IT（イット）の映画リメイク・2017年版まとめ！あらすじやキャストを紹介

物語は1988年から1989年、アメリカのデリーという街で繰り広げられる。原作のTV番組では前編、後編で放映された。前編の子供の頃の回想シーンと、後篇の大人になってから再度集合するシーンとで分けられている。今作、2017年リメイク映画版「IT」は、その前編を映画化したものである。街に潜む恐怖と子供たちの思春期を描いた、ホラー青春ものと言える映画である。

「IT」に登場する不気味なピエロは、自ら「ペニー・ワイズ」と名乗った。しかし、姿は様々なものに変わっていく。相手の一番恐怖するものに変化するのだ。そして、恐怖を与えた後は、鋭い牙だらけの口を大きく開いて食べてしまう。27年周期ごとにデリーの街に現れ、その度に大きな事件を起こしてきた。時には相手に語りかけ、他人を使って騙し、弱った人間を操って相手の恐怖心を大きくしていくのだ。

「IT（ペニー・ワイズ）」は恐怖心を一番の武器にする。だから「IT」を相手にするには、相手を恐怖しないことが一番効果的なのだ。だが、「IT」は心を読んだように恐怖する物に姿を変えてしまう。どうやって恐怖を克服するのか、それは「恐怖」を受ける本人にかかっているのだ。一説によれば「一億年も前からその土地に存在する、説明できない何か」だという。一体何者かわからないものが、一番怖いということなのだ。

1990年に映像化された「IT」は先ほども紹介した通り前半と後半に分れていた。前半の子供時代、「IT」とともに語られる回想シーンの方が、怖いという評価が多い。後半は大人になったデリーの子供たちが、「IT」の退治に出かけるのだが、最後に「IT」はペニー・ワイズの姿から、ある別のものに姿を変える。

しかし「IT」の中ではあの赤い乱れた髪に化粧をして、赤い風船を片手に笑いかけるピエロの存在がトラウマになってしまうほど怖い！と言われていた。なんとTV番組が原因で「ピエロ恐怖症」になる子供が出るほどの影響力があったのだから、相当なものである。その印象が強かったためか、後半「IT」が別の恐怖を持つものに変化したところ、ピエロと同様の衝撃までには至らなかったのだ。

しかしながら、スティーブン・キングの小説の中でも屈指の物語性を持つ「IT」は、もちろん一見の価値がある。全体を通して見て見たい人は、過去の番組をレンタルするか、もしくは小説にトライしてみるのも良いだろう。

ここでは2017年リメイク映画版「IT」のあらすじをネタバレを含めて紹介していく。新しくリメイクされた「IT」は大まかなストーリーはそのままに、少し改変も加えている。例えば1990年代で放映されていた「IT」は30年周期で現れる設定だったが、劇中に出てくる「IT」は27年の設定である。これは1989年に27年を足すと、2016年、とても最近の話になる。これは次回作を見越しての改変である。

細かな変更点や、新たに恐怖させる演出が増えたり、子供たちの背景も微妙に変わっていたりするので、原作を知っている人は比べてみるのも面白い。初見の人はネタバレにもなるので、気をつけて読んでいただきたい。

1988年10月、デリーという街での出来事である。ある大雨の日、吃音もちのビリーは大切な弟のために紙製の船を作った。弟のジョージーに地下室からワックスをとって来させ、仕上げて彼に手渡した。船には「ジョージー号」という名前が書いてある。手渡す際に、「船は女性名詞なんだ。」とビリーはジョージーに教えたのだった。だが、ジョージーは地下室に降りた時、すでに何かの気配を感じていたのだった。

早速ジョージーは手製の船を走らせるべく、黄色い雨合羽を着て雨の降る道路へと繰り出していった。しかし、大雨の中船に追いつけなくなったジョージーは、側溝の中にビルの船を落としてしまう。覗き込んだジョージーに側溝の中からピエロが話しかけたのだった。「やあ、ジョージー。」と声をかけたピエロは、真っ赤で乱れた髪に、鼻を赤く塗り、真っ白く化粧を施した顔と異様に大きな頭をしていた。

妙な声で軽快に喋るピエロは「俺はペニー・ワイズ。踊るピエロだ。」と彼に告げた。側溝のピエロは自己紹介したからもう他人じゃない、と急に笑ったり黙ったりしながら、ビルの船を手渡そうとする。ジョージーは側溝の中に手を伸ばそうとするが、次の瞬間、ペニー・ワイズは牙だらけの口を顔半分まで広げ、彼の右腕に噛み付いた。

彼の右腕は食いちぎられてしまった。そのまま側溝に引き込まれたジョージーは、血の跡を残し、いなくなってしまった。近所の人間が側溝に頭を突っ込んでいるジョージーの姿、そして、引き込まれた後の血の跡だけを見ていた。

8ヶ月後の1989年6月、畜農家の息子、マイクは羊を屠殺できずに叱られていた。彼の両親はデリーに着てから火事で亡くなった。代わりに厳しい祖父が彼を育てているのだった。その頃学校では、ビリー、リッチー、エディ、スタンリーの仲良し4人は夏休み直前であった。同じ時間、転校生の女の子べバリーは同級の女子から悪質ないじめを受け、ビルたち4人もタチの悪い不良で警察官の息子、ヘンリー達に嫌がらせを受けるのだった。

同じ学校に転校して来た太っちょのベンは、友達がいなかった。いじめを切り抜けたべバリーは、ベンと少しの間心を通わせる。家に帰って来たビリーはジョージーの行方を密かに調べていることを父親に咎められる。「彼は死んだんだ。」と念押しされたが、彼はどうしても納得できないのであった。

農家の息子のマイクは肉屋に商品を届けにいく途中、裏口のドアの内側から火災の時の両親の悲鳴が聞こえ、勢いよく開いたドアの向こう、カーテンの裏で何かがうごめいたのを見たのだった。しかし、ヘンリー達不良が突然現れ、その「何か」は見えなくなったのだった。

スタンリーはユダヤ教徒の家に生まれたが、「トーラー」という聖典の朗読を覚えられず、父親に叱られてばかりいた。そんなスタンリーが恐ろしく思っているのは、聖典が仕舞われた部屋にかけてある、「顔の曲がった女」の絵であった。ある日スタンリーが壁から落ちた絵を元に戻そうとすると、なんと絵の女が消えていた。そして、物音の方を振り返ると、顔の曲がった女が牙だらけの口をむき出しにして笑ったのだった。

エディは母から過保護にされていた。テディベアのように彼は母から「エディベア」と呼ばれ、バイキン対策のためにいつも薬を持ち歩かされ、遊びにいく場所さえも母に告げなければならなかった。そんなエディとスタンリーを連れて、ビリーとリッチーはジョージーが流されたと思われる「荒れ地」に探索に向かうのだった。

その頃出かける友達もおらず図書館にこもっていたベンは、べバリーへの恋心を詩に込め、ハガキに書いていた。図書館の司書との会話でそれも途切れてしまったが、彼は「デリーの歴史」という本を読み始める。すると1908年にイースター祭で爆発事故があり、88人の子供が亡くなったという記事を見つける。

するとベンは背後から鳴るオルゴールの音に気づく。振り向くと赤い風船がゆっくりと横切った。他の人間には見えていないような風船の動きに導かれ、ベンは地下の資料室へと向かうのだった。すると今しがた見た記事のイースター祭のような、焼けて真っ黒になったイースターエッグが通路に落ちている。まさに彼がさっき調べた記事のようであった。

そして、爆発に巻き込まれたような、首のない焼けた少年が現れた。その背後からピエロ（IT）が微笑みながら追いかけてきたところで、彼は資料室から逃げ出したのだった。

しかし、図書室から出てきた彼を待っていたのは悪質ないじめをするヘンリーたちであった。彼らは羽交い締めにしたベンを殴り、ナイフでベンの腹に名前を刻もうと「H」の文字を切りつけてしまう。すんでのところで崖を降り逃れるベンであった。必死で逃げている最中、下水道に入るかどうかでもめているビリー達と出会い、怪我の治療をするため、彼らの連れられてなんとか薬局までいくのだった。

その頃、ヘンリーの取り巻きのパトリックが下水道を見つけ、彼らを探しに入り込むが、大勢のゾンビ達と「I ♡ DERRY」と書かれた風船ピエロ（IT）に襲われる。薬局にたどり着いたビリー達は、薬や包帯を小遣いが足りず買えずにいた。そこへ、べバリーが偶然やってくる。事情を聞いた彼女は、薬局の店員の気を引き、その間に彼らは薬を頂戴していくのだった。後からやってきた彼女と話をした時、ベンはビリーの恋心に気づいたのだった。

べバリーの家庭は父親と彼女だけである。薬局から帰ってきたべバリーに父親は「お前はまだ俺のものか？」と彼女の髪を触りながら高圧的に尋ねた。彼女は恐怖に泣きながら、長かった髪をバスルームで切り落としてしまうのだった。後日、崖から湖に飛び込もうとしているビリー達を見かけた彼女は下着姿になり、「意気地なし！」と、率先して飛び込んだのだ。彼らの距離は確実に縮まっていったのだった。

湖から上がった後、ベンは自分の調べていたデリーの街に関する資料を披露した。資料によるとデリーは他の街と比べ、殺人や行方不明者の数が6倍もの数字になると語った。そして、子供の事件はもっと多いのだと。一同はベンの調べた資料を読みに、彼の家に集まるのだった。その横でパトリックの行方不明写真が貼られている横の家がベンの家だ。ベンは何かを調べるのが好きなようで、デリーに関する様々な資料が部屋に貼られていた。

デリーを立ち上げた当初の91人は、なんとその冬に全員姿を消し、そのあとに残ったのは井戸小屋に残った血のついた服だけであった。その井戸は街にあるらしいのだが、どこにあるのかまでは資料になかったのだった。ドアの裏にベンの好きな「ニューキッズ・オン・ザ・ロック」のポスターを見つけたべバリーはベンに少し共感を持つのであった。

ベンの家からの帰り道、エディはニーボルト通りを通りかかる。そこには朽ちかけた屋敷があった。服薬の時間になり、薬を飲もうとしたエディに「何を探しているんだ？」とどこからか声がかかった。驚いた彼は薬を地面にばら撒いてしまうが、その一粒を拾い上げた男の顔が醜く崩れており、「俺にも効くのか？」と彼に話しかけたのだった。

顔の崩れた男に白昼堂々、人気のない屋敷の庭に追い込まれるエディ。振り向くとそこには赤い風船を持ったピエロ（IT）が立っていた。「どこへいくんだ？ここが家だろう。」と話しかける。「おいで、エディ。一緒に浮かぼう。」と言うと、急に笑い始めるピエロ（IT）に、エディは慌てて逃げ出すのであった。風船の割れる音が聞こえ彼が振り返ると、そこにはもう何もいなかった。

家に帰ったべバリーはバッグの中から、ポストカードを見つける。そこには恋心が込められた詩が書かれていた。内心喜ぶべバリーであったが、洗面所の排水溝から小さな声で「助けて」と言う声が聞こえてくる。近くにつれ「みんなこっちで浮かんでる」と言う声がはっきりと聞こえた。「あなたは誰？」と彼女が声をかけると、「ベロニカ」「ベティ」「パトリック」と行方不明になった子供達の名前が聞こえてくるのだった。

べバリーは恐る恐る、巻き取り式メジャーを使って排水溝に伸ばした。すると、排水溝の奥からは赤黒い血と髪の毛が混ざったものが引っ張り出されたのだ。次の瞬間、鞭のようにべバリーの腕を捕まえると排水溝に引き寄せた。そこから真っ赤な血が大量に噴射されたのだ。顔に血の噴射がまともにかかり、混乱するべバリー。それでも血の噴水は止まらず、バスルーム全体が真っ赤に染まると、ようやく止まったのだった。

奇妙なことに、べバリーの叫び声を聞いてやってきた父親に、血で真っ赤に染まった部屋は全く見えていなかった。もちろん血で真っ赤に染まった彼女さえも把握できず、ただ「心配だ。なぜ髪を切った。男みたいだ。」とだけ言った。

ビリーは雨漏りで目を覚ますと、ジョージーの部屋に明かりがついていることに気づき、ジョージーの部屋に入る。そして、扉の外で動いた何かを追いかけて地下室に降りると、水浸しになっており、棚の向こうに黄色い雨合羽が見えた。ジョージーであった。

しかし、顔にどんどん穴があき「僕と一緒に来れば、お兄ちゃんもフワフワ浮かぶ」と繰り返すと、水の中からあわられたピエロ（IT）によってまた水の中に入って行った。次の瞬間、ピエロ（IT）が頭を振り乱しながらビリーに襲いかかった。間一髪で逃れると、そのまま水の中へと消えて行ったのだった。

べバリーは次のひ「ルーザーズクラブ」の面々を集めてバスルームへと案内した。すると父親には見えなかったものが、彼らには真っ赤に染まったバスルームが見えたのだった。「このままにはできない。」とビリーたちはバスルームの掃除を買って出るのだった。べバリーはビリーが気になっていた。ポストカードに書かれた詩は彼のものだと思っていたのだ。しかし、詩の一部を読み上げると、彼はよく知らないと答えたのだった。

そして、ビリーの申し出によって、「ルーザーズクラブ」の面々に彼女も加わることになったのだ。その帰り道、彼らは自分たちに起きた怪奇現象を話し合った。様々なことが起こり、その正体がピエロであると言うことは全員一致していたのだった。その時、森の茂みの中から叫び声が聞こえた。倒れた自転車とヘンリーの車で察知した「弱虫クラブ」の面々は、彼を助けるために茂みへと向かった。

ヘンリーに踏みつけられたマイクはピンチだった。それを見つけた「ルーザーズクラブ」の面々はヘンリー達3人を相手に一斉に石を投げつけた。「石投げ戦争」は見事「ルーザーズクラブ」が勝利。マイクもクラブの仲間入りを果たしたのであった。街では新たな行方不明者が出ており、その子の一部が貯水塔の近くで見つかったのをマイクは見ていた。それを見たベンはまだ「当分続くよ。」と言った。

ベンによるとデリーの街で大きな事件は、27年ごとに起きているというのだ。それは約1年もの間続くという。マイクはこの土地は呪われていて全て繋がっていると話した。「IT」は各々が一番怖がっているものを見せる。皆自分の抱えている恐怖と同じものを見たのであった。

彼らはビリーの家に行くと、ベンの家の資料にあったデリーの旧市街の地図を今の地図とスライドで重ね合わせた。すると、全ての事件現場はニーボルト通りの古い家に繋がっていることがわかった。あの古い家こそが、井戸のある場所だったのだ。そこが棲家であった。するとスライドが勝手に動き出した。ビリーの家族写真の場所で止まると、まるで活動写真のように顔が見えない母親の髪の下から「IT」があわられ出したのだ。

スライドを消してもITは現れ続け、ついに映し出された画面から外に飛び出してきたのだ。間一髪で倉庫の扉を開けると光とともに「IT」は消えた。そして、ビリーはニーボルトの家に行こうと提案する。彼は、「家に帰ると弟のことばかり考える。彼やベティのように消えるのを見過ごせない。」と語ったビリーを一人にするわけにはいかず、リッチーとエディがついて行くことになった。

家の中でリッチーは自分自身の行方不明者のチラシを見つける。混乱するリッチーにビリーは「これが奴の作戦だ。」と治めた。そして、誰かの声がする2階に行ってみると、行方不明だったベティが部屋の奥へと引きずり込まれるのが見えた。だが、部屋の中に入ってもベティはいなかった。その上ビリー達は部屋に閉じ込められてしまい、エディは後ろから顔の崩れた男に襲われ、廊下の床に空いた穴に落ちてしまう。

一方で別の部屋に呼び込まれたリッチーは、自分の思う一番怖いもの、「ピエロ」に囲まれた部屋に閉じ込められてしまう。そこにあった自分の名前が書かれた棺から「IT」が飛び出し、襲いかかってきた。ビリーがドアを開けて脱出はできたが、今度は階下にいるはずのエディが、マットレスの中から頭だけを出し、真っ黒な液体を垂らしながら喋っている。その黒い液体が煙を上げながらビリーとリッチーに迫った。

一方で一階に落下してしまったエディは右腕を骨折し、動けなくなっていた。冷蔵庫の中から這い出てきた「IT」が彼に迫ると、抵抗するエディを笑いながら子供のようにあやした。ビリーとリッチーは黒い液体から逃げようとするが、3つのドアがあり、「怖い」「超怖い」「怖くない」と血で書かれたドアが現れた。2人は「怖くない」のドアを開ける。すると中には下半身を失ったベティが吊り下げられ、叫んでいたのだった。

ビリーは「チラシも、これもみんな幻だ！」とリッチーに呼びかけ、階下では「IT」ペニー・ワイズが「おいしい恐怖をいただこう。」と牙をむき出しにした。しかし、もう一度「怖くない」のドアを開けた2人はついにエディの元へとたどり着く。今度は2人に襲いかかろうとした「IT」は脇からやってきたべバリーの一撃で顔を庭柵で貫かれた。逃げようとする子供達に爪を振り、ベンは腹の皮膚を裂かれてしまう。

「IT」が井戸の下へ逃げるのをビリーは見ていたが、エディの負傷は大きかった。屋敷を後にした彼らはエディの母親から絶交を申し付けられる。そして、今度は井戸に行こうというビリーにスタンリーは着いていけないと言い出す。それに賛同したリッチー、ベン、マイクも離れていき、「ルーザーズクラブ」はバラバラになったまま2ヶ月が過ぎてしまう。

ヘンリーは父親の銃を持ち出し、瓶を撃って遊んでいた。しかし彼の父親が現れ、銃で脅しつけられたヘンリーは怯えて立ちすむ。エディはいつも通り薬を薬局に取りに行くが、いじめっ子の女の子に「その薬はウソよ。」と告げられる。そして、ギプスにサインを書いてあげると申し出るのだが、書かれたのは「LOSER（弱虫）」であった。一方落ち込むヘンリーは、自分の家の郵便受けに赤い風船が繋がっていることに気づく。

郵便受けには彼が無くしたはずの父親のナイフであった。今のソファーで眠っている父親に近づくと、かけっぱなしのテレビから「殺せ」という言葉が連呼された。そのまま彼は父親を刺し殺してしまう。そして、TVに写っていたのはペニー・ワイズ（IT）だったのだ。「皆殺しにしろ。」とTVはそのまま連呼し続けるのであった。

出かけようとするべバリーに父親が話しかける。「街で噂を聞いている。お前は俺のものか？」と質問する父親に彼女はついに「もう違う！」と反発した。襲いかかる父親を殴り倒したべバリーが振り向くと、ペニー・ワイズ（IT）が待ち構えていた。ビリーは給水塔で待ち合わせた彼女が来ないのを不審に思い、彼女の部屋へ行く。すると、倒れた父親と天井に血文字で「逆らえば死ぬぞ」と書かれていたのだった。

ビリーは他のルーザーズクラブのメンバーを招集した。エディは自分の病気は嘘で、母親が自分を縛り付けたいがためだけだったことに気づき、母親を振り切って招集に向かう。マイクは屠殺の恐怖を克服し、屠殺銃を持って出かけた。ためらうスタンリーに、「一人は危ない、みんな一緒なら大丈夫だ。」と励ますビリー。そして、ついに井戸の場所までたどり着いたのだった。

気を失っていたべバリーは上から滴る血で目を覚ます。暗がりの中を歩くと、「ペニー・ワイズ踊るピエロ」と書かれた古い看板に、大量のゴミが重なってできた山があった。その上空には人間のようなものが浮いていた。逃げようとする彼女の背後から声と、陽気な音楽が流れ始め、看板が倒れた先、ゴミの山の中に立っていたのは、ペニー・ワイズ（IT）である。「IT」に捕まる彼女だが、「怖くない！」と気丈に振る舞うのだった。

「どうかな？」と言うと「IT」は牙だらけの口を大きく開いた、と言うより顔のほとんどが口になってしまった。もはや目や鼻はなくなり、口の中の「助けてくれ！」と言う声と、光を見た彼女は心を喪失してしまい、中に浮いてゆくのだった。

井戸を降りようとしたマイクの背後からヘンリーが突然襲いかかった。屠殺銃を奪われ、額に向けられるが、近くにあった石を使ってヘンリーを撃退。井戸の底へと突き落としたのだった。しかし、スタンリーが孤立してしまう。そして、顔の曲がった女がスタンリーの顔面に食いついてしまう。マイクが合流したメンバーたちはスタンリーを助けるが、今度はジョージーを追いかけたビリーが独走してしまう。

ビリーは宙に浮いて微動だにしないベバリーを見つけるが、また弟らしき人影を見つけて追いかけた。他のメンバーはベバリーを下ろすが、心神喪失していて反応がない。ベンは意を決して彼女にキスをする。すると彼女の意識が戻ったのだ。そして、恋心を込めた詩の一部をお互いに確認し、ベン気持ちが改めて届いたのだった。

その頃、ビリーは弟と対峙していた。弟には右腕がなく、船を大事そうに抱えて「どうして早く来てくれなかったの？」とビリーを責めた。そして、ビリーが「彼女（SHE）は早かったか？」と聞くと「こいつ（IT）速すぎ」と答えた。家に連れて行って欲しいと懇願する弟に、「お前は偽物だ。」とビリーは屠殺銃を額に放った。するとみるみるうちに弟の体はペニー・ワイズ（IT）に変わっていき、再び襲いかかって来たのだった。

恐怖を克服した子供達に対し、ペニー・ワイズ（IT）は弱っていた。彼らの攻撃に怯んだ「IT」はビリーを人質に取る。そして、「全員の恐怖と肉体を貪ってやる、もしくは、こいつ一人を連れ去って俺は眠りにつく。」と交換条件を持ちかける。しかし、リッチーは「ルーザーズクラブへようこそ！」とペニー・ワイズ（IT）に襲いかかったのだ。最後の力を振り絞り、再び戦い始める子供達。

「IT」は姿を変えながら襲ってくるが、恐怖を克服した彼らに敵うことはことはなかった。最後に追い詰められた時に、「これが、恐怖」と言う一言を残して「IT」は消え去って行ったのだった。そして、宙に浮いていた行方不明の子供達は、地上にゆっくりと降りて来た。その中にジョージーのレインコートを見つけ、悲しむビリーを彼らは全員で慰めたのだった。

全てが終わった9月、ルーザーズクラブのメンバーはべバリーが見た未来の話を聞いていた。いずれまた集まることになるかもしれないと感じた彼らは、「IT」がもし死んでいなかったら、再び戻ってこようと誓い合うのだった。そして、みんなが帰った後、ポートランドに行くべバリーとビリーは最後の挨拶をした。「みんなといて負け組だと思ったことはないよ。」と言った彼女にビリーはキスをした。そして、別れたのだった。

ここでは2017イットのキャストを紹介していく。今をときめく子役たちがたくさん出演している映画なので、興味がある人は、他の作品にも彼らが出ていないかチェックしてみるのも良いだろう。もしくは旧作品と2017イットとの設定の違いを見つけるのも面白い。

リメイク映画版「IT」に出てくるペニー・ワイズを演じたのはビル・スカルスガルドだ。1990年生まれでスウェーデンの役者である彼は、恐怖を伝染させ、子供を食べるペニー・ワイズとまるで印象が違う。父親も役者で妹はモデル、兄と弟も役者という、芸能一家に生まれる。

2000年「White Water fury」で映画デビュー。2010年、主演映画の「シンプル・シモン」で第46回ゴールデンビートルの主演男優賞、同作がアカデミー賞にノミネートされた。キャストの子供達を本気で怖がらせ、泣かせたというエピソードまである今作。彼の溢れる才能と、熱演ぶりがうかがえる。

ルーザーズクラブのリーダー、ビリーを演じたのは、ジェイデン・リバーハーだ。2003年生まれ、アメリカのフィラデルフィア出身で、8歳の時にロサンゼルスに引っ越す。2013年「Grief」でデビュー後、2015年「ヴィンセントが教えてくれたこと」が出世作に。様々な面から「美少年」とされることが多く、これからが楽しみな俳優さんだ。インスタグラムのフォロワーはなんと1400万人以上！色々な意味で桁が違う人物である。

べバリーに恋心を抱き、様々な困難を乗り越えた転入生、ベンを演じるのはジェレミー・レイ・テイラーだ。彼は決してイケメンではないが、知恵や精神で恋や、恐怖に立ち向かった頑張り屋だ。ジェレミーは2003年テネシー州生まれ。 8歳の頃から演技をスタートさせた、2013年の「42」にも出演、2015年に声優として「アルビン4 それいけ! シマリス大作戦」にも出演している。

お調子者のリッチーを演じるのは、なんと「ストレンジャーシングス」で一躍有名になったフィン・ウルフハードだ。フィンは2002年カナダの生まれ、2013年「アフターマース」でデビュー。2014年、2015年とTVドラ前の出演を果たし、2016年「ストレンジャーシングス」でブレイク。80年代ホラーもの代表とも言える地位を獲得した。2019年「怪盗カルメン・サンディエゴ」にも出演予定の人気子役なのだ。

ルーザーズクラブ紅一点のベバリーを演じたのはソフィア・リリスだ。映画出演は本作がなんと2作目である。2002年生まれ、双子の兄がいる。以前に「the garden」という短編映像に出演している。この映画で知名度が上がり、「透明感のある佇まいをしている」などの高評価を得た。今後出演が多くなる役者さんであろう。

絵の「IT」に襲われ、もしかしたら次回作でキーマンになるかもしれないスタンリーを演じたのは、ワイアット・オレフだ。2003年アメリカ生まれ。2014年の「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」に出演、ピータークイルの少年期を演じた。TVドラマにも複数出演しており、これからが楽しみな俳優さんだ。

屠殺業見習いで、「IT」退治に重要な役割を果たした屠殺銃を屋敷に持ち込んだのはマイクである。そんな彼を演じたのはチョーズン・ジェイコブスだ。2001年生まれと、ルーザーズクラブないの子役の中では一番年上である。2016年ドラマ「Hawai five-o」でウィル・グローバー役を演じ、今回が映画初出演である。

束縛する毒親の元で育ったエディを演じたのは、ジャック・ディラン・グレイザーだ。この作品が映画初出演である。インスタグラムのフォロワーは約200万人。「IT」のヒットもあり、2019年公開予定のDC映画「シャザム！」に出演予定だ。

「IT」の映画自体はスティーブン・キングの小説が原作だ。しかし、その小説に原作はあるのだろうか。実は「殺人ピエロ」という点に置いて有名な話がある。「IT」のヒットによってピエロの印象が悪くなる、と「世界クラウン協会」から抗議があったが、キングは「ピエロはもともと恐れられていた」と返した。ではその恐怖の根源はどこから来たものなのだろうか。

アメリカのシリアルキラーで「ジョン・ウェイン・ゲイシー」という男がいた。異名は「キラークラウン」まさにそのものである。彼は「ポゴ」という名のピエロになり、チャリティーの会場で子供に近づいて捕まえ、1972年から1978年まで33人もの未成年者を殺害したのだ。彼はピエロの絵を多数残しており、その内の1枚がペニー・ワイズそのものなのだ。さらにピエロ（クラウン）については色々な解釈があることを紹介しておく。

ピエロは笑いを表現するメイクをして、常に観客を笑わせる役回りであるが、一方でずっと笑顔ということは、真の表情がわからないということである。そのコミカルな動き、話、そして顔が、悪意を持っていたらと考えると、背筋に何か走る感覚がある。これが根源的なピエロへの恐怖である。ジョニーデップも「ピエロ恐怖症」だと公言しており、ピエロはより繊細な感覚を持った人に、どうやら「恐怖」を与えるものなのだ。

「IT／イット “それ”が見えたら、終わり。」はTVシリーズから映画化されたホラー青春映画とも言える作品だ。最近流行りの80年代オカルトものともリンクする部分があり、「ペニー・ワイズ」の興味をそそるキャラクターが引き立つ。アメリカの興行収入は過去の「シックスセンス」を超え、3億2,748万ドルもの金額を叩き出し、事実上のホラー映画No.1の大ヒットを記録した。

子役たちも、将来有望な役者が揃っており「ジェイデン・リバーハー」やすでにブレイクを果たした「フィン・ウルフハード」、「ソフィア・リリス」など、「次世代のハリウッドを担う基盤が整った」と評価される作品である。

実はこの映画はまだ第一幕が終了しただけであり、これから第二幕が作成、上映される予定である。「IT」という存在は恐怖そのものであり、この映画を包んでいるのは街を含めた「誰にも頼れない」感覚である。まともに頼れない大人しか出てこない今作は、まさに、子供の世界の恐怖を至極丁寧に描いたものだと言える。

続編についてはそんな恐怖を克服した彼らが今度は「大人」となるわけだが、どんなキャラクターになっているのか、気になっている人は多いだろう。しかし、続編があるということは「ペニー・ワイズ」なる殺人ピエロはまだ生きおり、また恐怖を振りまくということである。次回作に期待しつつ、「恐怖への挑み方」なるものを、この映画を観て学ぶのも面白い。