少女終末旅行の漫画版・アニメ版の感想を解説!荒廃した世界を旅する2人の物語

『少女終末旅行』が今ひそかに話題となっています。もともと2014年よりwebサイトにて連載されており、非常に高い評価を得ておりました。そして2017年10月よりアニメ化するとその知名度は一気に広がり、ネット上にも多くの感想があげられました。ここではそんな『少女終末旅行』について、漫画版のあらすじやアニメ版の感想など、荒廃した世界の2人の物語を徹底的に解説していきます。

少女終末旅行の漫画版・アニメ版の感想を解説!荒廃した世界を旅する2人の物語のイメージ

目次

  1. 少女終末旅行の漫画版とアニメ版の感想とは?最終回についても徹底解説!
  2. 少女終末旅行の原作漫画のあらすじを徹底解説!
  3. 少女終末旅行の原作漫画の最終回を徹底解説!
  4. 少女終末旅行の漫画版を読んだ感想とは?
  5. 少女終末旅行のアニメ版を観た感想とは?
  6. 少女終末旅行の漫画版とアニメ版の感想まとめ!

少女終末旅行の漫画版とアニメ版の感想とは?最終回についても徹底解説!

『少女終末旅行』とは、2014年2月より、webサイトくらげバンチにて連載されたファンタジー漫画で、2018年で1月連載終了、現在単行本6巻にて完結しています。また2017年10月から12月までアニメも放送され、特にアニメ放送後には非常に多くの人が「その先が気になる」と、『少女終末旅行』の漫画を手に取ったと言われています。

はじめは、ただのんびりと終わっていく世界の中で2人の少女の日常を追っていくだけの漫画のように見えます。けれどもその世界観は他の漫画ではなかなか見られず、また何より道すがらなぜこのように世界が荒廃したのか、世界に何が起こっているのかなど様々な謎がちりばめられ、読者を楽しませてくれました。

今回はそんな『少女終末旅行』について、漫画版のあらすじや解説、そしてアニメ版も含めた感想などについて徹底的に紹介していきます。

TVアニメ「少女終末旅行」公式サイト

少女終末旅行の原作漫画のあらすじを徹底解説!

漫画『少女終末旅行』は、すでに滅んでしまった世界を、チト、ユーリという2人の少女がぼんやりと生きていく物語です。特別なことをするわけでもなく、食べられそうなものを探し、お風呂に入り、会話をするだけなのですが、徐々に世界の謎が明らかになっていき、彼女たちの目的も明かされてくるのです。

漫画『少女終末旅行』1巻のあらすじと解説

巨大な都市を、チトとユーリはキャタピラ式オートバイ・ケッテンクラートに乗って旅をしています。世界は戦争によって荒廃し、彼女たちのほかには誰もいません。

あるとき、2人はこの荒廃を生み出した戦争について考えを巡らせます。なぜ戦争は起こるのか?3つの食料を手に取り、これを1つずつ分けて、残った1個を銃を持って奪いあう。だから戦争が起こるんだと、2人は話し合うのです。そんな、子どもじみてシンプルな理由ながらもどこか核心をついている、そんな1コマが印象的です。

漫画『少女終末旅行』2巻のあらすじと解説

チトとユーリはこれまでの階層を離れて、さらに上層を目指して進みます。相変わらずのゆるさではありますが、救いとは何か考えたり、あくまでも絶望と隣り合わせな中それとどう付き合って行くかを考えたりと、滅びゆく世界に生きる2人の内面が見え隠れしていきます。その中でも、特に印象的なシーンを紹介します。

そのさなか、不思議な光景を目にします。街のいたるところに謎の像が立っているのです。街のさらに奥にはさらに多くのその像が並ぶ建物があり、2人は「神様がいるという、寺院なのではないか?」と推察します。

寺院の奥の石板には寺院や神様について解説されていますが、2人にはあまりよく分かりませんでした。「私はちーちゃんを見つけた時の方が安心した」の言葉にも表されるように、結局2人にとって大事なのは作られたにせものの神様ではなく、目の前に助け合う相手がいることなのです。荒廃した世界において、お互いの存在を尊く思う2人の孤独がよく分かるシーンとしてファンの間で話題となりました。

漫画『少女終末旅行』3巻のあらすじと解説

さらに上層を目指し2人でゆったりと進むチトとユーリですが、少しずつ世界の真相に迫る場所や不思議な建物が増えていきます。この世界に何が起こったのかに触れつつ、2人は旅を続けていきます。道中、飛行機を作って飛ぼうとしていた(結局は失敗してしまったのですが)イシイより、食糧生産施設への道のりを聞き、2人はそこへ向かいます。
 

四角いイモや、さらに大きな粉のコンテナ、砂糖や塩を発見し、固形食料(レーション)を作ろうということになるのです。粉に砂糖や塩を混ぜて、パンのようにこねて焼く、ただそれだけのものなのですがとても甘く、たまらなく美味しかったのです。小さな喜びを見つけ、2人でそれを確かめあう。2人だからこそ得られる幸せがそこにあったのです。

漫画『少女終末旅行』4巻のあらすじと解説

滅びゆく世界の核心に少しずつ触れつつも、チトとユーリはさらに上層を目指して2人は進んでいきます。この巻では特に『死』を意識せざるを得ないシーンが印象的だと話題になりました。
 

道中、2人は『ヌコ』という不思議な生物に出会います。以前寺院の街で見た像にそっくりな生物です。このヌコのおかげで、以前出会った人間「カナザワ」から譲ってもらったカメラに膨大な画像データが残っていたことを知るのですが、そこには本当に大勢の人間の姿が映っていて、かつての賑やかな様子を感じることができます。それは逆にいうと、それだけの人間が死んでしまい、今ここにはいないということでもあるのです。
 

ヌコの仲間が2人に対してこう言います。「観測できない最上層を除いて、地球上に存在する人類はあなたたちだけです」と。

これまでチトとユーリは、少なくとも2人の人間に会ってきました。カメラをくれたカナザワと、飛行機を飛ばそうとしていたイシイです。ついこの間会ったばかりの人間が、今はもうこの地球上にはいないとさらりと告げられる絶望を目の当たりにしながらも、2人は最上層に僅かな希望をかけて、さらに上を目指すこととなるのです。

漫画『少女終末旅行』5巻のあらすじと解説

4巻で、確実に地球の終わりが近づいていることを知ったチトとユーリですが、今までと変わらずマイペースで上層を目指し進んでいきます。と言うよりは、地球の終わり云々よりも、今まさに尽きかけている食料をどうするか、水はどうするかの方が、2人には重要なのです。今までよりも確実に終末の足音が迫ってきていることをひしひしと感じざるをえない巻として評価されています。

5巻では2人が旅をする理由について、あるいは2人の過去について、少しではありますが語られています。過去にはチトとユーリの育ての親と見られるおじいさんがいて、帰る家もありました。それがここ数年で劇的に変化し、皆いなくなっていたのです。

また最上層を目指すのも、そのおじいさんに言われたからなのでした。ただ下層の食料が尽きていたからなのか、それとも他に何があるのか、現段階では語られてはいません。そして2人はさらに進み、とうとう最上層の昇降機のところまでたどり着いたのでした。

漫画『少女終末旅行』6巻のあらすじと解説

最終巻になります。最上層を目指してすすむチトとユーリですが、途中ずっと乗ってきたケッテンクラートが壊れてしまいます。今までも大変無理をさせてきたわけですので、いずれかはそうなる運命だったわけですが、大事にしてきたチトは思わず泣き出してしまいます。

その後歩いて最上層を目指すのですが、だんだんと2人の会話も少なくなって行きます。銃、本、そしてずっと大切に書いてきた日記まで、火を焚くために燃やしていきます。手の中にあるものを少しずつ、確実に失っていきながら、2人はそれでも前へと進んで行くのです。

少女終末旅行の原作漫画の最終回を徹底解説!

『少女終末旅行』6巻の最終回について、詳しく解説していきます。色々なものを捨て、とうとう最低限の荷物のみとなっても2人は上を目指して進んでいきます。そしてとうとう最上層の一番上に到着するのです。

果てしない螺旋階段の先にあるもの

最後の螺旋階段です。ランタンも切れ、本当の闇の中を、2人はひたすら上り続けます。そのさなか、ユーリは手袋をとって手をつなぐことを提案します。ユーリのポケットの中で、2人は不安や、寂しさや、疲れを紛らわせるように、お互いを確かめるように、しっかりと手を握り合います。

ついに、はるか上の方に一筋の光を見つけます。暗闇の切れ目がそこにあるのです。食料も、水もほとんどなくなり、2人にとっては最後の希望の光です。

旅行の終末

最終回「終末」です。2人はやっと辿り着いたのです。上を見上げても何もない、本当に世界の一番上です。

そこは見渡す限りの星空と、広い雪原と、そして大きな黒い石がありました。そして、それだけでした。

ユーリが「登り切った記念にごはんを」と提案するも、そのようなものは既にありません。あるのは水のみです。2人で黒い石に背中を預け、空を見上げます。2人はヘルメットを取ります。もう落ちてくるものはなく、そんなものは必要ないからです。

2人だけの世界

2人はサクサクと雪原に足跡とつけながら、寄り添って歩きます。特にチトは、目的地に着いても何もないことが分かり、これまでの行動を後悔しだします。「もっと早く引き返していれば、もっと別な場所に進んだ方が、暖かくて食べ物もある場所に行けたんじゃないか…」

ユーリが突然雪をぶつけてきました。そして雪合戦が始まります。何がよかったのか、どうしてこの世界に2人っきりなのか、何もわかりません。ただ2人は、2人でこの世界を生きてきたのです。

「生きるのは最高だったよね…」「…うん」雪原に倒れ込みながら、2人は生きてきたことを実感するのでした。

自分たちの荷物の中を覗いてみると、ユーリが爆薬と思って持ってきていたものが実はレーションであったことが分かります。なんとか火をおこして水を温め、本当に最後のレーションをかじります。

「これからのどうする?」の問いかけに、「さあね、とりあえず食べて…少し寝て…」「それから考えよう」こうして物語は終わるのです。

終末に辿り着いた時の絶望感

『少女終末旅行』最終巻である6巻は、とにかく絶望への道のりであったと言えます。特に今まで乗ってきたケッテンクラートが動かなくなってからのチトの沈みっぷりは見ていられないものがあったとの声が多く聞かれました。その後次々と持ち物を捨てていき、また暖を取るために少しずつ燃やしていく場面が続きます。2人にはもう後がない予感が痛いほど伝わってくる場面だと話題になりました。

途中「死ぬの怖い…?」といった問いかけがなされますが、今まで口にされてこなかった「死」について、ここにきて急に強く意識させられるのです。そして闇の螺旋階段の一番上に光を見つけたときも、2人は決して希望を感じていたようには見えず、むしろ恐怖を感じているような印象すら受けます。

一番上に辿り着き、そこには何もありませんでした。それは、この世界にはもはや2人しか人間が存在していないことを意味しているのです。空は遠く台地は広く、世界は広がっているのに、閉塞感や絶望感を急速に意識させられるのです。

『少女終末旅行』の2人のその後は?

目的の場所についた2人が目の当たりにしたのは、希望を失くしてしまうようなものでした。けれども、終わり方としては、見方によってはまだまだ2人の日常が続いていくような印象を受けます。単行本化された際の加筆ページの一番最後、黒い石のそばに荷物と、そして2人のヘルメットが置き去りにされています。けれども2人の姿はありません。2人は一体どこへ行ったのでしょうか。

あえて希望を見出したい

例えば、一番上に来るまでの間に、2人はロケットの発射場のようなところを通ります。そこには太陽系の様子を描いた模型のようなものが置いてあり、地球の模型から3本の線が出ているのです。

01は途中で×となっていて、02も少し頑張っていますが、やはり×。けれども03は太陽系を飛び出し、さらに遠くまで線は続いているのです。それは過去に人間がロケットを使って地球を無事脱出したこと、そしてその可能性がそこにあることを示しています。なぜなら、04のロケットはまだそこにあるからです。

少女終末旅行の漫画版を読んだ感想とは?

通常終末の世界を描いた物語の主人公たちは何らかの、例えば他の生きている人間の住処を見つけるだとか、あるいは終末の根源を見つけそれを断つとか、目的がある場合が多いのです。けれどもこの『少女終末旅行』では、「最上層の一番上に行く」目的はあれども、それはどちらかというと絶望への道のりといった意味合いが強く出ています。

そんな『少女終末旅行』独特の世界観に魅せられた人は非常に多く、Twitterでも『少女終末旅行』の感想を非常に多く見ることができます。

2人の終末へ向けた日常に、生きることを考えさせられた人は多かったことでしょう。作中「いつか終わるとわかっていても、何かをせずにはいられない」といったセリフがありますが、これは『少女終末旅行』の中だけではなく、突き詰めて言えば今現実に生きている自分たちにも当てはめることができるのです。

絶望に向かっていく過程と2人の最後を思うと、『少女終末旅行』は悲しみなしでは語れない漫画と言えるでしょう。ここまで徹底的に死や滅びと向き合っている物語はなかなか見ることはできません。2人のその後については諸説ありますが、どうにか希望をもって次のステージに進んでいってほしいという感想が多く聞かれます。

『少女終末旅行』の最後の場面で、朝日が昇り、その輝く世界を上から見下ろす2人は「私たちは世界で一番幸せだね」と話します。それは単に自分たち以外にこの世界に誰もいないから、ということではありますが、本当に幸せを感じていなければそんな言葉は出てこないはずです。

少女終末旅行のアニメ版を観た感想とは?

『少女終末旅行』はアニメ版も非常に好評でした。漫画の雰囲気を壊さず、むしろアニメを見ることによりこの『少女終末旅行』の空気感をより強く感じることができた、という感想も多く聞かれます。

まさしく、アニメーションをうまく活用できたコンテンツだと言えるかもしれません。漫画であれば画像と文章が表現のかなめとなりますが、アニメであればそこに動画と音楽が加わり、逆に文章の重要性は薄れてきます。『少女終末旅行』はその世界観を表すにあたり、言葉以外の感覚の方が重要であったと言えるでしょう。

漫画の感想でもありましたが、『少女終末旅行』は生きることに対するメッセージが強く込められています。シンプルな構成なのに、どこか胸に響くものがある、それも重く響くのではなく、乾いた音を響かせるのです。

少女終末旅行の漫画版とアニメ版の感想まとめ!

『少女終末旅行』漫画版についてのあらすじや解説、漫画版アニメ版両方の感想を紹介してまいりました。アニメをきっかけに非常に多くの方に知ることとなり、『少女終末旅行』のその独特の世界観と絶望感は多くの人を虜にして来たようです。もしまだ見ていない方がいらっしゃるようでしたら、是非一度この機会にご覧なってみてはいかがでしょうか。

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