秒速5センチメートルのあらすじをネタバレ!鬱展開アニメの結末は?

秒速5センチメートルをご存知でしょうか?今回はストーリーのあらすじなどをネタバレしつつご紹介していきます!秒速5センチメートルは「君の名は。」で有名な、登場人物の心情を描くのが得意な新海誠監督の名作の1つです。いわゆる鬱アニメと言われる、結末がハッピーエンドではない作品ですが、名言や温かい気持ちになるシーンも多くファンが多い作品となっています。また映画を補完する小説も出版されています。あらすじを頭に入れてさらに小説版も読めば、秒速5センチメートルを2倍楽しめること間違いなしです!

秒速5センチメートルのあらすじをネタバレ!鬱展開アニメの結末は?のイメージ

目次

  1. 秒速5センチメートルのあらすじとは?結末もネタバレ!
  2. 秒速5センチメートルのあらすじをネタバレ!
  3. 秒速5センチメートルの結末をネタバレ!
  4. 秒速5センチメートルのタイトルの意味とは?
  5. 秒速5センチメートルを見た人の感想を紹介!
  6. 秒速5センチメートルのふたつの小説版も要チェック!
  7. 秒速5センチメートルのあらすじネタバレまとめ!

秒速5センチメートルのあらすじとは?結末もネタバレ!

アニメファンの間で密かに高評価を有している「秒速5センチメートル」をご存知でしょうか?この作品は切ない鬱作品ということもあり、一見苦手という人もいるかもしれません。しかし、タイトルの秒速5センチメートルという言葉の意味が作品に反映されていたりと、とても奥の深い作品となっています。

作品の指揮を執るのは、「君の名は。」で有名な新海誠監督です。その新海誠監督が2007年に公開した3作目の映画。上映時間は63分と短めですが、約1時間とは思えないほどに内容がぎっしり詰まった作品です。主な登場人物は主人公の貴樹(たかき)と明里(あかり)、それと貴樹の引っ越し先の種子島で出会う女の子花苗(かなえ)。貴樹がそれぞれの地で出会った女の子とのやりとりを描いています。

どの話も胸を締め付けられる切ない内容となっていて、悲恋ものや鬱アニメと言われる作風が好きな人、また色々な経験をしてきたオトナな人にはハマること間違いなし!今回はそんな秒速5センチメートルをネタバレを交えつつご紹介していきます。

秒速5センチメートルのあらすじをネタバレ!

秒速5センチメートルの主な登場人物は、主人公の貴樹。そして貴樹が親の転勤で移り住んだ東京の世田谷で知り合う病弱な少女、明里。またその後引っ越した先、鹿児島の種子島で出会った、明里とは反対に快活な印象の花苗。この三人を巡って進んでいきます。

内容は貴樹と明里の小学生時代を描いた第一話「桜花抄(おうかしょう)」、種子島で花苗と過ごした中高生時代第二話「コスモナウト」、大人になった貴樹と明里のそれぞれの大人になってからを追う第三話「秒速5センチメートル」でできています。結末が切ない鬱アニメと言われつつも忘れられない作品と評判の秒速5センチメートル。それではそのあらすじと物語の結末をネタバレを交えてご紹介していきます。

達観した少年【遠野貴樹(とおのたかき)】

転勤族の親を持つ貴樹は小学3年生の時に世田谷の小学校に転校してきます。中学生になるとサッカー部、高校では弓道部に入りますが、小学生時代は身体が弱いこともあり外で活発に遊ぶよりは図書室などで本を読んで過ごしていました。その為か同じ小学生たちよりも大人びている印象を持ちます。クラスメイトにからかわれていた明里を正面から助け出すなど、正義感を見せるシーンも。

明里とは身体が弱い体質や本が好きということ、また転校生同士など共通点が多く仲良くなっていきました。そんな二人はいつしかお互いに一緒に居ることが当たり前となり、引っ越した後も手紙をやり取りする仲に。またその後の引っ越し先種子島では、年齢らしかぬ落ち着いた雰囲気を持つ貴樹に想いを寄せる花苗と仲良くなっていきます。

おしとやかな少女【篠原明里(しのはらあかり)】

本作のメインヒロイン。小学4年生の時に貴樹と同じく世田谷の小学校に転入。貴樹とは環境や性格など共通点が多く、貴樹が種子島に引っ越してからも手紙をやりとりするなど、とても仲が良いです。小学生の時は図書室に通うことが多くおとなしい性格ですが、小説版や漫画版秒速5センチメートルではバスケットボール部に入るなど、活動的な一面も見られます。

作品のタイトルにもなっている「秒速5センチメートル」を口にした人物であり、知識にも富んでいることが伺えます。貴樹と同じく大人になってからも彼のことを心に置いていましたが、作中では最終的に貴樹とは別の男性と結婚する結末にたどり着きました。

一途な快活少女【澄田花苗(すみだかなえ)】

貴樹が中学2年生の時に転校する鹿児島県種子島に住む元気な女の子。仲の良い高校教師の姉を持ち、後にその高校に入学します。病弱な明里とは反対に、サーフィンが趣味で作中でも日焼けした姿がみられるなど健康優良児。想いを寄せる貴樹と同じ高校に入りたい気持ちをバネに、実力以上だった学校に入学できるほど勉強を頑張ったりと健気な一面も持ち合わせています。

スランプに陥り一時サーフィンができなくなりますが、心の壁を乗り越えた際に貴樹に気持ちを告げようとします。その際、貴樹の拒絶をするような空気に結局言えずじまいになってしまいますが、それでも心の中で彼を思い続ける一途さを秘めています。

貴樹の恋人【水野理沙(みずのりさ)】

大人になった貴樹の恋人。3年付き合いますが、自分を見ていても実際には何も映さないその瞳に辛くなりラストでは別れてしまう結末を辿ります。登場シーンは短いですが、もしも花苗が告白をして貴樹と付き合っていたら同じようになっていたのではないか。と重ねられる人物です。

秒速5センチメートルのストーリーのあらすじをネタバレ紹介!

それでは三部構成になっている秒速5センチメートルのあらすじを、第一話「桜花抄」、第二話「コスモナウト」、第三話「秒速5センチメートル」からそれぞれの幕に沿ってネタバレを交えてご紹介していきます。鬱アニメと言われる秒速5センチメートルですが、深い名言や感情を動かされる行動が多数出てきます。鬱アニメという響きに躊躇している人も、是非実際にアニメを見て秒速5センチメートルの世界観を味わってみてください。

第一話「桜花抄(おうかしょう)」のあらすじ

親の転勤が多かったり、落ち着いた性格、また趣味が似通っている貴樹と明里。明里が小学4年生の時に東京世田谷の小学校に転校してきてからそんな二人は自然と共に過ごすことが多く仲良くなります。しかし明里が栃木に引っ越すことが決まり、小学校の卒業式以来会わずに一年を過ごした二人は、何度かの手紙のやり取りのみで繋がっていました。

そんなある日、自身も鹿児島に引っ越す予定になった貴樹は中学1年の冬、明里に会いに一人で栃木まで行くことを決心します。しかし大人にとってはなんでもない距離でも、まだ小学校を上がって1年も経たない貴樹にとってはとても遠い距離でした。自分と明里との距離を路線図に線を引いて路順を追います。

辿り着かない電車と大きくなっていく不安

冬の栃木は雪により、電車が遅延したり途中の駅で何時間も停車したりと想像していたように辿り着来ません。そのうえ一駅の距離がとても長く、見知らぬ土地の中でだんだんと周りの乗客の人数も減っていき貴樹は言い知れぬ不安に襲われていきました。

明里が駅のホームで待っているであろう約束の時間も過ぎて、貴樹の心に蔓延する不安は更に膨れていきます。そのうえ電車を乗り換えるために降り立った駅のホームで、明里に会った時に渡そうと書いた手紙を落としてしまいます。それは貴樹の手を離れるや風に乗って見えないところまで飛んで行ってしまいました。耐え続け不安を押し殺してきた少年の心はついに決壊し涙を見せます。

その後も電車は吹雪のなか2時間停車したりと、約束の時間を大幅に過ぎて目的の駅に入ります。時間も夜遅くになり、もう明里の姿は無いだろうと改札を抜ける貴樹の目に飛び込んできたのは、小さな待合室の椅子に一人座る明里の姿でした。待ちくたびれて眠ってしまったその姿を目にして涙ぐむ貴樹。声をかけるとすぐに目を覚まし、明里も色々な感情に涙が溢れ出すのでした。

気持ちを伝え離れていく貴樹と明里

電車も無くなり雪の降るなか、明里の家の方向に足を進める二人。途中に一本、花弁の散っている桜の木を見付けます。明里が手紙で書いていたその木の下に辿りつき二人で見上げると「ねぇ。まるで雪みたいじゃない?」昔一緒に帰った桜並木で明里が口にした言葉を再び問いかけてきます。「そうだね」と、懐かしそうに眼を細める貴樹。二人はどちらともなく唇を重ねるのでした。

気持ちを伝えあったことで、一緒に居られないことの辛さ、またこの先も一緒になることはできないのだと身に感じてしまった貴樹は、明里への気持ちが自然と溶けていきます。そしてその夜は近くにあった小屋で二人身を寄せて夜を明かし、動き始めた電車で貴樹は東京へと帰っていきます。別れ際に明里は自分とよく似た彼へ「貴樹君は、きっとこの先も大丈夫だと思う。絶対。」と言葉を送ります。

来る途中で亡くしてしまった手紙の事を言わなかったのは、キスをする前と今では世界の見え方が変わってしまったからだと思い起こす貴樹。そして彼の乗る電車の後ろ姿を見送る明里の手にも、同じく彼へ渡さずにいた手紙が握られていました。

第二話「コスモナウト」のあらすじ

鹿児島の種子島に引っ越した貴樹は高校生になり弓道部に入ります。その練習中度々姿を表す少女、花苗。彼女は種子島で知り合ったクラスメイトで、貴樹が中学二年生で転校してきたその日のうちから彼のことが気になり始めます。貴樹と同じ高校に入るために勉強を頑張り、見事同じ高校に入学できたのでした。

次第に仲良くなり、高校からの帰り道を一緒に帰る仲に。花苗の家まで付くと、愛犬のガブが尻尾をちぎれんばかりに振って出迎えます。それを嬉しそうに撫でてあげる花苗を見る貴樹の目は、どこか寂しそうな色が宿っていました。

不安を打ち明ける花苗

想いを直接告げられないでいる花苗は登下校で使う単車置き場で貴樹を待つのが日課になっています。その日も単車置き場前の物陰から貴樹が来るのを待っていましたが、姿を表さないため渋々一人で帰ることに。その帰り道、丘の下に彼の単車を見つけ、花苗は斜面を登っていきます。

誰かにケータイでメールを打つ貴樹。受け取り相手は誰だろうか。それを聞くことすらためらってしまう自分と彼とのその距離間に、胸を締め付けられる花苗でしたが、そんなことを感じさせないように振舞いつつ、隣へ腰掛けます。進路の話から始まりこれからの不安を彼に打ち明けると、完璧だと思っていた彼の口から「自分もそうだ」と思わぬ応えが返ってきました。

「迷ってばかりなんだ、自分ができることをやっているだけ。余裕がないんだ」そんなことを聞き、不安や焦燥感を感じているのは自分だけでは無かったことに気が付き安堵します。そして自分を今悩ませている卒業後の進路の提出用紙を紙飛行機に作り上げ、満天の星空へ放ちました。

その帰り道、道路に差し掛かったところで宇宙開発事業団のロケットを乗せた大型トラックが横切っていきます。「時速5キロなんだって。」不意に花苗の口から発せられた聞き覚えのある言葉に目を見張る貴樹。「南種子の打ち上げ場まで」と花苗は続けます。普段落ち着きをはらっている貴樹が取り乱すほどに、彼の気持ちは未だ明里に向いているのでした。

気持ちを伝えられない花苗

先日貴樹と話した丘で、なんでもできると思っていた彼にも不安なことがある。自分にできることをなんとかやっているだけ。ということを知り、この気持ちは自分だけじゃないんだと、心配事のつっかえが消えた花苗はスッキリとした顔で海に出ます。今まで漠然とした不安を抱えていた花苗は精神的なものから得意であるはずのサーフィン、波に乗れずスランプに陥っていましたが、その日を境に再び波の上に立てるようになりました。

その日の休み時間。クラスの子が告白をしたと女子の間で噂になり、今朝のサーフィンのことで自信を取り戻した花苗は、自身も今日貴樹に告白をすることを決めます。いつものように単車置き場で顔を合わせた二人は普段からよく立ち寄るコンビニで買い物をします。貴樹はいつものコーヒー牛乳。そして花苗はいつも自分が買っているヨーグルッペではなく、貴樹とおそろいのコーヒー牛乳を選びました。

単車の前に戻ってきた二人。花苗は勇気を出して告白しようと貴樹の服の裾を握ります。しかしあと一歩勇気が足りず言えだせないでいます。そして普段通り帰ろうとしますが、花苗の単車が故障してしまい、2人で歩いて帰ることにしました。

貴樹の想いの先と少女の気持ち

いたる所から夏の声が聞こえてくる真っすぐな田舎道を歩いていると、花苗は涙が溢れてきます。貴樹に気持ちを伝えたい。優しい彼のことが好きだけど、その彼の優しさは自分に対してだけではなく、誰にでも向けられているものだという事に気づいている花苗。それを踏み越える勇気がない花苗は、いっそのこともう優しくしないでほしいと感情と共に涙がこぼれるでした。

ちょうどその時でした。二人を背に、空に向かってロケットが発射されます。その雄大さに言葉を失う二人。そしてその光景を目にした花苗は、貴樹とロケットがリンクします。貴樹が他の人と違って見える気がするのは、自分よりもっと先のもの、自分には見えない「何か」を見つめているからと思い至ります。それを理解したと同時に、自分は彼の視界に入っていないと確信してしまいました。

暗がりと星空が広がる中、二人は家へ向かい歩みを進めます。そして花苗は今日の出来事を布団の上で思い出しながら、貴樹への想いを巡らせます。もっと遠くの何かを見ている彼に手は届かないけれど、それでも自分はきっと彼の事をずっと好きでいるんだろうと、叶わぬ思いを胸にしまい瞼を閉じるのでした。

第三話「秒速5センチメートル」のあらすじ

時は過ぎ、大人になった貴樹は小学生の頃過ごした東京に戻っていました。自室の窓から降ってくる桜の花弁に目をやり、外に出かけます。小学生の時明里とよく一緒に帰った路。踏切に差し掛かると、向かいから女性が歩いてきます。その姿はどことなく明里に似ているようでした。

大人になった貴樹はどことなくいつも憂鬱そうな表情。恋人の理沙からの電話の着信にも出ず、ケータイをそのまま閉じます。場面は変わって、明里は栃木の実家に里帰りをしていました。その左の薬指には指輪。結婚を間近に控えた彼女は、思い出の品を整理しているときに見つけたあの日の手紙を見て、貴樹が中学生にとってとても遠い場所まで来てくれた日の事を思い出していました。

一方その頃。貴樹のケータイにメールの着信を知らせる音が鳴り響きます。それに気づきケータイを開き下にスクロールさせる貴樹。そこには理沙から別れの言葉が。「1000回もメールのやり取りをして、たぶん心は1センチくらいしか近づけませんでした。」と。漠然と何をしても満たされない心。それを埋めるため、忘れるためにがむしゃらに今まで前に進んできた貴樹でしたが、代わりに何かを失っている事に気づき始めていました。

桜並木を背に先の道を進んでいく

明里が桜の木の夢を見た日、貴樹もまたその懐かしい夢を見ていました。いつかまた一緒になって桜を見られる。そう思っていたあの頃の想いは叶わず、それぞれの時間を過ごし、大人になっていきました。コンビニに立ち寄った貴樹、駅のホームで電車を待つ明里。あの日と同じく雪が降る空を見上げますが、その隣にはお互いの姿はありません。

待合室で待ちぼうけをしたあの日のこと。手紙を送りあって届くのを楽しみにしていたこと。いつしか手紙が返ってこなくなったこと。またそれぞれ別の人と帰り道を歩いたこと。今までの思い出が蘇ってきます。いるはずのないところに彼女の姿を無意識に追ってしまう貴樹。

小学生の時、明里とよく一緒に帰った踏切に差し掛かると、向かいから女性が歩いてきます。どことなく明里に似ているその女性とすれ違い、お互い渡り切ったところで振り返ろうとします。二人の間を何秒か知れない時間をかけ、通り過ぎていく電車。その先に貴樹が見たのは桜の花弁が舞うだけの昔よく通っていた通学路でした。そして貴樹は柔らかい笑顔を桜並木に向け、自分の前に広がる道へと歩みを進めていくのでした。

秒速5センチメートルの結末をネタバレ!

あらすじネタバレその1.貴樹と明里は結ばれなかった!

何人もの女の子に想いを寄せられ、理沙という恋人もできた貴樹。しかしいつもどことなく憂鬱。大人になり、地元に戻った際に時同じくして帰省していた明里らしき女性と踏切ですれ違います。一瞬お互いの姿をぼんやりと目にしますが、二人の間を抜けた電車が行ってしまうと、そこに明里の姿はありませんでした。

もしその女性が明里であり、ここでお互いに気づき再会できていたら、結末はハッピーエンドで終わっていたかもしれません。しかし届きそうで届かない距離にいる二人はその距離を縮めることは結局最後まで叶いませんでした。誰にでも優く接する貴樹は付き合う女性に事欠きませんが、それでも大人になった貴樹はいつもどこか鬱屈とし、心には隙間が空いているのでした。

あらすじネタバレその2.明里を思っていたのに何故理沙と付き合ったの?

貴樹は大人になってもいつも頭の片隅には明里の存在がありました。また軟派な性格でもない彼が理沙と付き合ったのは何故でしょうか?それは、花苗が「彼は優しい。時々泣いてしまいそうになる」と言っていた通り貴樹がとても優しい性格だから。

小学生の時に明里がクラスメイトにからかわれていた際に、自分が茶化されるのを分かっていながら自分の事よりも相手を助ける選択をした貴樹。彼は自己犠牲ができる人間です。自分のしたことで相手が救われるなら。それを難なく行動に移せてしまう人です。そして家庭が転勤族ということで人に対しての執着というものも少なかった、ということもあるかもしれません。

どんなに親しくなった人でも、いつかは明里や花苗のように離れてしまう。その環境に身を置いてきた貴樹は「とりあえず」の人間関係を作ることにも抵抗がなかったように思えます。そんな彼だから、自分には気持ちがなくても相手の気持ちに応えた結果が理沙と付き合うという結果だったのではないでしょうか。きっとあの日花苗が告白をしていたら、そこにいたのは理沙と同じ境遇になった花苗だったのかもしれません。

あらすじネタバレその3.小説版の秒速5センチメートルの結末とはどう違う?

小説版の秒速5センチメートルは現在新海誠監督が自ら執筆されたものと、その原作を元に加納新太さんが書かれた二作品出版されています。今回はネタバレを交えつつ新海誠監督が出している「小説・秒速5センチメートル」と比べます。

映画秒速5センチメートルだけを見た人には、貴樹は大人になった今も明里を思い続けている純愛作品に映ります。ところが小説版を読むと感じ取り方が一変。貴樹は明里の事は既に自分の中で解決しており、映画では冷めきっていたように思えた理沙の事をちゃんと思っていることが分かります。

また理沙の前にも何人か付き合っており、しっかりと大学生活を謳歌している様子が書かれています。この二つの作品は結末こそ同じものですが、両方とも見た事のある人は、映画版は明里というヒロインのことをいつまでも心に留めている純粋な恋愛物語。小説版は遠野貴樹という人物の成長の物語というような全く別の印象を受けることでしょう。

秒速5センチメートルのタイトルの意味とは?

貴樹と明里の思い出の言葉「秒速5センチメートル」!

タイトルにもなっている「秒速5センチメートル」。これは、ヒロインの明里が小学生の時に貴樹と学校の帰り道、桜の咲き並ぶ並木道を二人歩いている時に何気なく言葉にした言葉です。桃色に染まった木からふわりと落ちる桜の花びら。「ねぇ、秒速5センチメールなんだって。桜の花の落ちるスピード、秒速5センチメートル。」と、桜吹雪に包まれながら口にします。

続けて「貴樹くん、来年も一緒に桜、見れるといいね。」と言う明里。親の転勤でいくつもの街を渡ってきた二人はまたいつ離れ離れになるか分からない環境です。その中で、桜の花弁のようにゆっくりといつまでも宙に舞っている桜のように、美しく楽しい夢のような時間が続けば良いのに。と言う気持ちが込められた一言が「秒速5センチメール」でした。

秒速5センチメートルという作品の中で、主人公貴樹が最も幸せだった瞬間。美しい桜吹雪をバックに、いつまでも彼の心に住む明里と一緒にいられたこの思い出のシーン。もともと大人びた貴樹が見せた、年齢相応の子供の姿を見せた場面です。

タイトルが秒速5センチメートルになった理由!

「秒速5センチメートル」とは、桜の花弁が地面に向かって落ちるスピード。実はこの「桜が落ちるスピードは秒速5センチメートル」は新海誠監督がお客さんとメールでやり取りしている時に聞いた話なのだそうです。

実際は桜の花弁が落ちるスピードはもう少し速いのですが、このスピードを表現した言葉を新海誠監督が気に入り、他にも「南種子の打ち上げ場まで時速5キロ」「1000回メールをやり取りして、心は1センチくらいしか近づけなかった」と数字を軸に物語を描く事になりました。

秒速5センチメートルを日常生活の中で考えると、とてもゆっくりなスピードです。例えるなら亀の歩く早さくらいでしょうか?それくらいゆっくりと、よく見なければ気づかないくらいの速さ。貴樹と明里のゆっくりと、しかし確実に移り変わっていった二人の気持ちを表しているのではないでしょうか。

秒速5センチメートルを見た人の感想を紹介!

鬱アニメの醍醐味!切ないストーリー

貴樹が栃木まで明里に会いに来るシーン。約束の時間を大幅に過ぎて到着した貴樹は、もう明里は帰ってしまっただろうと思いながら改札を出ると、そこには待合室で眠っている彼女の姿がありました。

もしかしたら来るのを辞めたのかも。事故に巻き込まれていないか?そんな不安から解放され涙を流す明里。そんな慎ましい幸せを見せてくれた二人ですが、物語の結末では結ばれずに終わり鑑賞後には何とも言えない切なさが残ると評判です。

貴樹は大人になってからも人ごみの中や、何気ない風景に明里の姿を見付けようとしますが、明里はラストで貴樹とは別の人と幸せな結婚をするという結末を迎えます。「男は新規保存、女は上書き保存」という言葉がありますが、それに近い形になった物語の結末に世の常の世知辛さを感じた人も多かったようです。

物語の中で花苗が貴樹との下校中によく商店で買っていたヨーグルッペ。最近では街なかで実際に見かけることもくなりました。秒速5センチメートル作品中に登場するという事に加え、時代の流れを感じ色々な意味でノスタルジーを感じられる作品となっています。

作品の美しい映像や音楽に感動!

春を感じさせる一面桃色の景色に桜が舞い散るシーンや、種子島の人工的な光がない中だからこそ見ることができる散りばめられた星空。そんな何気ない自然や日常の風景を細かく、そして見ている人に共感できるように描写されています。目に見えるものもそうですが、上手く間を使った感情の描写など「感じる」ことを詰め込んだ物語を作るのが得意な新海誠監督らしい美しい作品となっていると話題になっています。

秒速5センチメートルを盛り上げる主題歌「One more time, One more chance」は山崎まさよしさんの名曲。歌詞はまさに貴樹と明里の切ないストーリーの通りとなっています。それもそのはず、秒速5センチメートルはOne more time, One more chanceの曲を元に作られたそうです。もともとこの曲を知っている人には見る前から物語がネタバレしていましたが、動く映像になると更に感動が増したのではないでしょうか。

秒速5センチメートルの心に残る名言集!

本をたくさん読んでいるだけあり、貴樹の心情のセリフには小学生や中学生らしかぬ洗練された言い回しが多々あります。それがこの秒速5センチメートルという物語を形作る要素の一つでもあります。秒速5センチメートルは実際にある土地の物語なので、立ち寄った際には登場人物の言葉をイメージしながら歩いてみると世界観を更に楽しめることでしょう。

こちらは駅の待合室で出会えた貴樹と明里が、彼女の持ってきたお弁当を食べるシーン。長い時間閉じ込められ、いつ到着するか分からない電車から解放されたこと、そして想いを寄せる明里が作ってくれたことが嬉しいという気持ちが溢れています。日常の会話の中にも優しさが詰まっている秒速5センチメートル。何気ない一言にも名言が多く隠れています。 

秒速5センチメートルのふたつの小説版も要チェック!

「小説版の秒速5センチメートルの結末とはどう違う?」で触れたように、小説版には新海誠監督が自ら執筆しているKADOKAWAメディアファクトリー出版の「小説・秒速5センチメートル」と、加納新太さん著作のエンターブレインから出ている「秒速5センチメートルone more side」があります。映画は鬱アニメと言われていましたが、小説版はどうでしょうか?それでは、この二作品のあらすじをご紹介していきます。

秒速5センチメートルを更に詳しく!「小説・秒速5センチメートル」

新海誠監督の原作映画をそのままに、大学時代を描いたりと更に詳しく書いたものが「小説・秒速5センチメートル」です。この作品はストーリーの流れはそのままに、要所要所で映画では明かされなかった登場人物たちの行動を描いています。映画の結末では貴樹は一人きりになってしまい、切ない鬱アニメと評価されています。しかし、これを見れば登場人物たちの行動の意味が伝わって作品の見方が変わるかもしれません!

貴樹と明里の心の動きを描いた作品!「秒速5センチメートルone more side」

映画作中での貴樹と明里それぞれの心情を掘り下げた作品となっています。著者は加納新太さん。ライトノベルや漫画、ドラマCDの脚本家として活躍しており、秒速5センチメートル以外にも、新海誠監督の作品をいくつも小説化しています。秒速5センチメートルone more sideでは明里の小学生時代の話も補完され、これを読めば栃木から帰る貴樹に「この先も大丈夫」と言った意味などが詳しく分かるようになっています。

秒速5センチメートルのあらすじネタバレまとめ!

今回は鬱アニメと言われることも多い作品「秒速5センチメートル」のあらすじや結末をネタバレを交えながらご紹介してきました。映画では長年想っていた明里が他の人と結ばれ、貴樹が一人きりになってしまう悲しい終わり方だと話題になっていますが、そこはぜひ小説版秒速5センチメートルを読み真実を追求してみてください。鬱アニメという括りで終わらずに更に奥深い作品になるはずです。

また映画も、登場人物たちの心情を上手く捉えた美しい映像。どこか共感できる何気ない言葉。懐かしさを感じるストーリーなど見どころが満載です。鬱アニメと言われるちょっぴり切ない物語だと評判の秒速5センチメートル。泣きたい映画を見たい時や、昔を懐かしんで思い出にふけりたい時などに鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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