線を考察
以下では、映画「犬王」の最後はバッドエンドと言われる理由を考察しました。実在の猿楽師・犬王と盲目の琵琶法師・友有が織りなす新たな猿楽への挑戦を描いた「犬王」の映画。ミュージカル映画のような華やかでポップな世界観が見どころな一方、報われない結末から最後はバッドエンドとも評されています。ここでは、映画「犬王」がバッドエンドと言われる理由やラストシーンの意味や伏線をネタバレ考察しました。
犬王とは?
室町時代に実在した猿楽師を主人公にし、時代劇アニメとは思えないポップな世界観やロックバンドのような演出が話題を呼んだ映画「犬王」。猿楽の新たな表現技法を追求する犬王と友有の友情や奮闘を描くも、その結末はバッドエンドと評されています。以下では、映画「犬王」の最後がバッドエンドと評される理由や、ラストシーンの意味や伏線を考察しました。その他、映画「犬王」の謎や伏線もネタバレを交えながらまとめました。
犬王の概要
🎦『犬王 (2021)』🇯🇵
— のあ(noah) (@noahanonoah) July 27, 2021
監督:湯浅政明 原作:古川日出男
脚本:野木亜紀子 キャラクター原案:松本大洋
猿楽師・犬王
琵琶法師・友魚
美に取り憑かれた父の犠牲になり
醜貌という代償を払う犬王(どろろの変化系)
草薙の剣に光を奪われた友魚
その父は霊となり寄り添い息子を導く
時代に翻弄される二人 pic.twitter.com/20ZaPlyYrV
アニメ映画「犬王」は、湯浅政明監督による室町時代の猿楽師・犬王の活躍を描いた時代劇アニメで、2022年5月に公開されました。
犬王のあらすじ
犬王
— natalie (@ete___mn) June 23, 2022
これはアニメでないとこんなに心が動く作品に表現出来なかったと思った
世間の目や従来の型に嵌められた習慣、そして因果応報…この現代に公開する意味がこれでもかと言うくらい詰まっていて、観ることが出来て良かった
犬王がフレディに見える瞬間が度々あってニヤリとしてしまった笑 pic.twitter.com/PE7JRfil61
時は南北朝末期、猿楽一座に生まれた犬王は、醜い容姿ゆえに周囲から疎まれ、その顔をひょうたんの面で隠していました。兄たちの芸の修行を盗み見ながら舞や唄を覚え、己の才能を開花させます。そして、琵琶法師・友魚(友有)との運命の出会いを果たし、2人は平家物語を題材にした新たな猿楽を生み出しました。やがて、2人の評判は将軍・足利義満の耳にも入り、北山の邸を舞台に演舞を披露します。
犬王の見どころ
映画『犬王』。見てて気持ちいい、アニメーションの効力を最大に活かし終始「脳のエモ」を加熱し続ける湯浅演出。現代映像芸術の極みだ。あと森山未來×アヴちゃんの演技は最強。 pic.twitter.com/0vOCgB9KN5
— 浅野 智哉 (@asnhpy) August 6, 2022
日本の伝統芸能であり、世界最古の舞台芸術とも評される「能楽」を題材にした「犬王」の映画。主人公は、史実に名前のみが伝わる犬王であり、謎多き猿楽師の半生や活躍をポップに描いています。能楽をミュージカルのように表現し、独特の華やかさが目を引きます。また、映画「犬王」といえば、犬王と相棒・友有との絆も見どころであり、彼らが織りなす猿楽は多くの民衆を惹きつけました。
犬王の最後はバッドエンド?ラストシーンの意味を考察
以下では、映画「犬王」の最後がバッドエンドと言われる理由や、ラストシーンの意味をネタバレを交えながら考察しました。
犬王の最後のシーンをネタバレ
今ここに物語があるのは、誰かが伝えてきたからだ。史実の殆ど残っていない犬王でさえも、この映画がある以上、狭い糸口から現代まで存在を伝えられてきた。あの時代に然るべき終わり方も、今に受け取るととても悲しい。自由な音楽で自由になれる今は幸せだ。 pic.twitter.com/F90OEfBpZ0
— 8637 (@H9ido) June 7, 2022
将軍・足利義満の命令により「平家物語」は正史に限定され、犬王と友有が編み出した演舞は封印せざるを得なくなります。しかし、友有はお触れを無視して己の唄を貫き、最後に自身の名前である「友魚」と叫びながら斬首されました。一方、友有の命を守るため、彼から身を引いた犬王。その後も義満に舞を披露するも、彼の作品は後世に引き継がれることはなく、名前だけが残されました。
600年後、地縛霊となって現代の交差点で琵琶を奏で続ける友有。そこへ、犬王の魂が現れます。死の直前に「友魚」と名乗ったため、友有を探し出すのに苦労したと話す犬王。600年ぶりに再会を果たした2人は出会った頃の姿に戻り、喜びを胸に秘めて成仏しました。
犬王のラストシーンの意味
犬王、東北の映画館でやっちくり🥺 pic.twitter.com/HKKHNwzovz
— NYA NYA THINGS (@4mi_T) January 15, 2024
なぜ、友有は死の直前に幼少期の名「友魚」を名乗ったのでしょうか。その理由は、将軍・義満のお触れによって、犬王の演舞が禁じられたことにあるでしょう。犬王と共に独自の演舞を生み出し、その時の人生を象徴する名であった「友有」。しかし、犬王の演舞を否定されることは、友有の存在を否定されることを意味します。そのため、死の直前に「友有」と叫ぶことが出来なかったと考察できます。
時の権力者の意向で、自分を押し殺す人生を強要された犬王と友有。相棒の命を守るためにも、犬王は権力者に従うことを選択します。一方、友有は自身の保身のために権力者に屈することを拒否します。同時に、そのような選択をせざるを得ない人生に、絶望していたでしょう。そして、死が目前に迫った彼に残ったものは、両親によって名付けられた「友魚」だけでなり、彼の最期の言葉となりました。
犬王の謎や伏線を考察
以下では、華やかな演出や音楽はもちろん、キャラクターに秘められた謎も気になる、映画「犬王」の謎や伏線をネタバレ考察しました。
考察①舞台や時代背景
映画「犬王」は、室町時代前期にあたり、3代将軍・足利義満による南北朝の統一が成し遂げられた時代背景があります。同時に、政治が安定したことで北山文化が到来し、芸能面も大きな発展を遂げました。犬王が活躍したのもこの時期であり、猿楽を発展させて能楽という新たな芸能が誕生しました。
考察②犬王と藤若は実在した人物?
天野先生の『能楽手帖』角川ソフィア文庫
— miki matsui (@karashi0314) July 24, 2020
他の本にはのってないような豆知識も載っていてこれはいいぞ。 pic.twitter.com/7i1hzCwcpi
室町時代を舞台に、異端の猿楽師の半生を描いた映画「犬王」。主人公と犬王と藤若は、足利義満の時代に活躍した実在の猿楽師です。史実でもライバル関係にあり、猿楽の道を極めた2人。しかし、犬王に関しては名前だけが伝わり、彼の作品は一切残されていません。
考察③犬王の呪い
【5/28(土)~『#犬王』<#LIVEサウンド×レーザー>上映決定!】#湯浅政明 監督のイマジネーションが炸裂!
— チネチッタ (@cinecitta_jp) May 23, 2022
能楽師・犬王と琵琶法師・友魚が織りなす、時を越えた狂騒のミュージカル・アニメーション!
クラブチッタが監修したライブ感あふれる音響でお楽しみください!https://t.co/ywXRvHf7ml pic.twitter.com/zHlqganUM9
比叡座の棟梁として、自身の猿楽を華やかなものにしたいと考えていた犬王の父親。己の芸を極めようと、呪いの仮面と契約を交わしました。その代償として、平家物語を語る琵琶法師を殺害し、母親のお腹にいた犬王を差し出します。取引により犬王は命を奪われるはずでしたが、平家の亡霊によって命を救われ、異形となって生まれました。
#犬王
— どらみ (@dorami0420) June 2, 2022
異形の猿楽師と盲目の琵琶法師
虐げられた者達の奪われ失われた物語
忘れられた者達の生きた軌跡を『名前』をキーに描く全編パワフルなダンスロックミュージカル♪
アヴちゃんと未來君のセッションに魂が揺さぶられた
犬王は異形時代の方が自由で破天荒に煌めいていたのでは?#犬王見届けようぜ pic.twitter.com/PEupvhocLn
つまり、犬王の呪いとは、呪いの仮面と平家の亡霊、さらに父親によって殺された琵琶法師たちの無念と考えられます。友有と共に平家の物語を舞い、自らの呪いを解いていった犬王。まるで自身の穢れを祓うように猿楽を極め、本来の美しい姿を取り戻していきます。一方、父親は息子の活躍に嫉妬し、最後には呪いの仮面を使って犬王を殺害しようと試みます。
しかし、魔力を使う代償として犬王を差し出したため、最後は呪いの仮面の怒りを買うように父親は殺害されました。同時に、犬王の呪いも解消され、彼は本来の姿を取り戻しました。
考察④友魚のキャラ
琵琶ライブに向けて練習中。舞台芸術に長年関わってきた夫に聴いてもらうと、「ここは情景が伝わってきたけど、ここは分からなかった」などとダメ出しをくれました。
— まついえつこ@店マイク自然歌唱で100点がとれるボイストレーナー (@matsuietsuko) January 28, 2024
まさに自分でも意味がよく分かっておらず弾いているフレーズだったりして。バレてるー😅
良きアドバイザーです😙 pic.twitter.com/SMbKc4MRTt
主人公・犬王の相棒の琵琶法師であり、本作品の語り部である友魚。作中では「友一」「友有」とも名乗っています。壇ノ浦の港町に生まれた彼は、この地で最期を迎えた平家の遺物を拾い集め、生計を立てていました。ある日、都の武士から友魚の父親へ、源平合戦の時代に平家と共に沈められた三種の神器・天叢雲剣の引き上げを依頼されます。友魚と父親の捜索により、海底から剣が発見されました。
本日のレイトショー『犬王』
— トブセ・アミ (@LisaBendar) June 10, 2022
「俺たちは今ここにある」
アニメは守備範囲ではないんだけど、TLで評判だったし、室町時代に実在した猿楽師の話(実話ではないと思うけど)となれば歴史好きとしては行かずばなるまいって感じです。
大好物の南北朝や草薙の剣も少し出てくるし。 pic.twitter.com/Z1FylW7s2r
しかし、天叢雲剣を鞘から引き抜いた瞬間、天罰が下りました。友魚は両目を失明し、父親は一刀両断という壮絶な最後を迎えました。父子に天叢雲剣の引き上げを依頼した武士は、天罰を恐れて都に逃げ帰ります。その後、亡霊となった父親の声に従い、復讐のために都を目指した友魚。厳島に立ち寄った際、琵琶法師の谷一と出会い、彼に弟子入りします。都入りし、覚一座に加わった友魚は友一に改め、犬王と出会います。
やがて2人の猿楽は民衆の間で評判を呼び、友一は自らの意思で名を「友有」と変えました。そして、友有座を立ち上げ、将軍の御前で猿楽を演じるまでになりました。しかし、彼らの栄光は長く続かず、自分たちの猿楽を否定するような風潮が蔓延します。それでも自分の物語に固執する友有は、最後は罪人として斬首されました。
考察⑤世阿弥とは?
📖#犬王 辞書
— 【公式】劇場アニメーション『犬王』熱狂上映中 (@inuoh_anime) June 17, 2022
【能楽】
和歌や文学作品などを取り込みながら、演劇や歌舞劇として発達した日本の伝統芸能。
能面を用い、歌と舞で構成されるのが特徴。
犬王は猿楽の一座である「比叡座」で生まれました。#犬王見届けようぜ pic.twitter.com/HzsAaYs94q
映画「犬王」では、犬王のライバル・藤若として登場した世阿弥。足利義満の庇護を受け、現代まで受け継がれる能の形式を作り上げた能楽師です。また、世阿弥が作った作品の多くは現代でも演じられ、代表作に「井筒」「高砂」等があります。
考察⑥三種の神器とは?
私的三種の神器①
— 稀羅浩路(キラコウジ) (@kirapeaceword) January 7, 2023
三種の神器。
天孫降臨の際、天照大神が邇邇芸命に授けた三種類の宝物と言われている。具体的には、八尺瓊勾玉、八咫鏡、天叢雲剣(草薙剣)の事を指し、歴代天皇が古代よりレガリア(王権の正当性を示す宝物)として伝世してきた神宝である。
しかし、なぜ三種類もあるのだろう…。 pic.twitter.com/nrskxmqRzv
友魚を失明させ、彼の父親の命が奪われる原因となった三種の神器。かつては天皇の正統性を示すための重要な神器とされ、現代でも天皇の皇位継承の儀式にて使用されています。三種の神器は、「八尺瓊勾玉」「八咫鏡」「天叢雲剣」で構成され、作中では天叢雲剣が登場しています。源平合戦の最後・壇ノ浦の戦いで源氏に敗れた平家。その中には、平家の血筋を引く安徳天皇もおり、平家と運命を共にしました。
また、安徳天皇の入水の際、天皇の正統性を示す三種の神器も海に沈められました。後に勾玉と鏡は源氏によって引き上げられるも、剣だけは発見できませんでした。時代を経て、友魚と父親によって見つけられた天叢雲剣。父子に降りかかった天罰は、無念の死を遂げた平家の恨みが込められていたでしょう。
犬王に関する感想や評価
以下では、600年ぶりに再会を果たした犬王と友有の姿が感動を呼んだ、映画「犬王」に関する感想や評価をネタバレを交えながら紹介します。
感想1:犬王がかっこいい
犬王めちゃくちゃスタイリッシュでかっこいいな
— 色葉 (@gtskdr) January 25, 2024
異形の猿楽師と琵琶法師の友情や活躍をポップミュージカルに描いた「犬王」の映画。現代風にアレンジした華やかな曲調や世界観がファンを魅了しています。また、能楽といえば堅苦しいイメージが強いですが、映画では若い世代でも親しみが持てる楽しい作風に仕上がっています。SNSでも、「犬王」の映画が面白い、スタイリッシュでかっこいい等の感想や評価が寄せられています。
感想2:映画「犬王」が面白い
犬王、正直、ミュージカルっていうのをみて、自分は楽しく見れるのか?と心配したけど、杞憂だった!
— しいたけあじ (@siitake_aji) January 23, 2024
めちゃくちゃ面白かった!🤪
救いのない終わりだったけど、その魂は現代にも生き続けてるって演出がたまらんね!
確かにこれはアニメ平家物語を観てからだと面白さが倍増するわ!
能楽をミュージカルで表現した斬新な世界観と、犬王と友有の熱い友情がファンを魅了した「犬王」の映画。救いのない結末からバッドエンドとも評されるも、ラストシーンとなった現代での再会は多くの涙を誘いました。まるで和風バンドのようなポップで華やかな演出や、伏線を張り巡らした考察しがいのある展開が見る者を夢中にさせ、映画「犬王」が面白いとの感想も多く寄せられています。
感想3:報われないラストが悲しい
犬王観た!!
— えれな@敗者の極 (@ERENA_game) January 20, 2024
なんだか報われなくて悲しい
足利義満のお触れにより、自分たちの平家物語を演じることが出来なくなった犬王と友有。犬王は己を殺して生き続けることを選び、将軍に反抗した友有は斬首されました。友有のラストでの叫び声が伏線となり、600年を経て再会を果たした2人。ラストシーンの解釈によってはハッピーエンドにも思えるでしょう。しかし、SNSでは2人の報われなかった人生が悲しい、バッドエンドだったとの声も見られます。
犬王の最後はバッドエンドなのかまとめ
映画「犬王」の最後はバッドエンドなのか、ラストシーンの意味や伏線などをネタバレ考察しました。あらすじネタバレのように、犬王と友有の結末は救いのないものだったでしょう。しかし、600年という長い時を経て、2人は再会を果たしました。その時の2人は初めて出会った頃の姿に戻り、見方によってはハッピーエンドとも解釈できるでしょう。