夫はグレーゾーンのネタバレあらすじ！グレーゾーンの家族の葛藤をリアルに描く

結婚後、夫に発達障害の傾向があることを知った妻の苦悩や葛藤をリアルに描いた「夫はグレーゾーン」の漫画。普通の生活ができない夫と家族の物語と思いきや、彼らに忍び寄る怪しい影など、サスペンス要素も含めた展開が読者を魅了しています。以下では、「夫はグレーゾーン」の漫画あらすじネタバレや見どころ、感想や評価などをまとめました。

漫画「夫はグレーゾーン」は、コミックサイト「まんが王国」にて独占配信されている社会派ヒューマンドラマです。大人の発達障害をテーマにした作品であり、グレーゾーンと診断された夫や彼を支える家族の葛藤、周囲の人々との関わりを描いています。

漫画「夫はグレーゾーン」の作者・秋野さと先生は、埼玉県出身の漫画家で、過去には「春野ちよ」「はるの陽菜」の名義で執筆活動を行っていました。メッセージ性の強い作風で知られ、主な作品に「娘は声優になるそうです」があります。

以下では、グレーゾーンの夫に翻弄される妻の奮闘を描いた、漫画「夫はグレーゾーン」の1話～10話あらすじをネタバレ紹介します。

会社の同期と恋愛結婚し、専業主婦となった川上美和。夫の優斗は少し抜けたことがあるものの、笑顔の絶えない癒し系男子でした。しかし、結婚生活を始めてから優斗に対して違和感を覚えます。片付けが苦手だったり、人の話を聞かないなど、子供っぽい行動が目立ちます。さらに、思ったことをすぐに口に出してしまうことも多く、美和も困っていました。

一緒に暮らし始めて、夫は普通の人と違うことに気が付いた美和。また、無神経な一言で人を怒らせることも度々あり、美和の心は疲弊します。しかし、美和に怒られても、優斗は反省するどころか、その事すらすぐに忘れていました。本来ならば恵まれた結婚生活なのにと、美和は夫の違和感に悩み始めます。

夫との結婚生活に悩む中、本屋で「大人の発達障害」の本を見つけた美和。本の内容が夫に当てはまり、美和は夫の発達障害を疑います。高校時代からの親友・辻原真珠にも電話で相談するも、気にすることはないと言われてしまいます。真珠の言葉を受けて、少しは前向きになれた美和。しかし、優斗はまともに話し合おうとせず、夫の気持ちが分からず思い悩みます。

優斗のおかしな行動は会社でも見られ、大きなトラブルを起こしてしまいます。周囲の反応をよそに、自分の何がおかしいのか理解できない優斗。夫から相談を受けた美和は、意を決して病院へ連れて行きます。最初は美和が診察に付き添ったものの、その後は夫と医師の2人で問診が行われます。数十分後、優斗の診断結果は「グレーゾーン」、発達障害の特徴がみられるもそう断定できない状態でした。

コンビニで元カレの小野沢翔吾と再会した美和。3年前、翔吾からひどいDVを受け、真珠の手助けによって彼から逃げた過去がありました。今でも美和を諦めきれない翔吾。美和は結婚した事実を明かし、逃げるようにその場を去ります。一方、翔吾は美和との復縁を目論み、ある人物に連絡を入れました。

これまで、優斗が会社で起こしたミスは同僚たちがカバーしてきたものの、一向に態度を改めようとしない優斗に苛立ちを募らせていました。ついに、先輩社員の白井から「発達障害」と言われ、優斗は自分でもそうかもしれないと考え始めます。上司のはからいでその日は早めに帰宅することにした優斗。残った仕事は自宅でやろうと社外秘の資料を持ち出してしまいます。

優斗から電話が途中で切れ、夫の異変を察した美和。マンションの外に出ると、元カレの翔吾と出くわします。嫌な相手とひと悶着起きるも、優斗が現れたことで事なきを得ました。しかし、優斗はカバンを公園に忘れてしまいます。さいわい、カバンは交番に届けられていたものの、薄着のまま外にいた美和は体調を崩します。

高熱で身動きが取れない中、彼女の弱みにつけ込んで復縁を迫ろうとする翔吾は、美和に電話をかけます。翔吾に心が揺れそうになった時、母親が自宅に駆け付けたことで我に返ります。翔吾の電話を着信拒否し、夫のことを母親に相談した美和。ついに夫が発達障害かもしれない「グレーゾーン」だと打ち明けます。娘婿の現状を聞き、娘たちの結婚式を思い出した美和の母親。

優斗の母親と対面した際、彼の母親から嫌なことを言われたものの、彼女からは悪気は感じられませんでした。そして、娘の話から優斗のグレーゾーンは母親からの遺伝ではと考えます。

母親のお見舞いと夫のことを打ち明けられたことで精神的にも楽になった美和。親子で水入らずの時間を楽しむ中、そこへ優斗の母親が訪れます。悪気こそないものの、相手が傷つくようなことを平然と言ってしまう優斗の母親。美和母子は愛想笑いを浮かべるしかできません。同時に、優斗がグレーゾーンと知ってからは、彼の母親にもその傾向が見られると察します。

かつて元カレからDVを受けていた美和でしたが、実は彼女の母親も夫の暴力に悩まされていました。もしかしたら、美和のDVも遺伝ではと優斗の母親に推論されます。一方、会社では優斗が少しでも働きやすいようにと、上司から人事部へ働きかけがありました。しかし、優斗の事情を知らない人事部からは「いい大人が…」等と言われ、取り合ってもらえませんでした。

夫のグレーゾーンに悩む中、美和の妊娠が発覚します。しかし、美和には夫の遺伝が子供に受け継がれると不安にさいなまれます。一方、会社では上司が優斗の処遇を巡って頭を悩ませていました。彼に出来ない仕事はないかと様々なことを試すも、優斗に改善の兆しが見えませんでした。

以下では、夫との将来に不安を覚える中、妻の妊娠が発覚した漫画「夫はグレーゾーン」の11話～20話あらすじをネタバレ紹介します。

美和の不安をよそに、妊娠を素直に喜ぶ優斗。まだ妊娠2か月で不安定な時期であるものの、美和は真珠にも報告を電話を入れました。一方、美和の想いをよそに、真珠の心境は穏やかではありません。恵まれない生い立ちであり、不幸体質の美和が幸せになるころが許せない真珠。そこで、元カレの翔吾にも美和の妊娠を教え、彼をけしかけます。

スーパーで買い物中、元気すぎる男の子をみかけた美和。その子が発達障害との噂を聞き、美和は不安を掻き立てられます。同じ頃、美和の母親の職場へ電話がかかりました。相手は美和の父親であり、元妻に会いたいために非常識な行動に出ていました。一方、会社ではこれまで優斗を見守っていた上司が我慢の限界を迎えます。

以前、会社から外部に持ち出すことを禁止していた書類を持ち帰ってしまった優斗。その件が発覚し、社内で大騒ぎになっていました。しかし、当の本人は何が起きたのか理解できません。そして、思い立ったように退職願いを提出し、会社を出ていきました。

会社を辞めたものの、その事実を打ち明けられずにいた優斗。次の仕事が見つかった時に話せばよいと楽観的に考えます。その頃、会社ではトラブルメーカーだった優斗がいなくなったことに、女子社員は厄介払いが出来たと話し合っていました。しかし、子供に軽度の障害がある白井は、子供の将来に不安を感じます。無断で会社を早退した優斗でしたが、まもなく上司から電話がかかってきます。

仕事の引き継ぎをしてから辞めるようにと説得された優斗でしたが、上司の「逃げる」という言葉がひっかかります。その場で引継ぎを了承したものの、上司の言葉が頭に残り、優斗は情緒不安定になります。

もうすぐ父親になるのに、いつまでも大人になり切れない夫に頼りなさを感じる美和。しかし、暴力を振るう元カレよりはましと自分に言い聞かせ、優斗への不満を抑え込みます。一方の優斗は仕事を辞めたことを、美和に報告できずにいました。引継ぎのため翌日は出社したものの、職場の異様な雰囲気に優斗も違和感を覚えずにいられません。しかし、この不穏な空気の原因が自分にあることを、彼には理解できませんでした。

優斗が退職したことで、これまで美和と連絡を取っていた元同僚は2人の連絡を削除して、関係を断ち切ります。一方、夫が退職したことを知らない美和は、週末に夫の実家に妊娠の報告へ向かいました。

両親の前で突然、転職したことを報告した優斗。もちろん、美和には退職した事実すら知らせておらず、美和は困惑します。さらに、美和の妊娠の報告もさらりと行い、両親もなにも疑いを持たず祝福します。普通の人とは価値観の異なる親子に不安になる美和。しかし、妊娠した今、後戻りはできないと優斗の転職活動を支えることを決意します。

次の仕事が始まるまで家でのんびり過ごしている優斗に対して、いら立ちと疲弊を募らせる美和。そこへ、真珠が訪れます。美和を不幸にすることで、自身をメンタルを保ってきた真珠。今の2人の状況は、真珠にとって美味しいものでした。表面は美和を心配する親友を演じつつ、彼女を傷つける言葉を浴びせる真珠。さらに、優斗にも美和が元カレと会っているとデマを吹き込み、夫妻の崩壊を目論見ます。

真珠の一件で心を乱されたまま、旅行に出かけた美和と優斗。気分が高揚した優斗は、妊娠中の美和を気遣う余裕がなく、美和の不安が現実となってしまいます。

妻に怒鳴られても、時間が経てばすっかり忘れてしまう夫にいら立つ美和。さらに、旅館のチェックインでは自宅の住所を思い出せず、美和は気恥ずかしさを覚えます。しかし、周囲からは優斗は発達障害だと思われず、明るく元気な旦那さんとして見られていました。その頃、美和の母親は元夫との関係で窮地に追い込まれ、美和にも魔の手がさしかかろうとしていました。

夫の行動に苛立ち、さらにつわりの苦しさもあいまって精神的に疲弊する美和。そこへ、母親から電話がかかってきました。要件は父親とのトラブルでしたが、旅行中であること、美和の妊娠を聞いて打ち明けることが出来ません。その後も優斗が原因で恥ずかしい思いをする美和でしたが、母親の電話を受けて少しは気分を立ち直らせます。

運送会社で働き始めた優斗。そこには美和の元カレ・翔吾も勤務しており、美和は仕事や翔吾との関係に不安を募らせます。一方の優斗は幸先の良いスタートを切れたと思いきや、さっそくトラブルに直面します。

その頃、真珠は職場の女子社員から、発達障害の傾向が見られた元事務員の女性について聞かされます。彼女のせいで迷惑を被ったと言いつつ、彼女を笑いものにする女子社員たち。しかし、美和の顔が思い浮かんだ真珠は、同僚たちと一緒に笑うことが出来ませんでした。その頃、優斗のトラブルで配送ミスが発覚し、優斗は不安になります。しかし、ミスは配送員の斉木と判明し、優斗は内心ほっとします。

しかし、これらをきっかけに気が楽になったのか、優斗は元来の性格を表に出しはじめ、墓穴を掘ってしまいます。その後、優斗は翔吾の配送を手伝うこととなり、彼と2人でトラックに乗り込みました。

以下では、グレーゾーンの夫の行動に悩む美和の苦悩や、彼女にしのびよる魔の手が気になる、「夫はグレーゾーン」の漫画の見どころを紹介します。

「夫はグレーゾーン」の夫・優斗は、明らかな発達障害の傾向が見られるグレーゾーンであり、普通の生活を送ることが難しいです。そのため、作中では優斗に対する偏見が強く描かれ、発達障害があると思われる人をバカにするようなセリフも見られました。しかし、それらは決して他人事ではなく、リアルの世界でもあり得る光景でしょう。

「夫はグレーゾーン」は、大人の発達障害をリアルを描いた作風から、読み手によってはキツイ、イライラを感じやすいでしょう。一方で、作品を通じて大人の発達障害に対する理解を深められる、社会性の強い作風も見どころとなっています。

「夫はグレーゾーン」は、イライラを感じるほどのリアルな描写に加え、ハラハラするサスペンス要素も見どころです。夫のことで悩む美和でしたが、彼女の周囲には新たな脅威が次々と迫り、まるで昼ドラのような展開となっています。夫のことでイライラし、さらに周囲に追い詰めらる美和。次々と降りかかる困難をどのように乗り越えていくのでしょうか。

以下では、グレーゾーンに無理解な人々にイライラするも、一生懸命に生きようとする川上夫妻を応援したくなる、「夫はグレーゾーン」に関する感想や評価を紹介します。

一部では、発達障害への偏見とも捉えかねない過激な描写や、読者のイライラを誘発するようなストーリー展開から、読むのが辛いなど厳しい感想や評価も見られた「夫はグレーゾーン」の漫画。しかし、SNSでは、グレーゾーンや発達障害について考えさせられる真面目な内容だと評されています。「夫はグレーゾーン」は読者によって評価が大きく分かれる作品ですが、発達障害への考え方を改めさせるきっかけになっているでしょう。

「夫はグレーゾーン」は、読み手によっては不快感やイライラを感じる方もいるでしょう。一方、読者の中には美和と同じような悩みを抱えており、共感できるポイントが多かったとの感想も寄せられています。漫画「夫は「グレーゾーン」は、発達障害の傾向の夫を支える妻の奮闘記とされるも、夫の視点でも物語が展開されており、当事者の気持ちを知ることもできる作品でしょう。

発達障害について考えさせられる漫画として支持される「夫はグレーゾーン」ですが、やはり読者によってはイライラを感じずにはいられない方もいます。そして、読者が感じるいら立ちは、グレーゾーンに対する理解のない人々の偏見もあげられるでしょう。夫妻を陥れようと暗躍する真珠や翔吾はもちろん、夫妻の身内や元同僚など心もとない登場人物や彼らに対するイライラも、漫画への厳しい評価につながっていると推測されます。

「夫はグレーゾーン」は、発達障害の傾向が強いにも関わらず、障害だと診断されない人々の生きづらさにも焦点を当てた漫画でもあります。漫画では優斗に翻弄される人々が注目されがちですが、本当に辛いのはグレーゾーンにいる人々だという意見も見られます。彼らは障害者ではないとの理由から、社会的に必要な援助を受けられないケースも多く、優斗のような人々が一番辛いのでは、との声も寄せられています。

「夫はグレーゾーン」の漫画あらすじネタバレや見どころ、感想や評価などを紹介しました。優斗に対する周囲の過剰な偏見や、夫妻を取り巻く人々の悪役ぶりからイライラしたとの感想が多く寄せられた「夫はグレーゾーン」。内容はキツイと思われる場面も多いですが、大人の発達障害について考えさせられる漫画とも評されています。多様性が求められる現代にこそ、読んでおきたい作品でしょう。