【奇子】ネタバレあらすじと結末!手塚治虫が描くドロドロ愛憎劇の見どころは?

この記事では、漫画「奇子(あやこ)」のあらすじを、ラスト結末までネタバレを交えながら紹介します。奇子とは、「漫画の神様」手塚治虫が戦後間もない昭和の時代を舞台に描いた作品で、ドロドロで歪んだ愛憎劇やエロティックな描写が「黒手塚作品」を代表するものであると高評価されました。奇子のあらすじについて、ラストの結末まで紹介しながら、登場人物や、奇子という作品の面白い魅力に至るまで、ネタバレで取り上げていきます。

【奇子】ネタバレあらすじと結末!手塚治虫が描くドロドロ愛憎劇の見どころは?のイメージ

目次

  1. 奇子とは?
  2. 奇子の漫画あらすじと結末ネタバレ
  3. 奇子の見どころ
  4. 奇子の登場人物
  5. 奇子に関する感想や評価
  6. 奇子のネタバレまとめ

奇子とは?

「奇子(あやこ)」とは、「漫画の神様」と称される手塚治虫が、1970年代に発表した漫画です。「ブラック・ジャック」や「火の鳥」のようなメジャーな作品ではないものの、手塚治虫のダークサイドが表れた漫画として根強いファンを獲得しました。この記事では奇子のあらすじを結末ラストまでネタバレ紹介します。また、併せて奇子の登場人物や面白い魅力などを取り上げるため、同作品を読む際には参考にしてください。

奇子の概要

奇子は、ビッグコミック1972年1月25日号から1973年6月25日号まで連載された漫画です。奇子のコミックスは、様々なバージョンが発売されました。2023年4月現在、手塚治虫漫画全集(全3巻)と手塚治虫文庫全集(全2巻)が刊行中で、電子書籍版もあり手軽に読むことができます。また、奇子は2019年に、手塚治虫生誕90周年記念事業の一環として、舞台化が行われており、東京、大阪、水戸(プレビュー)で上演されました。

奇子の作者は手塚治虫

奇子の原作者は、手塚治虫です。手塚治虫は、戦後日本におけるストーリー漫画の第一人者として「漫画の神様」と称されました。1946年に漫画家デビューした手塚治虫は、1947年に発表した「新寳島」(原作酒井七馬)が大ヒットしたことで、一躍スターダムを駆け上り、「ジャングル大帝」、「鉄腕アトム」、「火の鳥」、「リボンの騎士」、「ブラック・ジャック」、「アドルフに告ぐ」など多くの傑作漫画を描いたのです。

手塚治虫についてネタバレしますと、先に挙げた誰もが知るヒット作品の他にも、「きりひと賛歌」や「アラバスター」、「ばるぼら」といった人間や社会の暗黒面を描いた漫画が多く存在します。奇子もその中の一つとされ、これらは「黒手塚作品」と呼ばれるようになりました。手塚治虫は、一貫して現役漫画家として少年誌や青年誌に執筆していましたが、1989年2月9日に、胃がんのためこの世を去りました。

手塚治虫は、現在に至るまで、漫画界に多大な影響を与えた人物です。石ノ森章太郎、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、赤塚不二夫といった後に漫画界の重鎮となるフォロワーを、多数生み出しました。また、アニメの分野においても、虫プロダクションを設立し、1963年に日本初の国産テレビアニメ「鉄腕アトム」を世に送り出すなど、その影響は計り知れないものがあります。

奇子|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

奇子の漫画あらすじと結末ネタバレ

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手塚修原作の漫画奇子を読んだ人の中には、「奇子の境遇が可哀想」や「結末ラストが衝撃的だった」という感想が多く見られるとのことです。また、未読の人が「あらすじを読んで興味が湧いた」や「あらすじを読んだだけでも恐ろしさを感じる」という意見を述べていました。奇子とは、どのような物語なのでしょうか?この章では、奇子の第一章と第二章、そして結末ラストのあらすじを、ネタバレを交えて紹介していきます。

奇子のあらすじネタバレ

あらすじネタバレ①第1章「帰郷」

奇子の第1章「帰郷」のネタバレあらすじは、次の通りです。昭和24年1月の横浜港に、天外仁朗が復員しました。出迎えたのは、妹の志子です。天外家は、地方の旧家で仁朗は次男でした。戦争で右目を失いながらも生き延びた仁朗でしたが、父親の作右衛門や兄の市郎が自分の生還を喜んでいないことを察しています。母親のゐばとも再会を果たし、家に戻る車中で、仁朗は自分がいない間に生まれた末妹の奇子の存在を知らされました。

実は仁朗は、GHQのスパイになることで生き延びたことが判明しました。彼は、復員後も日本におけるGHQのスパイとして働いていくことになります。そして、その行動は天外家にも影響を及ぼすのです。帰宅した仁朗は、天外家のよそよそしさに戸惑いを隠せません。そして、末妹の奇子と、市郎の妻すえが酷似していることに気づき、奇子は作右衛門とすえの子供ではないかと推測するのでした。

あらすじネタバレ②第2章「祝殿」

奇子の第2章「祝殿」のあらすじを、次にネタバレします。仁朗は、市郎に丘の上にある祝殿に呼び出されました。そこで、仁朗は天外家がGHQの農地改革で没落し、彼に譲る田畑がないことなどを聞かされます。また、仁朗は捕虜になったことで、作右衛門はおろか近所の人間にも疎んじられるようになりました。彼は、奇子のことや作右衛門の狂った行動などを知り、天外家そのものが日本の暗部を凝縮したような一家であると悟ります。

奇子の結末とラストネタバレ

奇子の結末ネタバレあらすじとラストは、次の通りです。GHQのスパイを続けている仁朗は、命令で共産主義者の江野正という青年の殺害事件に関与しました。ところが、江野は志子の恋人だったのです。さらに、証拠を隠滅しているところを奇子と下女のお涼に見られてしまった仁朗は、お涼を殺害して村を逃亡、その後は祐天寺富夫と名を変えて裏社会でのし上がっていくのでした。実は、そこには奇子の犠牲もあったのです。

天外家のお家騒動が表に出ることを嫌った作右衛門は、志子を勘当すると市郎の提案を受けて、奇子を土蔵に閉じ込めてしまいました。世間的には死んだこととされた奇子は、その後約20年もの間、土蔵の中で暮らし続けたのです。そして、天外家三男である伺朗と道ならぬ関係を結びました。一方、自分のせいで奇子が酷い目に遭っていることを知った仁朗は、天外家を脱出した奇子の身元引受人となり、彼女を社会復帰させようとします。

外に出た奇子は、仁朗や彼を追う下田警部の息子波奈夫を翻弄します。やがて、作右衛門の亡くなった天外家が一堂に会する機会が来ました。その場所となった洞窟の入り口を爆破して、出入り口を塞いだ伺朗は、家族に奇子への謝罪を求めて、一家の内情を暴露します。一人、また一人と洞窟内で天外家の面々と波奈夫が亡くなっていく中、捜索隊に発見された時に生き延びたのは奇子のみでした。また、ゐばは天外家再興を誓うラストです。

奇子の見どころ

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手塚治虫原作の漫画奇子は、旧家の複雑な人間関係と、下山事件などの実在事件をモチーフにしたストーリー展開、そして衝撃的な結末ラストで、読者に衝撃を与えたとのことです。また、「奇子には、面白い魅力が多い」と高評価する意見も、多く見受けられました。この章では、奇子の面白い魅力について、三項目に分けて、ネタバレを含めながら取り上げていきます。

見どころ①成長していく奇子

奇子の面白い魅力として、多くのファンが真っ先に挙げるとされているのが、成長していく奇子の美しさです。幼い頃からかわいらしさのある奇子ですが、土蔵に閉じ込められて以降は、無垢さと妖艶さを併せ持った美女へと成長しました。1970年代の手塚治虫の描線は、それまでの丸っこい絵柄から、劇画を取り込んだ硬いタッチへと変化を遂げており、現在でも「奇子の美しさが絶妙に表現されている」と高評価されています。

見どころ②大人向けの描写

奇子の面白い魅力に、大人向けの描写が多いことを挙げるファンも多いとのことです。掲載誌が青年誌のビッグコミックであったことから、奇子のヌードシーンなどが多く描かれました。また、作右衛門とすえ(父親と義理の娘)や、伺朗と奇子(兄、または叔父と妹、または姪)の肉体関係のシーンも描かれており、性のタブーを果敢に取り上げる手塚治虫の姿勢を高く評価するファンが多く、同作品の面白い魅力につながっています。

見どころ③奇子の怖さ

奇子は、土蔵の中で20年過ごすという過酷な環境を強いられた女性です。つまり、彼女は一切の教育を受けることができませんでした。その結果、奇子は倫理観や道徳心のかけらもない女性に育ったのです。人前で堂々と男性を誘惑したり、外聞を気にせず子供たちと遊ぶなど奇子の破天荒なシーンが多く描かれました。奇子は、「可哀想な境遇だけれども、無邪気さが怖い」という感想が、特に男性ファン中心に見受けられるとのことです。

奇子の登場人物

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手塚治虫が1970年代に描いた漫画奇子は、「癖のある登場人物が多くて面白い」という意見が多く見られます。また、「奇子を中心にした人間関係が凄い」や「天外家の内情がエグイ」との感想もありました。奇子の登場人物とは、どのようなキャラクターなのでしょうか?この章では、奇子の主な登場人物とキャラクターを、一覧にまとめて、ラスト結末がどうなったかなどのネタバレを交えながら紹介していきます。

登場人物①天外仁朗

天外仁朗は、この作品の狂言回し的存在です。出征していましたが、GHQのスパイになることで生き延び、復員後もスパイ活動をしていました。しかし、江野正殺人事件に関与後、自分の罪が明かされそうになると逃亡して、裏社会で暗躍します。そして、暴力団「桜辰会」を設立し、表社会にまで影響を及ぼすようになりました。元々の性格は真面目で優しく、複雑な境遇の奇子についても終始愛情を注ぎ、やがて惹き込まれていきます。

登場人物②天外奇子

天外奇子は、この作品の主人公的存在です。天外作右衛門とゐばとの間の娘とされていましたが、ネタバレしますと作右衛門と義理の娘末との間に生まれました。複雑な環境で育ち、特に市郎から虐待を受けています。その後、仁朗の秘密を見てしまって以降、天外家存続のための犠牲となり、誰も入ったり出ることのできない土蔵に閉じ込められ、最低限の世話を受けさせられたのみで、20年の時を過ごすことを余儀なくされました。

土蔵の外に出た奇子は、奇行を繰り返し、祐天寺富夫となった仁朗や下田波奈夫を戸惑わせます。彼女は、その後伺朗の企てに巻き込まれて、洞窟に生き埋めとなりますが、他の人間が死んでいく中で唯一結末ラストまで生き残りました。

登場人物③天外作右衛門

天外作右衛門は、天外家の当主です。傲岸不遜と冷酷非情を絵に描いたような性格の持ち主であり、家長としての絶対的な権力で、家族をしいたげてきました。特に、アメリカの捕虜になって復員した仁朗のことを嫌っています。後には、共産主義者と交際していた志子をも勘当しました。すえを孕ませて生ませた奇子のことは、溺愛していました。作右衛門についてネタバレしますと、物語途中で脳卒中を起こし、そのまま死亡します。

登場人物④天外ゐば

天外ゐばは、作右衛門の妻で、仁朗と市郎、志子、伺朗の母親です。古くからの家長制度を重んじる天外家の女性らしく、作右衛門をはじめとする男性陣に対しては従順でした。志子や、自分の実子ではない奇子に対しても、辛く当たることはなく、その動向を彼女なりに見守っていました。しかし、ゐばについてネタバレをしますと、天外家存続については誰よりも強い希望を持っており、結末ラストでそのことを宣言しています。

登場人物⑤天外市郎

天外市郎は、作右衛門とゐばの長男です。日和見主義で作右衛門に頭が上がらず、家督相続のために妻のすえを彼に差し出すなど、常軌を逸した行動を取っていました。また、奇子を土蔵に閉じ込める案を出した張本人です。しかしながら、家督相続の約束を反故にされ、遺産がすえに行くことを知った際に彼女を殺害しました。その後は、遺産を相続したものの、悪夢にうなされ続けます。

登場人物⑥天外すえ

天外すえは、市郎の妻です。彼女を妻に選んだのは、作右衛門であり、後に市郎の家督相続の道具として作右衛門に差し出され、奇子を産みました。戸籍上は、奇子の義姉ということになっていたので、実母と打ち明けられない悩みを抱えています。作右衛門の死後、遺産を相続したことで、奇子を連れて天外家を出ようとしましたが、市郎に殺害されました。そのことを一族の前で暴いたのは、伺朗でした。

奇子に関する感想や評価

この章では、手塚治虫原作の漫画奇子に関するTwitterでのつぶやきを、いくつか取り上げていきます。奇子は、インターネット上でどのような感想や評価を受けているのでしょうか?

こちらは、奇子をラストまで読んだと思われる方のツイートです。同作品について、戦後日本の混乱の様子をリアルに描いていて面白いとつぶやいており、復員のタイムラグがリアルだと高評価していました。

こちらは、手塚治虫作品の大ファンだと思われる方のツイートです。手塚治虫を健全な漫画家と捉えておらず、彼の持つ暗さが表れている奇子について、面白い漫画だと評価していました。

こちらは、奇子の大ファンだと思われる方のツイートです。物語の中で、奇子がどんどんと外の世界や恋愛に興味を持っていく様子を、どこか切ないとつぶやいています。

奇子のネタバレまとめ

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この記事では、奇子(あやこ)について、あらすじネタバレ紹介を中心に特集してきました。手塚治虫という漫画家の、ダークな部分が表現された奇子は、ファンを中心に隠れた人気があるとのことです。是非一度、奇子を読んで、その魅力に触れてください。

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