崖の上のポニョの都市伝説とは?死神や死後の世界が舞台という噂を考察

ポニョの名前を繰り返すエンディングテーマが有名な映画「崖の上のポニョ」。知らず知らず口ずさみたくなる、どこかノスタルジックで和む曲調は作品のイメージにピッタリです。しかし、「崖の上のポニョ」には巧妙に隠された裏設定やゾッとするような都市伝説があると噂されているのをご存知でしょうか?あの可愛らしいポニョや宗介たちに隠された秘密とは、都市伝説とは一体どのようなものなのか?キャラクターやストーリーを振り返りながら、詳しく見ていきます。

崖の上のポニョの都市伝説とは?死神や死後の世界が舞台という噂を考察のイメージ

目次

  1. 崖の上のポニョの都市伝説とは?死神や死後の世界が舞台って噂は本当?
  2. 崖の上のポニョとは?
  3. 崖の上のポニョのリサにまつわる都市伝説
  4. 崖の上のポニョは死神という都市伝説
  5. 崖の上のポニョの世界は死後の世界という都市伝説
  6. 崖の上のポニョの都市伝説に街が津波で沈んだ説がある?
  7. 崖の上のポニョの都市伝説まとめ

崖の上のポニョの都市伝説とは?死神や死後の世界が舞台って噂は本当?

「崖の上のポニョ」は宮崎駿監督が広島県福山市の鞆の浦(とものうら)の風景にインスピレーションを受けたものと言われています。すべて手書きにこだわった作画方法となっていて、素朴でありながら躍動感にあふれた映像が魅力です。5歳の少年、宗介とさかなの子であるポニョの、微笑ましくもどこか不思議なおとぎ話として楽しむ方が多いでしょう。なぜいくつもの都市伝説が出来たのか、不思議に思う方もいらっしゃるでしょう。

「崖の上のポニョ」という作品は、ストーリー展開についての前提や詳しい説明が殆どない状態で、どんどん先へ進んでいきます。その為、作品の中で起きた数々の謎が解き明かされないままエンディングを迎えます。

その謎の部分があまりにも多いので、映画を見慣れた視聴者たちはいろいろな考察をし、様々な都市伝説が生まれてきたのです。ポニョは死神なのではないか?実はこの作品は死後の世界の物語である、などの都市伝説はネット上でもよく目にします。いったいどのような都市伝説があるのでしょうか?主な都市伝説をひとつひとつご紹介し、検証していきます。

崖の上のポニョとは?

テレビやDVD、ブルーレイなどで何度もご覧になっている方も多いでしょう。ですが今回「死神」「死後の世界」など恐ろしげな都市伝説を検証する前に、「崖の上のポニョ」がどういう物語であったか、またポニョを始め登場するキャラクターについて振り返ってみることにします。

「崖の上のポニョ」登場人物

では、改めて登場人物を紹介します。都市伝説を理解するヒントが隠されているかも知れません。

ポニョ…主人公。グランマンマーレと、元人間で魔法使いの父フジモトの間に生まれた魚の子。ポニョという名前は宗介がつけたものであり、本当の名はブリュンヒルデ。強い魔力を持つ。ポニョを助ける際にガラスで怪我をした宗介の血を舐めたことで、魚から半魚人になる力を得ました。その後珊瑚の塔にある井戸から生命の水を浴び、人間に変身します。人間界の好物はハム。

宗介…主人公。ひまわり園に通う5歳児。耕一とリサの子。父が不在がちの為、この年齢にしてはしっかりしている印象です。崖の上にある一軒家に住んでおり、海で遊ぶのが日常。モールス信号や古代魚のついての知識があります。宗介という名は、前作「ハウルの動く城」制作後に宮崎駿監督が読んでいた、夏目漱石の小説「門」の主人公である野中宗助から命名されたそうです。野中宗助は作中で、崖の下にある家に住んでいます。

リサと耕一…宗介の両親。リサ25歳、耕一31歳。リサはデイケアサービスセンター「ひまわりの家」の職員。車の運転は荒く力持ち。突然現れた身元不明のポニョを保護し受け入れるなど、懐が深く動じない一面があります。耕一は内航貨物船、小金井丸の船長。ポニョが起こした嵐によって難破しかけますが、グランマンマーレによって救われ九死に一生を得ます。モールス信号で妻リサに「あいしてる」と送る愛妻家。

フジモト…ポニョの父で、グランマンマーレの夫。元は人間でしたが、今は海底に住む魔法使い。魔法で水魚と呼ばれる魔物を操ります。珊瑚の塔の内部にある井戸に「生命の水」を貯めて、地球をカンブリア紀のような水の時代の状態に戻すことを夢見ていました。地上に出るとお肌が乾燥するらしく、歩くたびに海洋深層水を地面に噴射している様子をリサに目撃され、不審者扱いされていました。

グランマンマーレ…「海なる母」。ポニョの母ですが、フジモトはたくさんいる夫の一人。宗介の父耕一には「観音様」と呼ばれていました。

崖の上のポニョのあらすじ

父フジモトの元を逃げ出し、海底から地上に出た魚の子ポニョ。宗介と出逢い、ポニョと宗介はお互い一緒にいたいと願いますが、フジモトが遣わした水魚によって強引に連れ戻されてしまいます。しかし既に人間の血(宗介)を舐めていたポニョは、半魚人に変身する力を持っていました。フジモトは強引にポニョを魚に戻しますが、ポニョは妹たちの助けを得て抜け出し、「生命の水」を浴びたことによって人間の女の子の姿に戻ります。

無事、宗介の家に戻ったポニョ。しかしフジモトによれば、ポニョの行動は「世界に大穴を開けた」らしいのです。台風や津波、更には人工衛星まで落ちてきてこのままでは世界が破滅してしまう、と慌てたフジモトは何とかポニョを連れ戻そうとします。そこでグランマンマーレは、ポニョが魔法を捨て、人間になれば良いと提案します。宗介がポニョを受け入れてくれれば世界は救われますが、失敗すればポニョは泡になってしまう……

古代カンブリア紀の生き物が泳いでいる海底で、リサと話し合うグランマンマーレ。リサは宗介を信じ、宗介は「強く揺るがない心」でポニョを受け入れます。ポニョと宗介がキスをすると、ポニョは人間の女の子になり、世界は救われたのでした。

崖の上のポニョのリサにまつわる都市伝説

「崖の上のポニョ」に関する都市伝説。宗介の母であり、たくましくクールな印象のリサにまつわる都市伝説があるのをご存じでしょうか?どのような都市伝説が存在するのか、そしてその都市伝説が生まれた背景や考察についてご紹介します。

なぜ宗介は母を呼び捨てで呼ぶ?名前に関する都市伝説

宗介は母を「リサ」と呼び捨てにしています。5歳児が実の母親を呼び捨て、ということに違和感を覚えた方も多いのではないでしょうか。子供の教育上宜しくない、と思われるお父さまお母さま方もいらっしゃるかもしれません。作中では、リサが名前の件で宗介をたしなめたり怒ったりするシーンはありません。父耕一のことも呼び捨てにしていることも考え合わせると、これはリサ、耕一夫婦の教育方針なのではないかと推測できます。

鈴木プロデューサーによれば、たとえ5歳児であっても一個の人格として認めているから呼び捨てなのではということです。アメリカやヨーロッパでは、幼い頃から子が親を名前で呼ぶのかと言うと実はそうでもないようですが……ある程度の年齢までは「お母さん」「お父さん」に相当する呼び名で呼ばせるのが一般的のようです。ちなみに「崖の上のポニョ」英語吹替版では、宗介は母を「リサ」ではなく「Mom」などと呼んでいます。

ジブリ作品では名前が重要な意味を持っていることがよくありますが、これは洋の東西を問わず散見されます。古代中国では姓、諱(いみな)、字(あざな)の3つが一人の人物につけられました。諱は日本では忌み名、英語ではtrue name(真実の名前)という意味を持ちます。諱は軽々しく呼ぶべきではなく字を呼ぶのが礼儀だそうです。リサが名前で呼ばせるのは名前自体に力があると考えているからでは?という都市伝説もあります。

3にまつわる都市伝説

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リサに関わる、3という数字に着目した都市伝説をご紹介します。リサ・カーのナンバープレートをご存知でしょうか?

ナンバープレートは333です。この数字はスピリチュアルの世界で特別な意味があるそうです。ここに都市伝説が生まれる背景があります。333はエルジェルナンバーと呼ばれ、観音やブッダなどの昇天した聖人、アセンデッドマスターが近くにいて助けを求めるのを待っているそうです。また日本でも、陰陽道の影響で3は縁起の良い数字になっています。ここから、リサには守護聖人がついている?という都市伝説が生まれたようです。

リサはすでに死んでいる?という都市伝説

リサが既に死んでいるという都市伝説も噂されています。諸説ありますが、始めから死んでいるのではなく途中で死んでしまったのでは?という都市伝説を見ていきます。崖の上のポニョでは、ポニョが「生命の水」を海に溢れさせた為地上に嵐が吹き荒れます。街はほぼ海に覆われ、様子を見に行ったリサも帰ってきません。ポニョと宗介はリサを探しに行きますがリサ・カーにリサの姿はなく、宗介が大声で呼んでもリサは現れません。

荷物だけ残されたリサ・カーを見た宗介は、大声でリサの名前を呼び、もう生きているリサには会えないかのように号泣します。このシーンの悲痛な様子が「もうリサは死んでしまったのではないか」という都市伝説を生んだのかも知れません。リサはヨシエやカヨたちと共に、海底にあるクラゲの形をしたドームの中にいます。しかしこのドームので中はとても奇妙なことが起きているのです。

車椅子に乗っていたご婦人たちが、自由に駆け回っているのです。生命の水の力なのかも知れませんが、彼女たちの無邪気なはしゃぎようが浮世離れしているようにも見えます。そこでこのくらげドームは死後の世界ではないか?中にいる人(リサも含む)は既に死んでいるのではないか?という考察や都市伝説が生まれたのも不思議ではありません。

「リサさんもつらいでしょうね」というご婦人の言葉。リサが亡くなっているという都市伝説を信じると、成功しても息子の行く末を見守ることしかできないから「つらい」?でも計画が失敗すれば世界は破滅してしまい、宗介も死んでしまう。一緒にいられることは嬉しい反面、我が子の死を望む親はいないでしょう。このような考察から、これは死後の世界であり、リサは既に死んでいるのでは?という都市伝説ができたのかも知れません。

崖の上のポニョは死神という都市伝説

あの天真爛漫(てんしんらんまん)で可愛らしいポニョが、本当は恐ろしい死神であるという都市伝説があります。驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ポニョ=死神という都市伝説はネット上でも盛んに取沙汰(とりざた)されているのです。

ポニョの本当の名前はブリュンヒルデ

ポニョは死神という都市伝説が生まれた理由の一つはポニョの本名にあります。ポニョという名前は宗介がつけたもので、本名はブリュンヒルデ。北欧神話に出てくる人物の名前です。宮崎監督が「崖の上のポニョ」の構想を練っていた頃、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」の「ワルキューレ」をよく聴いていたそうです。ブリュンヒルデは「ワルキューレ」に登場します。宮崎監督が聴いていた音楽から都市伝説が生まれたのです。

ブリュンヒルデとは?

ブリュンヒルデという名前が本名だからというだけでポニョ=死神という都市伝説が生まれたのでしょうか?「ニーベルングの指輪」のブリュンヒルデは、北欧神話の主神ヴォータンと知の女神エルダの間に生まれた娘です。9人姉妹の長女であり、「ワルキューレ」と呼ばれる戦乙女(いくさおとめ)なのです。天馬に乗って戦場を駆け巡り、勇敢に戦って死んだ英雄の魂を天上の宮殿ヴァルハラへと導く役割を持っています。

ワルキューレは死者の魂を取り扱うことから「死神」と呼べないこともありません。ポニョ=ブリュンヒルデ=死神であるという考察、都市伝説はここから来ているのでしょう。名前だけではありません。ポニョが宗介の所へ戻るシーンはこの映画の見所のひとつですが、エンディングテーマをベースにしつつ、「ニーベルングの指輪」第二部第三幕の前奏曲「ワルキューレの騎行」風のアレンジを加えたBGMが使用されています。

その様子はまるで、死神ポニョが宗介の魂を奪いにやってきたようだと感じる方もいらっしゃるでしょう。ポニョと宗介が、幼いながらも一途な愛情を持っているのは間違いありません。しかしブリュンヒルデという名前、そしてワルキューレの騎行を思わせるBGMとくれば、ポニョ=死神である、と考察した都市伝説が真実味を帯びてくるのです。

崖の上のポニョの世界は死後の世界という都市伝説

おとぎ話のような「崖の上のポニョ」が、実は死後の世界であるという都市伝説について見ていきましょう。

死後の世界を思わせるセリフ

「崖の上のポニョ」では、何気ないシーンで死や死後の世界を思わせるセリフが多く存在します。死後の世界であるという都市伝説も納得いただけるセリフをいくつかご紹介します。まずは嵐が一段落し、ひまわりの家に向かうリサが宗介に向かって言うセリフ。「今は不思議なことがいっぱい起こってるけど、きっと後でわかるから」

冷静に、淡々と行動しているように見えるリサですが、回りで起きる出来事が異常で不思議だと感じていることがわかります。大人が子供に難しい言葉や概念を説明する時、その子の理解度に合わせて易しい言葉を選びますが、リサのこのセリフも同じではないでしょうか。「不思議なこと」が起きるのは死後の世界だからではないか?と考察し、崖の上のポニョが死後の世界を描いているという都市伝説に至るのも自然と言えるでしょう。

死後の世界を描いているという都市伝説を裏付けるセリフその2は「あの世の入り口が開いたんだ」です。耕一が船長を務める小金井丸も嵐に巻き込まれます。船の墓場に着いたんだと恐怖する船員の一人が言ったのが「あの世の入り口が開いたんだ」でした。墓場、あの世という単語は死後の世界に結びつき、この都市伝説に行き着きます。

グランマンマーレが通過した時、耕一は「観音様だ」と言っています。観音様は慈悲深く人々を苦しみから救済する菩薩(ぼさつ)です。耕一たちは助かったと喜びます。しかしそれは死から救われたのか、死後の世界に移行し死の苦しみから救われたのか?都市伝説のように小金井丸の乗船者たちは既に死んでしまっているのかも知れないのです。生の世界と死後の世界がはっきりしないのも、たくさんの都市伝説が生まれる原因でしょう。

「崖の上のポニョ」は死後の世界であるという都市伝説の証拠その3は嵐の後、クラゲの形をしたドームの中でご婦人方が言ったセリフです。「あの世もいいわねえ」「え?あの世なの?」

ズバリ、自分たちはもう死後の世界にいると言っています。このクラゲドームにはフジモトの誘いでやってきたようですが、都市伝説が正しいならば嵐によって死んでしまったのだともとれます。彼女たちのあまりにもあっけらかんとした様子は、「不自由な体=生」から解き放たれ極楽か天国にいるようです。

天地開闢(かいびゃく)について古事記にこういう一文があります。海の上を脂のようなものが「久羅下如ス漂ヘル国」(クラゲナスタダヨヘルクニ、くらげのように漂っていた国)。クラゲドームは死者の魂が生まれ変わる場所のように感じられませんか?ポニョの世界が死後の世界であるという都市伝説はこの辺りも関係しているのでしょうか。崖の上のポニョは死後の世界という都市伝説は実はそう悪いものでもないのかも知れません。

ポニョが魚に戻ってしまったトンネル

崖の上のポニョは死後の世界であるという都市伝説を生み出した要因の一つに不思議なトンネルの存在があります。いなくなったリサを探して、宗介とポニョはとあるトンネルに入ります。ポニョがこのトンネルが嫌いだと言うと、宗介は手を離してはダメだと言い二人はしっかりと手を繋ぎ歩いていくのです。

ポニョは次第に人間から半魚人へと変化し、眠り込んでしまいます。宗介がポニョを抱っこしてトンネルを抜け海水に浸すと、ポニョは元の魚になるのです。トンネルはいろいろなメタファー(たとえ)として用いられてきました。入口と出口があり、長く暗い道が続くトンネルや洞窟は、生と死の境い目であり「あの世」と「この世」を繋ぐものなのです。「千と千尋の神隠し」でもトンネルについての様々な都市伝説が生まれています。

ギリシャ神話に出てくるオルフェウスは、妻エウリュディケを生き返らせるため冥府(めいふ)へ赴きますが、冥府への入り口も暗い洞窟でした。崖の上のポニョでもトンネルが「生の世界」と「死後の世界」を結んでいるのでしょうか?宗介が慌ててポニョを海水に浸けたのは、ポニョが死んでしまう!と感じたからではないでしょうか。そう考えると、死後の世界を描いているという都市伝説は、そう違和感を覚えないものだと言えます。

エンディングテーマから生まれた都市伝説

子供たちもよく知る有名なテーマ曲「崖の上のポニョ」が都市伝説と関係あるのではないかと言われています。どうして都市伝説と結び付けられているでしょうか。この曲を作った久石氏によればこの曲を作るにあたり、死後の世界や輪廻などの哲学的なテーマを持ちながらも、子供が見れば冒険の物語としておかしくないような二重構造にすることを意識したそうです。

テーマ曲が死後の世界に関係していると聞けば、ポニョの世界が死後の世界という都市伝説が出てくるのは当然と言えます。作曲家の言葉から生まれた都市伝説なのです。世界各地の童謡にもオカルト的な闇を含んでいると思われるものがあります。童謡にまつわる都市伝説もネット上に多く上がっています。都市伝説繋がりで、というわけではありませんが、童謡の裏にどのような都市伝説が潜んでいるのか調べてみても良いかも知れません。

崖の上のポニョの都市伝説に街が津波で沈んだ説がある?

「崖の上のポニョ」の都市伝説には、津波が起きた時点で街が全て海に沈んだのではないかというものがあります。つまり津波以降は死後の世界を描いた物語であり、登場する人間たちは全員死んでいると言うのです。どうしてそのような考察が生まれ、都市伝説が出来たのでしょうか?

水の中で呼吸する人間たち

クラゲドームは海底にあり、人間は水中で呼吸することができません。しかしリサたちはまるで地上にいるかのように話したり走ったりしているのです。これは街全体が津波によって壊滅しており、死後の世界となっているからではないか?という考察が生まれたのです。この考察が本当ならば、リサがグランマンマーレと普通に会話しているのも腑に落ちますし、ポニョがという都市伝説も頷けます。

街の人々

水中で息をしている人々を見ると、街が津波に沈んだという都市伝説は信頼度が高いように見えます。ではその他の街の人々はどうでしょうか?

ポニョと宗介が出会った小舟に乗った親子を見てみます。赤ん坊を抱いた母親は「古風な女性」だというのがジブリの公式設定です。親子のたたずまいや船の様子が三途の川を渡る渡し船を思わせるという考察から、この親子はずっと昔に既に死亡しているのではないかという都市伝説があります。

夫婦のみが死亡し赤ちゃんはまだ生きているという都市伝説や、赤ちゃんが成仏できずにいるという都市伝説もありますが、要はこの場面も生と死の境い目だという都市伝説です。ポニョたちが別れようとすると、赤ちゃんは大きな声で泣き出します。この場面の解釈も様々あり、ポニョたちが進む先に死後の世界が待っているからではないか?という都市伝説、ポニョが死神として赤ちゃんの魂を成仏させた?という都市伝説があります。

この小舟と別れた後、ポニョたちは船に乗ったたくさんの人々ともすれ違いますが、もし津波で街が沈んだという都市伝説を信じるなら「先に行ってるぞ!」というセリフがとても不気味に聞こえます。「ひまわりの家」のご婦人方のシーンは楽しげでさえあったのですが、やはり生死を扱った都市伝説にはすくなからず恐怖心を煽るものがあります。

宗介とトキにまつわる都市伝説

トキは特異な存在です。海からやってきたポニョを見てほかの人間は金魚だと認識していますが、トキだけは「人面魚」だと言います。さらに人面魚は津波を引き起こす、と不吉な予言めいたセリフも。また、トキはクラゲドームにいかず独りで地上にいます。そしてフジモトにクラゲドームへ行こうと誘われている宗介に向かって「騙されるんじゃないよ!」と警告するのです。

グランマンマーレの3つの問いに答え終った宗介を抱きしめるのは、母親のリサではなくてトキだというのが最も理解に苦しむ点です。一連のトキの不思議な行動について、考察や都市伝説がついて回ります。トキには物事の真実を見抜く力があるという都市伝説が一番有名でしょうか。

宗介は世界を救いました。しかし世界をどう救ったのかについて考察の余地があるようなのです。(世界の綻びがどういうものなのか見る側には知らされていません)ポニョのラストは一見ハッピーエンドなのですが、ポニョの世界が死後の世界だとすると宗介が救ったのは「死者の魂たち」であるかも知れないのです。トキは街のみんなの魂を成仏させてくれた宗介に対して感謝したのではないか?という都市伝説があるのです。

崖の上のポニョの都市伝説まとめ

崖の上のポニョにまつわる都市伝説について見てきましたが、いかがでしたでしょうか?都市伝説なんて知らなくてもじゅうぶん満足できる作品ではありますが、都市伝説を知った上で見直してみるとまた違った作品として楽しめるのではないでしょうか。

宮崎監督がこの作品の構想を練る際、いわゆる「映画のお約束」を知らない観客でも楽しめるようなものを作りたいと思ったそうです。ですから映画を見慣れた観客たちはこの作品を見て戸惑い、理解できない部分を考察して数々の都市伝説を生み出したのだと言われています。

この作品は他のジブリ作品にもよく見られるように、生死に関わるテーマを扱っています。ただ、ポニョの場合は「向こうの世界」に行ってしまうお話であり、行きっぱなしだと思わせる点が他作品と違っているのです。良質の物語とは、受け取る側に「想像する余地」を残した物語であると言います。そういう意味で「崖の上のポニョ」は想像する余地が多く残された、優れた作品であると言えるでしょう。

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