妻、小学生になる。は東野圭吾「秘密」のパクリ？あらすじや似てる作品も紹介

「妻、小学生になる。」は、村田椰融による漫画作品で、芳文社発行の「週刊漫画TIMES」にて2018年5月に掲載された後、現在まで不定期掲載が続いています。単行本は、2022年2月現在11巻まで刊行され、累計発行部数は160万部を突破しています。

また、2022年には堤真一主演でテレビドラマ化され、同年1月21日から3月25日にかけてTBS系列・金曜ドラマ枠にて放送されました（全10話）。

10年前に妻・貴恵を交通事故で亡くしてからというもの、新島圭介と娘の麻衣は、失意の中で無気力な毎日を送っていました。そんな2人の元に、ある日見知らぬ小学生の少女が訪ねてきます。自分は貴恵の生まれ変わりだと告げる少女に、圭介はたちの悪いいたずらだと一蹴します。ところが、その少女・白石万理華が貴恵と圭介しか知らない情報を持っていたことで、貴恵の生まれ変わりであることを否定できなくなりました。

ここからは、この記事のメインテーマである本作「妻、小学生になる。」と東野圭吾の小説「秘密」の比較をしていきます。はたして「妻、小学生になる。」は東野圭吾の「秘密」のパクリなのでしょうか？まずは、東野圭吾の「秘密」のあらすじから見ていきましょう。

「秘密」の主人公・杉田平介は自動車部品メーカーに勤務する39歳のサラリーマンです。妻・直子と娘・藻奈美とのつましくも幸せな生活を送っていました。

ある日のこと、直子は娘を連れて彼女の実家に向かうスキーバスの中にいました。ところが、2人の乗ったバスが山道の崖から転落、直子は帰らぬ人となってしまいます。奇跡的に一命を取り留めた藻奈美。やがて昏睡状態から目覚めた彼女の言葉に、病室で付き添っていた平介は愕然とします。意識を取り戻した藻奈美には、亡き妻・直子の魂が宿っていたのです。

ここからは、「妻、小学生になる。」と東野圭吾の「秘密」との共通点と違いについて解説していきます。最初はパクリ疑惑も出ている共通点からになります。

まず、家族構成が似ています。40歳前後の中年男性の主人公と妻、そして小学生の娘の3人家族です。そして、交通事故で妻が亡くなるところも共通しています。暫くして妻の生まれ変わりだという人物が現れ、物語は新たな展開へと進んでいきます。

前項で「妻、小学生になる。」と「秘密」を比較し似てる部分を挙げましたので、次に両者の違いについて解説していきます。「妻、小学生になる。」と「秘密」の違いは大きく分けて3つあります。まず1つ目は、東野圭吾の「秘密」では亡き妻の魂が残された娘の体に乗り移るのですが、「妻、小学生になる。」の方は亡くなった妻が他人である少女として生まれ変わるところが違います。

そして違いの2つ目は、「妻、小学生になる。」では生まれ変わりの少女・万理華が家庭環境での問題を抱えており、それが作品のテーマの1つとなっている点です。万理華は母親の千嘉からネグレクトの虐待を受けていました。

そして違いの3つ目は、小学生の子供に憑依する亡き妻の気持ちです。「秘密」の直子には、ただひたすら夫と一緒にいたいという思いが感じられます。それに対して「妻、小学生になる。」の貴恵には、やり残したことを成し遂げたいという強い意思があるようです。そのやり残したこととは、夫と娘が明るさを取り戻し前を向いて進んでいく手助けをすること、そして母・礼子と弟・友利が幸せに生きていくのを見届けることです。

やるべきことを成し遂げたら、貴恵は万理華の身体から離れてあの世に戻っていくのではないでしょうか？そうすれば、万理華の彷徨う魂は元のさやに戻り、ハッピーエンドとなる日が来るのかもしれません。

ここまで、「妻、小学生になる。」が東野圭吾の「秘密」のパクリではないか？という疑惑について解説してきましたが、実は「妻、小学生になる。」には設定やストーリーがよく似ている作品が他にもいくつか存在します。ここからは「妻、小学生になる。」に似てる他の作品を挙げ、比較検証していきます。

阿部潤による漫画「パパがも一度恋をした」。こちらもそうした作品の1つです。ビッグコミックスピリッツにて連載され、単行本は全7巻が刊行されています。「妻、小学生になる。」と似てるところは、妻を亡くした主人公が失意から引きこもりの生活を余儀なくされますが、その後あの世に旅立った妻がよみがえるところ。ところが「パパがも一度恋をした」では、妻は小さな女の子としてではなく中年のおじさんとして復活するのです。

「妻、小学生になる。」よりもコメディ色の強い作品ですが、亡くなった妻が家族のつながりの大切さを思い起こさせてくれるところは共通しているのではないでしょうか？

続いて紹介する「妻、小学生になる。」と似てる作品は、ぢたまによる漫画「小学生がママでもいいですか？」です。

主人公はゲーム制作会社に勤務する20代後半の男性。仕事に疲れ果て癒しを求めていた主人公の元に、赤いランドセルを背負った小学生の少女が現れます。作品のタイトルから推察できるように、その小学生は主人公の母親の生まれ変わりだったのです。設定は妻ではなく母親になっていますが、主人公にとって大切な存在が少女に転生するところは似てるのではないでしょうか？

「妻、小学生になる。」に似てる作品の最後は、「月間コミックフラッパー」にて2016年に連載された小路啓之による漫画「10歳かあさん」。同年に作者が急逝したため4話で終了してしまった未完の作品です。

主人公は、10年前の海難事故で母を亡くした15歳の少年。ある日彼の前にその母親の生まれ変わりだという10歳の少女が現れます。15歳の息子と10歳の母親による不思議な共同生活が始まりますが、作者急逝のためその後の展開はわかりません。主人公にとって大切な人が小学生の少女に転生するところは「妻、小学生になる。」に共通しています。

亡くなった妻が小学生の少女として生まれ変わるという奇抜な設定の漫画「妻、小学生になる。」。SNSでは「面白い」という声がある一方、「気持ち悪い」とネガな感想が上がるなど賛否両論のようです。そこでここからは、「妻、小学生になる。」が気持ち悪い・面白いと言われる理由について考察していきます。

テレビドラマ「妻、小学生になる。」を観た視聴者から、作品の設定が気持ち悪いという声が上がりました。漫画作品ではあまり感じられなかったのですが、実写のドラマとなると生々しくて気持ち悪いというのです。子役の小学生の少女に30代の妻を演じさせることに違和感を覚える人が多かったようです。さらに、主人公の中年男性と小学生の少女が夫婦としてハグしているシーンが気持ち悪いという意見も数多く見受けられました。

前項でネガな意見を紹介してきましたが、続いて「妻、小学生になる。」が面白いと言われる理由について考察していきます。

まず、ストーリーがシンプルでイラストもわかりやすいと言われています。とりわけ妻・貴恵の笑顔など表情が豊かで素敵と言う声が多く見られます。そして、主人公・圭介と娘・麻衣を含めた家族が愛に溢れているのも魅力の1つでしょう。

失ってから初めてそのありがたみに気づく家族愛や夫婦間の愛を思い起こさせてくれるようです。「妻、小学生になる。」の登場人物が家族の理想形として読者の心に響くようです。

ここまで「妻、小学生になる。」と東野圭吾の「秘密」を比較・検証してきましたが、最後に「妻、小学生になる。」に関する感想や評価をTwitterより紹介します。

最初に紹介する「妻、小学生になる。」に関する感想・評価は、もう一度見てみたいという方のツイートからです。切なくも温かい感動が心に残っているようです。

続いて紹介する「妻、小学生になる。」に関する感想・評価は、ドラマ版で白石万理華を演じた毎田暖乃の演技を称賛するツイートからです。作品の設定をあり得ないとしつつも、毎田の演技力が不自然な設定を感動に変えていたそうです。

最後に紹介する感想・評価は、「妻、小学生になる。」をおススメできる作品とするツイートからです。その理由として「妻、小学生になる。」が家族愛に溢れた作品であることを挙げていました。

ここまで「妻、小学生になる。は東野圭吾「秘密」のパクリ？」と題して、両作品のあらすじなどを比較検証し共通点そして違う点を解説、さらに「妻、小学生になる。」と似てる他の作品も紹介してきました。いかがでしたでしょうか？

両者とも家族構成や輪廻転生を題材にしている点は似ていますが、亡くなった妻がこの世にあらわれた目的や、「妻、小学生になる。」で妻が生まれ変わった少女が虐待を受けているなど作品のテーマ自体に違いがありました。「妻、小学生になる。」は「秘密」のパクリなどではなく、両作品は似て非なるものと言えるのではないでしょうか？