劇場版マジンガーZインフィニティのあらすじ・ネタバレ！感想やラストの結末は？

2018年1月に劇場公開された「マジンガーZインフィニティ」は永井豪原作でロボットアニメの金字塔と言われている1972年作品「マジンガーZ」と1974年作品「グレートマジンガー」の10年後の世界を描いた正統的続編といえます。マジンガーシリーズを全く観たことがない人でも楽しめるストーリーではありますが、やはり元の作品のストーリーを知っておくことで2倍、3倍と楽しめることができます。ぜひチェックしてください。

世界征服を企む科学者Dr.ヘルは自らの科学力で機械獣と呼ばれるロボット軍団を作り日本を襲います。日本の天才科学者兜十蔵博士はその野望を阻止すべくマジンガーZを作り上げ、孫である兜甲児に託します。Dr.ヘルに祖父を殺された甲児はマジンガーZで機械獣軍団に果敢に挑み、後ろ盾である光子力研究所等の協力を経て遂にDr.ヘルの機械獣軍団を全滅に追い込みます。

マジンガーZにはそれまでのアニメにはなかった様々な魅力があると言われています。巨大ロボットに人間が直接乗り込んで操縦する設定、玩具ブランド名にもなった「超合金」をはじめとする科学的用語の多さ、主人公兜甲児の当時では考えられなかった不良性、ジェットスクランダーの追加などストーリー内でのイベント性など枚挙に暇がありません。

実験中の事故で瀕死の重症を負った兜甲児の父兜剣造博士はサイボーグとして甦りました。剣造博士は秘密裏に科学要塞研究所内でグレートマジンガーを作り上げ、孤児の剣鉄也をパイロットとして養成しました。鉄也はマジンガーZのラストで甲児を救い、新たな敵ミケーネ帝国との闘いに臨み、様々な事を乗り越えながらこれに勝利するのです。

グレートマジンガーの最大の魅力は「マジンガーZよりもさらに強いマジンガーがいる」ところだと言われています。サンダーブレークという必殺技や、マジンガーブレードなどの武器の多さ、さらにはスクランブルダッシュで最初から空を飛べるというマジンガーZにはない能力が満載で観る者の心を掴みました。これにより「マジンガーシリーズ」と呼ばれる連綿と続くサーガの礎となったのです。

母星をベガ星連合軍に追われた王子デューク・フリードは地球に逃げ延び宇門大介と名を変えていました。ベガ星連合軍が地球侵略にやって来たことを知ったデュークは兜甲児と力を合わせこれを迎え撃ち、激闘に次ぐ激闘の末にこれを打ち破ることに成功したのでした。

UFOロボ グレンダイザーの設定は今回の「マジンガーZインフィニティ」に組み込まれていません。しかしマジンガーシリーズのラストを飾った名作と言われているので重要作であることは確かです。この作品は多くのやおいを生み出したことで知られています。それはデュークと甲児の関係性です。また、デュークの妹マリアは萌えとツンデレの元祖であると評価されて高い人気を得ています。

Dr.ヘルを倒した兜甲児は平和の訪れと同時にマジンガーZのパイロットを離れて祖父十蔵、父剣造と同じく科学者としての道を歩んでいます。ガールフレンドの弓さやかは新光子力研究所の所長です。剣鉄也はパイロットで炎ジュンと結ばれ、彼女は鉄也の子を宿しています。甲児の弟シローもパイロットです。甲児の旧友ボスは子分のムチャ、ヌケとラーメン屋を営んでいます。さやかの父弓弦之助は日本国首相となりました。

マジンガーZインフィニティはグレートマジンガーの10年後が舞台となっています。当たり前のことですが登場人物たちも10歳年を取っているわけです。その年の取らせ方が絶妙だと言われています。特に鉄也とジュンが結ばれていて、甲児とさやかが現状維持であるところが物語の伏線となっていて、そこが絶妙であるとの評価を得ています。

アメリカの光子力研究所が大量の機械獣に襲撃されました。これを迎え撃ったのは剣鉄也が乗るグレートマジンガーでした。サンダーブレークやマジンガーブレードの必殺技を駆使し必死に応戦しますが多勢に無勢、そして兜甲児の元に鉄也がグレートマジンガーごと失踪したという知らせが届いてしまうのです。

剣鉄也はいうまでもなくグレートマジンガーの主人公です。兜甲児を凌ぐ「戦闘のプロ」と呼ばれていましたがマジンガーZインフィニティの主人公は兜甲児ですから鉄也が前面に出る構成は好ましくないと言われています。それ故の序盤での失踪だろうと言われていますが、後に大きな伏線となってくるのです。

富士山麓にある光子力発電所の地下で謎の巨大な遺跡が発見されました。駆けつけた甲児が調査を進めていると遺跡から女性型のアンドロイドが出現しました。甲児は彼女にリサと名を付け、巨大遺跡にマジンガーインフィニティと名付けました。そこに鉄也失踪の一報が届き、死んだはずのDr.ヘルが犯人であることがわかりました。

巨大遺跡インフィニティは作品中最大の謎です。「マジンガーシリーズ」はSF色が強く、それを裏付けるべく兜甲児対Dr.ヘルの闘いの構図はどちらの科学力が上かを競い合っているものでしたが、インフィニティは機械であることは確かなのですがそれとは真逆の神秘的な存在として描かれており作品に幅を与えるのに成功したと言われています。

甲児とさやかはインフィニティとDr.ヘルの復活について調査を始めました。彼らが導き出した答えは巨大な光子力に原因があり、さらに時空が歪んだことでワープ現象が起きたのではないかというものでした。2人はリサについても調べ始めました。彼女がインフィニティの謎を解く存在であることは確かだからです。しかし、何故死んだはずのDr.ヘルが蘇ったのかは不明のままでした。

マジンガーZの大きな魅力の1つに悪役の存在があります。大ボスのDr.ヘルもそうですが、半身男性半身女性のヴィジュアルも強烈なあしゅら男爵や自らの頭部を持ち歩くブロッケン伯爵など一度見たら忘れることのできないグロテスクさと、そこはかとない愛嬌とを併せ持った幹部連中は、マジンガーシリーズのファンでなくても目にしたことがあると有名です。「インフィニティ」でも彼らの魅力は健在です。

光子力発電所へ向けて大量の機械獣軍団が押し寄せてきました。同時にインフィニティにも活動反応が現れました。インフィニティの活動の正体をつきとめるべくマジンガーZに乗り込んだ甲児が見たものはインフィニティの頭部に刺さっているグレートマジンガーとコクピット内で拘束されている鉄也の姿でした。Dr.ヘルはグレートマジンガーをスイッチに利用してインフィニティを呼び起こすことに成功してしまったのです。

Dr.ヘルはインフィニティの力をわがものとしてしまいました。その力はゴラーゴンと呼ばれるもので宇宙を含めて全世界を作り変えることができるほど想像を絶する強大なものでした。Dr.ヘルはゴラーゴンを呼び覚ますために光子力発電所を襲い、そしてインフィニティを掌中に収めたのです。頼みの綱のマジンガーZも機械獣に溶かされてしまい、世界が再び脅威にさらされてしまいました。

Dr.ヘルがインフィニティを手に入れたことによりストーリーが一気に世界破滅へ向かって動き出します。グレートマジンガーはインフィニティの鍵となり、マジンガーZは溶かされてしまい人類に打つ手立てはなくなってしまいました。この辺りの描写が作品に陰影を与え、より深いものになっているという評価がされています。

インフィニティを奪われ、マジンガーZをも失ってしまった甲児は自分にはもうどうすることもできないと諦めの境地にいました。恋人さやかをほったらかしにして研究に没頭していた己を悔いていました。世界が終わってしまう間に少しでもさやかとの距離を縮めようと考えたりもしましたが、やはり彼の心の奥底にある正義を愛する魂は黙っていることができず、捨て身でラストバトルに挑む決意をします。

マジンガーZインフィニティで重要な役割を果たす脇役キャラに甲児の弟シローと旧友ボスがいます。シローはずっと兄を慕い続けマジンガーの量産機であるイチナナ式のパイロットとして重責を果たしますし、ボスはラーメン屋で甲児にアドバイスを与え復活の手がかりを掴ませます。さらには自らも久々にボスボロットに乗り込み、機械獣の足止めに成功します。ここからマジンガーZインフィニティはラストまで一気に突き進みます。

「マジンガーZインフィニティ」ストーリー中大きなテーマの1つが甲児とさやかの恋の行方と言われています。研究に没頭しさやかのことを大切にしなかった甲児はマジンガーを失った時にさやかの存在の大きさと大事さを改めて知ったのです。そして、彼はラストバトルに赴く前にさやかにこの闘いが終わったら婚約するという約束を交わしました。それは死地へ行かんとする甲児にとってさらには人類にとって大きな力となるのです。

甲児はボスらの協力を受け、3Dコピー技術で新たなマジンガーZを作り出し、リサとともに最終決戦に臨みます。死闘の末機械獣軍団を退けたマジンガーZはインフィニティの元へ辿り着きますが、Dr.ヘルによって敗北寸前に追い込まれてしまいます。そして、遂にヘルはゴラーゴンの力を呼び覚ますことに成功しました。甲児とリサは異次元の世界へと飛ばされてしまったのです。

「マジンガーZインフィニティ」のラストバトルですが実に見事な出来だと高い評価を得ています。3DCGで描かれたメカによる戦闘シーンはリアルさを湛え、スピード感はそれまでのスーパーロボットアニメにはない迫力をもたらすことに成功していると言われています。「息をもつかせぬ」とはまさにこの作品のラストバトルに集約されていると言われています。

マジンガーZインフィニティのラストバトルにおいてはこれまでのスーパーロボット作品には見られなかった様々な表現が成されていると言われています。

スピード感溢れるバトルシーンは「機動戦士ガンダム」をはじめとするリアルロボット作品を取り込んだとの評もあります。また、甲児とリサが異次元の世界へ飛ばされたシーンは「伝説巨神イデオン」や「新世紀エヴァンゲリオン」の影響も感じさせ、それらを取り込む懐の深さが大きな魅力だと評価されています。

異次元の世界で朦朧とする甲児の目の前には別の世界が繰り広げられていました。それは「可能性の世界」であり、甲児とさやかの娘がリサでリサが健やかに成長していくというドラマでした。甲児は「可能性の世界」の中で生きたいと思いました。すると世界のために闘っている甲児を見ていた世界中の人々の中にも「可能性の世界」が見えたのか人々の強い意志が表れ始めました。それは「世界を守りたい」という意志でした。

ラストバトルの勝敗を分けたのは世界中の人々の意志でした。それは大きな広がりを見せて観客を魅了したと言われています。そして、兄甲児を慕う弟シローが身を挺して鉄也とグレートマジンガーを救い出したシーンも兄弟愛と人類愛を同時に感じることができたと評価を得ています。「マジンガーZインフィニティ」全体に溢れる温かさの一因といえるでしょう。

甲児は現実の世界へと戻ってこれました。世界中の人々の意志を受け止めたリサは逐次それをエネルギーとしてマジンガーZに与えていきます。次から次へと送り込まれるエネルギーをリサは必死にマジンガーZへ送り続けます。すると奇跡が起きました。

エネルギーを得たマジンガーZは姿を変え続けインフィニティをも凌駕する「魔神」へと変貌を遂げたのです。魔神はエネルギーを最大放出して遂にDr.ヘルを倒すことに成功しました。世界に平和が戻ってきたのです。それは世界中の人々の意志によって戻ってきたのです。

「マジンガーZインフィニティ」はスーパーロボット作品の爽快感を保ちながらリアルロボット作品のスピード感を巧みに取り入れ、最終的には「人類愛が世界を救う」という答えを導き出した作品であるとの高評価が聞かれます。それでいて「マジンガーシリーズ」の続編としても成立しており世代を問わず楽しめる作品です。平成30年8月にはソフト化が予定されています。是非ご自身の目でこの作品を楽しんでみてください。